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ホーム > ブログ > YouTube > ①床は針葉樹か広葉樹のどちらが良いか?②私が無垢床と珪藻土を使う理由③自然素材の匂いが気持ち悪いと言われた④床の貼る方向で印象は変わる⑤床の貼り方で世代がわかる
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 | 2024.11.10

①床は針葉樹か広葉樹のどちらが良いか?②私が無垢床と珪藻土を使う理由③自然素材の匂いが気持ち悪いと言われた④床の貼る方向で印象は変わる⑤床の貼り方で世代がわかる

https://youtu.be/Ha2LiTne0zI

今回は質問コーナーです。

下記、お客さまにいただいたコメントです。

「うちは杉の無垢床ですが、夏は床に横たわると身体の水分が奪われ熱移動するようで、涼しげに感じます。針葉樹なので、硬質な広葉樹のようにヒヤッとする感じでなく、柔らかに“暑くない”感じです。冷房の効いた室内に長時間滞在するのは、良い環境に感じます。逆に乾燥する冬は身体の水分を奪われるようで、ラグの上に座るようにしています。身体が接することの多い床材は、湿度の面でも影響があるように思いました。」

以前の動画で「無垢の床や珪藻土を使っている家は調湿するけど、すごく効果があるわけじゃない。」という話をしました。この方は、感覚や手触りといった部分で無垢の床がいいと言っています。当社がベースとしている床材としては、杉、松、檜、アカシアがあります。この辺りはどれを選んでも変わりませんし、当社が設定している金額の中でやらせていただいています。その代わり、外国産のチークやホワイトバーチなどは、値段の変動があるため差額分を貰っています。

普段は杉かアカシアかで迷う方が多いので、モデルハウスもそれに合わせて改修しました。1階には杉、2階にはアカシアを使いました。アカシアはアカシアの良さがあり、硬めで傷がつきにくく、小さいお子さんがいる家には最適です。ただ、夏のサラッと感とか、冬に床下エアコンをかけた時の簡易床暖房のような暖かみというのは、針葉樹の杉の方が感じやすいです。また年配の方だと、広葉樹は膝にくるような感覚を持つ方もいらっしゃいます。こういうところも床選びでは重要です。

あとは無垢の床でも、表面がコーティングされていて、傷がつきにくいように処理されているものはオススメしません。素地の無垢の床板にリボスを塗って、汚れをつきにくくした方が触り心地もいいです。私が無垢の床を使う理由は、そういうところにあります。珪藻土を使う理由としては、感覚的なことで申し訳ないのですが、クロスとは違う質感や、色の落ち着き、表情、匂いが好きだからです。好き嫌いは人それぞれあると思いますが、人間はロボットではないので、そういうもので安らぐということは間違いなくあると思います。

今でも覚えている出来事があります。以前オープンハウスに、お父さん、お母さん、小学生ぐらいの女の子のお子さん家族がいらっしゃいました。お父さんとお母さんは、「木のいい匂いがしますね。」と言ってくれたんですが、女の子は「ギブアップ!」と言っていました。その女の子にとっては、木の匂いが気持ち悪かったんだと思います。その後、お父さんが「すみません。」と謝ってくれました。「お子さんはこういう匂いは好きじゃないんですか?」と聞いてみたら、「わかりません。」とのことでしたが、お子さんがそういう感じだと、こういう家は建てられない気がします。人によって好みがあるのは仕方がないことなので、私も決して無理強いするつもりはありません。

次のコメントです。下記の質問をいただきました。

「いつも有益な情報ありがとうございます。動画とは関係ありませんが、無垢床の貼り方について、文章だけで伝わり難いと思いますが質問させてください。現在建築中の家(平屋)は、トイレ以外は全て杉床の予定で、建具も開戸や上吊り戸のためトイレ以外見切り材はないものと思っていましたが、工務店からは各部屋に見切り材が入ると言われています。床材の方向が変わる(もしくは材質が変わる)取合いに見切り材が入るのはイメージできるのですが、こちらとしてはLDK(長手方向)に合わせて全ての床を同じ向きとし、見切り材なしでフラットにしたいのですが、難しいものなのでしょうか。折角の無垢床にプラスチックの見切りが入るのはもったいないので、どうしても必要な所は木製(できれば床と同じ杉材)の見切り材をと思うのですが、採用した経験があればご教示いただけると幸いです。」

無垢の床の貼り方については以前メルマガに動画を載せましたが、この方がコメントでおっしゃったような貼り方をするのは間違いではありません。ただ、見た目はイマイチになってしまう可能性はあります。また、「施工している大工さんは年配の方ですか?」と聞いたら、「おっしゃる通りです。」と言っていて、やっぱりなと思いました。

例えば、絵のような家があったとします。トイレは水回りだからクッションフロアやビニール系のものにして、他は全部無垢の床にするという場合、見切り材というものを使います。フローリングとクッションフロアを合わせると厚みが違うため、調整をするために木などを入れます。この方は、それは仕方がないことだけど、床を平行に貼るのはダメなのか?もしくは、見切りがない方がスッキリするので、使わないというのはダメなのか?ということを言っています。

結論からすると、ダメではありません。当社ではこういう場合、床は私が綺麗だと思う方向で貼ります。見切り材も入れますが、プラスチックじゃなくて木を使います。トイレの床は、クッションフロアじゃなくてコルクを使う場合、見切り材がなくても厚さが合うなら、突き付けというものを使って綺麗に見せたりします。そこまでのことを、お客さんに対して判断を仰いだりはしません。この辺りはあくまでも当社の感覚でやっています。お客さんもそこまでのことはわからないから、プロの方がおかしいと思わなければそれでいいと言ってくれますし、耐久性にも問題はありません。

この方が頼んでいる大工さんは、絵のように床を貼るため、見切り材がどんどん入ってしまって、さらに素材がプラスチックになっているんだと思います。でも、床をこのように貼るか、貼る方向を統一させるか、あるいは見切り材の素材をプラスチックにするか、同じ素材にするかというのは、取捨選択しなければいけません。どっちを選ぶかは、その工務店さんの自由です。私の場合は綺麗に見せたいので、貼る方向は変えませんが、昔ながらの大工さんは、長手に貼るのが家づくりの基本だという人が多いので、そういう貼り方を守っているんだと思います。部屋を移動するたびに貼る方向が変わっていくので、もしかしたら気持ち悪い感じになるかもしれませんが、耐久性が落ちるわけではありません。

この方は、「大工さんはプライドを持ってやってくれているから、私が何か言うのも失礼なので、せめて見切りだけは木製でお願いしようかな。」ということを言ってらっしゃっているので、よく考えて質問されているのがわかりますし、いい人だなと思います。ただ、床を貼る方向を揃えてなるべく繋げた方が掃除も楽だし、変な段差もできません。引き戸に関しても、1枚の引き戸を使えばレールなしで上吊りが可能なので、そういうものを使った方がスッキリとした広い家に見えると思います。また最近は、ロボット掃除機を使う家が多いので、段差がない方がスムーズですよね。こういうことを考えていくのも大切です。

私は設計士だけど、設計事務所の先生ではなく、あくまでも工務店の人間です。そのため設計事務所の先生のようなすごいことができるわけではありませんが、こういう風にした方が綺麗に見える、広く見えると考えることは得意です。また、すごくお金をかけなくても綺麗に見える家を作ることは可能です。細かいことをやっていくといい家に見えてくるので、みなさんもぜひ、そういうところにもこだわって家を作っていただければと思います。