https://youtu.be/eLgfw2fLDiY
今回は質問コーナーです。
まずはこちらのご質問です。
「今新築を予定していまして、打合せの段階です。断熱材に旭有機材のゼロフロンを使用しますと言われてますが基礎は30倍発砲、壁、屋根は100倍発泡、外付加断熱ありです。
旭有機材の担当部署に直接電話して「30倍発砲を壁に何層か吹けますか」と聞くと「剥がれる恐れとははみ出る恐れがあるので重ねるのは推奨しない」と言われました。工務店様にもお願いしようと思うのですが、旭有機材が推奨しないと言うことは「無理です」と言われるか「保証はしない」と言われそうで、、、
もし重ねるのが無理と言われた場合、実際30倍を重ねずに吹いてもらうのと、100倍を吹いてもらうのとどちらが良いでしょうか?こちらとしましては2回でもいいので30倍を重ねて吹いて欲しいのですが、、、どちらの場合も防湿気密シートは貼るようお願いするつもりです。」
過去の動画で「30倍発泡を一気に吹かない方がいい理由」についてお話ししていますが、なぜかと言うと30倍発泡って吹く時にすごく熱を持ちます。場合によっては熱が引いた時に収縮して、断熱欠損を起こす可能性があります。なので、30倍発泡はなるべく薄く吹くことを推奨されています。
旭有機材の方は「30倍でも一気に吹いていい」という回答なんでしょうか。もしかしたらこの担当者の方がよくわかってなくて、100倍発泡について答えている場合もあるので、この辺は真意がわかりません。
あと「何層かに吹くとはみ出る恐れがある」と言っていますが、何層かに分けた方がはみ出にくいです。一気に吹くと一気に膨らむからはみ出ます。これは担当者の方の回答が間違っていると思います。
ご質問者さんの「30倍を一気に吹くのと100倍を一気に吹くのはどちらがいいでしょうか?」という質問は、正直なんともわかりません。どういう事故が起こるかわからないので。30倍で一気に吹いても問題が起こらなければそれで良いけれど、もし熱を持って一気に収縮しちゃって全部剥がし直すとなったら、とんでもなく大変です。
防湿気密シートは貼る予定なんですね。他の動画でも話していますが、100倍発泡を吹いていて湿気が入りやすい場合には、必ず貼った方が良いと思います。30倍発泡を吹いてスキンカットせずに施工できるのであれば、シートを省略する方法もあります。ただ、私は怖がりなので、30倍でなるべくスキンカットをせずに施工していますし、内側には防湿気密シートを貼って、壁の中に湿気を入れないようにしています。
これは私が100%正しいわけではないので、工務店に強制するのは止めたほうがいいと思います。お施主さんが「理論的にこうなっているから」と言っても、意見が食い違うこともあるので、その工務店の経験や考え方を聞いてみるのも良いと思います。
例えば、土間や駐車場、玄関外のポーチにコンクリートが使われることがあります。コンクリートは必ずヒビ割れします。水分を飛ばして収縮しながら固まっていくからですね。ヒビ割れが大きくなっていったら、下が沈下している疑いがあります。でも割れが少しで止まっているということは、収縮をした証です。これを収縮クラックと言います。
仮にヒビに水が入っても、コンクリートだから中で抜けていくので腐りはしませんが、こういうことに対してすごく敏感な方もいます。「割れが大きくなったらどうするんですか?」と言われた時は、「なった時はやり直すしかない」とお答えするしかありません。平行線ですよね。ご不安もわかるのですが、家づくりって本当に難しいなと思います。
次のコメントです。
「現在商談中でソーラーパネル設置はしませんが、スマートエルラインライトの設置を考えています。HV車または発電機で、最低限の家電を確保できる仕組みらしいです。2018年の北海道の地震で4日停電を体験しました。9月だったのが唯一の救いで、真冬だったらヤバかったです。」
スマートエルラインライトって、ハイブリッド車または発電機で、家に電気を返せるというものですよね。確か松尾先生も言っていたと思いますが、蓄電池は高いから中古の日産リーフを買って、そこから戻した方が蓄電池としては使えると。これが多分一番安いと思います。
蓄電池は7kWタイプと14kWタイプがあって、実際に本当にちゃんと使うとなると、7kWだとキツいと思います。14kWぐらいないとまんべんなく完璧に使えません。でも14kWってすごく高いです。あれを太陽光発電と連動させるためには、パワコンも専用のやつに替えたりしなくちゃいけないから、案外値段が張ります。200万円ぐらいするわけです。
中古のリーフだったら200万円しないぐらいで買えます。あれだったら同じ容量かそれよりも大きいと思うので、動かない蓄電池を200万円で買うよりもリーフの方がいいのかなと。ただリーフの場合は保険が掛かったりするので、単純計算はできませんが、そういうのもありかなと思います。
次のご質問です。
「いつも参考にさせて頂いてます、細やかな情報発信ありがとうございます。質問ですが、
①屋根に透湿防水シート使わずに壁だけ使って施工してる工務店がよく見られますが問題ないのでしょうか?私が今度建てる工務店も遮熱シートだけ使って、その上下で2重通気層をとるようなのですが大丈夫か分からずでして。
②今回懸念されているような勾配をかなり少なくして建てる予定なのですが、その場合棟換気をして、通気層を通常より広くとっても滞留を防ぐのは難しいものでしょうか?」
透湿防水シートは壁に使うものですね。屋根の場合は防水性能を求めるため、一般的にはルーフィングなどの防水シートを使用します。最近では透湿ルーフィングと呼ばれる製品もあって、湿気を逃がしながら防水性能を高めることができます。
ちなみに当社では屋根の透湿ルーフィングは使用していません。透湿ルーフィングには少し不安があるので、それを使わずに確実な工法で施工しています。
屋根に遮熱シートというのは、アルミ箔が入った遮熱シートのことでしょうかね。あれはアルミ箔が表面に貼られていて、防水効果もありますね。この遮熱シートが室内の環境にどう影響するかは、他の動画を参考にしてください。私の経験上、室内が涼しくなるとは思えません。
実は私の家の屋根にも実験的に貼っていて、あまり涼しくならなかったからです。屋根断熱として発泡ウレタンを吹き付けましたが、それでもあまり効果はありませんでした。遮熱シートは少し失敗したなと感じています。最終的にはしっかりと断熱することと、通気を確保することが重要です。
屋根の難しい部分は野地板ですね。野地板は屋根の仕上げによって異なりますが、野地板の上に防水を行います。ルーフィングや遮熱シートなどを使用する方法もあります。
その上に瓦やガルバリウム鋼板を取り付けますが、ここで問題となるのは野地板に固定するための釘などが通る部分です。ゴムアスルーフィングの場合は、釘が貫通してもゴムなのでギュッと締まります。要は雨漏りしにくくなります。ただ、アルミ箔シートは穴を開けると締まらないので、長期的に見ると防水性能は疑問です。
ガルバリウム鋼板の1枚物とか、雨漏りしにくい素材を使っているならいいですが、瓦に防水性能はありません。吹き込んだ時に水が中に回りますから、その時に中に入った水がうまく抜けなければ、水が溜まってしまい、そこから下に漏れる可能性があります。
ルーフィングは本来防水を目的として作られているわけではなく、それ単体では防水性能を保つものではありません。やっちゃいけないわけじゃないです。ただ、危険な場合もあるかなというのが、私の個人的な考え方です。
いずれにしても専用商品というのはいろんなケースを考えて作られている物なので、そういう物を使われた方がいいのかなという感じがします。ぜひ参考にしてみてください。