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 | 2024.12.10

坪14万円の新築住宅は買い?

先日、大手ハウスメーカーさんの築9年の家が、坪14万円で販売されているチラシを見ました。モデルハウスとして使っていた建物ということで、坪数は60坪ぐらいあるので安いですよね。ただ、よくよく見ると、それはあくまでも本体価格ということでした。つまり基礎や骨組み、屋根や外壁といった部分は含むけど、太陽光や給湯器、カーテンやキッチンなどといった部分は含まれないということです。そのため、もしかしたらそれらを用意するのにかかる金額の方が高くなるかもしれません。

最近は少なくなったような感じがしますが、ハウスメーカーさんはリユースと言って、定期的にモデルハウスを販売しています。その理由としては、解体しちゃうよりはもったいなくないからです。地球環境も考えられるし、安く販売できるわけなので、消費者の方にとっても悪い話ではないですが、いろいろ考えなくてはならないことがあると思います。

このお家は築9年のため、まだ古くはありませんが、本来は捨てるべきものをもう1回集客商品として使っていることになります。また、結局のところ買える人は1人だけで、買えなかった人にはその後に営業マンさんがセールスできるわけです。ビジネスとしては悪いことではありませんが、それでも一昔前の60坪の家を買うのは、エコなのかどうかという問題もあると思います。9年前の性能の、60坪もある家に住んだとしたら、光熱費がすごくかかりそうですよね。

税制面では多少は安くなるかもしれませんが、その家を800万円くらいで買ったとしても、その金額で評価されるかどうかはわかりません。坪数が大きいとか、大手ハウスメーカーさんの名前がついているとか、窓が大きいというところも評価対象にはなるはずなので、評価金額としてはそこそこ行くと思います。それに対して税金が課金されたらどうなるのかな?と気になったりします。

例えば、お客さんの家で窓や床材を多めに発注して、「間違えた」と言って倉庫に持ち帰って、ストックしていったものを使って自分の家を作るということは、できなくないです。間違って発注したものはメーカーさんに返せないから、会社で保管する必要があるので、それらを有効活用するという名のもとに家を建てるということです。そういう場合でも、税金を査定する時には見積もりを作成するわけですが、あくまでも世間一般の基準として「この家はいくらでできている。」という点で評価しなければ不公平になってしまいます。なのでそう考えると、どうなのかなと思うところはあります。

過去に某ハウスメーカーさんのモデルハウスを買われた方から、「光熱費がかかるし、暑さや寒さの問題もあるし、窓も結露してしまうので、リフォームをしたい。」と相談を受けたことがあります。外壁を塗って、キッチンを取り替えて、お風呂や洗面台を取り替えて、クロスを張り替えるという化粧直しリフォームだけでなく、断熱もやりたいし、内窓もつけたいとのことだったんですが、率直に言って予算が合いませんでした。そのお家は鉄骨系で、元々モデルハウスだったこともあり、すごく大きな窓がいろんなところにあり、エアコンも6台ぐらいついていました。

前にも言いましたが、大手ハウスメーカーさんの窓は通常のサイズとは違います。さらに、内窓というのは基本的に一般的なサイズで販売されていることが多く、全てオーダーすることになります。さらに、窓の数も多いので、内窓をつけるだけでもすごくお金がかかります。また、断熱を強化する場合、外壁を剥がさずに外側付加をするのもできなくはないですが、外壁が通気層を捉えていたりすると本当に難しいです。内側付加だと窓の枠が合わなくなったりして、「間取り的にどうなの?」ということになってくるから、これもなかなか難しいです。ちなみに、60坪から30坪に減築するという手もありますが、むしろその方がお金がかかってしまったりします。

結論としては、その方の予算と私の予算が1000万円ぐらいの単位で違ったため、「無理ですね。」という話になりました。いずれにしてもどこかでリフォームしなくちゃいけないから、別の会社へ行かれたんでしょうけど、その後のことはわかりません。でも、その方の予算内でできる会社はあんまりないだろうなと思います。

家の作り方や使っている材料によって、その後のメンテコストや維持費というのは決まってしまいます。鉄骨系で大きな窓がバンバンついていて、窓の性能もそんなによくないという場合、エアコンなどの機械をいっぱいつけたりすることで、1つの完成形にはなります。ただ、それを30〜50年間もやったら、機械が壊れてコストがかかります。全館空調が15年で壊れて、修理費が200万円もかかることになってしまい、結局は全ての部屋に穴を開けて、壁掛けエアコンを5台つけたという例もあります。そういうことが定期的に起こってくるということです。

機械の特性について言える営業マンさんはたくさんいますが、その後のことまで考えて「だから私はこういう提案をしているんです。」という風に言える方はなかなかいないと思います。特に、大きな会社さんの営業マンさんほど、そういう方は少ないんじゃないかという感じがします。今お話ししたような家を建てちゃいけないとは言えませんし、否定しているわけでもありませんが、よく考えた方がいいかと思います。今は情報が溢れていて、どういう基準でいいのかどうかがわからなかったり、どういう意味でいいかというのはその人によるということもあるので、その辺りをよく踏まえていただきたいと思います。