今回は発泡ウレタンについて
注意喚起をしたいと思います。
それは施工についてです。
これはどちらかと言うと
消費者の方が覚えておくより
本来であれば住宅会社や
工務店が知っておくべきことです。
当社が発泡ウレタンを使う時は
必ず硬質の30倍発泡ウレタンです。
その理由の一つは
硬質の30倍の方が
性能が良いからです。
あとは膨らみのコントロールが
しやすいのもあります。
100倍発泡だとすごく膨らむので
厚みのコントロールが難しいです。
柱から飛び出したものを
スキンカットすることは
必ず起こってきます。
あとは連続気泡なので、
スキンカットするとそこから
空気が抜けてしまいますから、
湿気も通りやすくなります。
湿気が通りやすくなる分、
湿気を排出することにも
つながって通気的な役割が
あることもありますが、
わざわざ発泡ウレタンを
使いながら通気させるのも
おかしな感じがします。
今は構造用合板を
張るケースが多いですが、
ベニヤなど湿気を通しにくい
ものを張ったときに、
湿気がそちらへ行くことで
結露をするケースもあります。
100倍発泡というのは、
1mmの原液を100倍にする、
つまり100mmまで膨らます
ことになります。
それだけすごい勢いで
発泡するということですね。
中には連続した空気が入って、
柔らかい食パンみたいな
状態になるイメージです。
そして柔らかい分、
柱への接着力が弱くなります。
これらを考えると、
100倍発泡を使うことを
私は躊躇してしまいます。
一方で当社が使っている
30倍発泡は独立気泡と言って、
中の空気が1つずつ
分離しています。
仮にスキンカットをしても、
空気が繋がっていないので
湿気を通すという性質は
基本的にはないと言われています。
もちろん切らない方が
いいのは事実ですが、
30倍発泡を使ってある程度の
断熱性能を持たせられるなら
構造用合板が湿気を通しにくい
ものであったとしても問題ないと
言われています。
そうは言っても
安全性の問題もあるし、
作られる地域によって違うので
やっぱりそこは考え方です。
当社の場合はスキンカットを
多少はしなくてはいけないので、
防湿気密シートを貼ったり
外側には付加断熱をすることで
仮に湿気が入ったとしても
結露しないようにするという
考え方でやっています。
当社が30倍の
硬質発泡ウレタンを使う場合、
必ず3層に分けて吹きます。
一般的に105mmの柱で
3層に分けて吹くと、
80〜90mmが限界でしょう。
仮に90mmであれば、
30mm・30mm・30mmで
3層に分けて吹くイメージです。
なぜこう吹くかと言うと、
なるべくスキンカットを
したくないからです。
あとは硬質の場合、
発泡ウレタンの原液を混ぜたときに
すごい熱が発生します。
その熱が吹いた後に硬化して
うまく抜けていけば良いですが、
その熱がうまく抜けないと
それが原因で発泡ウレタンが
ヒビ割れを起こして収縮する
というケースがあります。
当社でもそういう経験があります。
吹いて1〜2日後にわかるなら
良いですが、全ての熱が放散して
固まるのに最低でも1週間、
場合によっては2〜3週間ぐらい
熱を持つこともあります。
吹いた後にヒビ割れを起こして
収縮しないように確認をしてから
壁のボードを張っていければ
良いですが、例えば突貫工事や
ローコスト住宅、建売住宅などで
どんどん進める現場だとすれば、
吹いた次の日にはボードを
張っていくと思います。
おそらくヒビ割れが起きて
隙間が空いているケースは
意外にあるでしょうね。
このような現象を
わかっているか・わかっていないかは
壁を剥がさないとわかりません。
でも実際にこれは
起こり得ることです。
この辺りは住宅会社さんが
知らなくちゃいけないことだと思うし、
職人さんもそういうことを
知っているべきだと思います。
ヒビ割れて収縮していたとすると
断熱欠損を起こしていますから、
せっかくいい物を使ったとしても
湿気や冷気が通ってしまいます。
湿気を通しにくい前提で
やっていたことが全く違う話に
なってくると理屈がどんどん
合わなくなってくるわけです。
次々と工事を進めるのではなく、
ある程度は時間を置いて
確認をしながら施工することが
重要だと思います。
ちなみにグラスウールの方が
安定性はありますし、
セルロースファイバーや
キューワンボード、EPなども
安定性があります。
発泡ウレタンを
悪く言うわけではないですが、
発泡ウレタンは吹けばいい、
みたいなところもあるし、
場合によっては今回のような
怖い部分もあったりします。
施工も重要ですが、
材料選定も重要です。
この辺りは気を付けて
いただければと思います。