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 | 2024.01.05

①大手ハウスメーカーの建売住宅を解説したら怒られた②悪口と客観的な情報の違い③夢のマイホームの現実④家は資産か?⑤セルロースファイバーは湿式か?乾式か?

今回は質問コーナーです。以下の動画にコメントをいただきました。

▼4,200万円の建売住宅を解説してみた
https://www.kosodate-sekkei.co.jp/blog/4200_tateuri_kaisetsu/

この解説を見たら、何でこんなことをしてるのかなという風に思うはずです。決してあの家が耐震的に問題があるわけじゃなくて、家づくりのポイントとして私がよく言ってる断熱・気密というのはもちろん重要なんだけど、それと共に重要なのは建てる場所に応じた間取り計画、つまり部屋の配置や窓のつけ方なんです。窓のつけ方というのは窓の大きさ・高さ・位置を考えて、住む場所に応じて太陽の入り方によって調整したり、冬は風が吹く方向がこっちだから玄関はこっちにつけない方がいいというように、地域性も関係すると思います。

あとは都市部であればこっちとこっちに家が建ってて、隣の家の窓がここにあるからドンピシャで見えないようにちょっと窓の高さを変えて、隣の家からはこっちの家の外壁が見えてこっちの家からは空が見えるというように、生活する上で隣の家からの視線を感じないようにするということも窓の配置を考えることになるので、こういうところもやった方が住んだ後に満足度が高いということをよくお話ししてます。

そういう中で、うちのモデルハウスの近くに建ってる建売住宅の間取り図があったので、それを題材にしてみたんですが、率直に言って何でこの間取りなのかな、ここで建てるのにと感じたので、そういうことを解説しました。

関係者の方なのか購入をされた方なのか、そのメーカーさんの他の建売住宅を買った方なのかわからないですが、(とある方から)すごく長いコメントでかなり批判をされました。あなたはこの意図がわからないんですかと言ってたけど、カウンターキッチンで母と対話をしたいということなら何で一番暗いところにあるの?と私としては疑問に思うわけです。カウンターキッチンで母と子で対話をしたいという気持ちはわかるんだけど、それならもっと明るいところにしましょうと思うんです。

玄関を上がってすぐに階段があって、2階が吹き抜け状態になってると、玄関の土間はコンクリートやタイルが多くてどうしても暖気が吸われちゃう傾向があるので、玄関はなるべく早く区画をしてあげた方がいいと思うから、うちはそれで設計してます。

この間は大手ハウスメーカーの悪口が多いメルマガですねと言われました。ここからは愚痴になっちゃうけど、私が思うに、悪口というのは特定のことを個人的な感情で言うことだと思うんです。客観的に、こういう理屈ではこうなっちゃうよという情報を、こういうのはよくないよねと言うこと。それを悪口と言ってしまうと全て主観的な話になっちゃう気がするので、悪口と感じる場合はいつも言ってますが、一番いいのは見ない・余計なことは書かないことです。情報というのは客観的なデータがまずあって、さっきの間取りと同じで、こういう風な間取りを作っちゃうとこういう風な傾向にはなっちゃうというのは事実だし、私もそういう家を作らないように暖かくしてるわけなので、それは私の中では客観的な紛れもない事実だと思うんです。

光の入り方によって家の中の明るさや暖かさも全然違いますし、それをおかしいと言うことが悪口になるのなら、なかなか物事を言えなくなってしまいます。いずれにしても、グダグダ言っても仕方がないので、一番いいのは見ないことです。

次のコメントです。
「建売りの家は、夢を売っているように感じます。」

これも悪口になっちゃうかもしれないけど、住宅の宣伝ってあるじゃないですか。大手ハウスメーカーさんだけじゃなくて、いろんな住宅会社さんの昔からの宣伝文句の中に「夢のマイホーム」というフレーズがあると思うんですが、私の中でちょっと引っかかるところがあって、夢のマイホームと言って作っちゃうから話がおかしくなるんだと思うんです。

夢というフレーズはボーッとしたところがあって、家を買うと家族の仲がよくなるとか楽しいとか、家に帰れば◯◯みたいなこと。でも家というのは夢ではあるんだけど、現実的に考えるものだと思います。なぜかというと、みなさんもご存知だと思うけど、どんどん長寿命化してるからです。今は78歳ぐらいまで生きちゃうし、昔だとすごく寒い家に住んでいて、結局60歳ぐらいで死んじゃってた。なんとかそれまで凌いで最後は家と共に死んじゃうみたいな感じだった。あとは今ほど温暖化が進んでなかったから、家は雨風が凌げればいいんだみたいな、そういう感覚が昔はあったじゃないですか。

でも夢のマイホームという感じで家を持つと、暮らしが豊かになるみたいな感じが未だにあるように思います。家を買うと家族が幸せになる家が寒くてメンテコストがすごくかかるとしても、そんなことはないと思うんだよね。ただこういうことを言ってると、2ちゃんねる創業者のひろゆきさんが言ってるような、「家なんて無駄だ、資産ではない」という話になってしまう。

家は絶対に資産ではないんです。ただその資産というのはお金かどうかという価値観だけじゃないですか。物事はお金じゃ測れない部分が絶対にあると思うんです。例えば健康なんて一番そうじゃないですか。健康・家族の仲のよさ・働きがいとか楽しい・嬉しいというのはお金に換算するようなものじゃないと思う。お金というのはあくまでも1つの物事を測る尺度ではあるんだけど、それで全てを済ませるというのはおかしな話だと思う。

ひろゆきさんなんて会ったこともないすごい方だけど、ひろゆきさんの価値観で言うと、そうなるという話です。話がズレてますけど、家もたしかに夢があって、子どもが遊べて、奥さんがいいキッチンで料理ができて楽しい・嬉しいというのもあるんだけど、それと共に現実として健康によくないとまずいと思う。そして家を買うことによってお金がどんどんかかるし、安い家を買うとメンテコストの方がエネルギーコストより高いと思うので、そういうところも含めて現実を見る(必要がある)。家というのは夢も持ちながら、自分が40歳・50歳・60歳・70歳になった時の使い勝手・健康を考えなきゃいけない。介護をするにあたっても寒い家で介護をするのはなかなか大変です。

うちのお客さんなんかも、意外に医療関係の方が多いんだけど、みなさんがよく言われるのが、今はそんなに(長く)病院にいられなくなってきてるし、だんだん看護師さんたちが減ってきたら自宅で療養・介護をしないといけなくなるので、家がちゃんとしていなければなかなか難しいという現実もあります。それを今 家づくりをされている若い方に想像しようと言っても難しいと思うんだけど、そういう現実論があるということを頭のどこかに入れておいていただいた方がいいのかなと感じます。

私は今56歳で、30歳ぐらいの時に1回目の家を建てて、2回目は40歳で建ててるんです。2回建てたとはいっても、1回目は親と共同で建てて、今は(その家には)親が住んでいて、2回目は自分で建てたという感じだけど、若い頃と今とでは家を作る時のイメージは(違うので)、仮に今から私がまた家を作るとしたら全然違う要望とかが出てくると思います。でも結局、若い時は多少は寒くても何とかなっちゃうみたいな勢いもあるし、外に出てる機会も多いから、それで気が紛れたりする。あとは若いからお金も稼げるし、お子さんが小さくてお金がかからなかったりするから、いろんな部分でパワーはあると思う。

年を取ってくると、そのパワーもだんだんなくなっていくのは事実だし、年を取ってもそれを必死にやらなくちゃいけないというのはなかなか大変だし楽しくないと思う。そう考えると、ちゃんとしたものを若い時に作って、それを末永く使っていく方がトータル的には安いんじゃないかなという気がします。あくまでもこれは私の意見で、100%の話ではないけど、そういうやり方もあるということは頭のいいみなさんだったらわかると思いますので、お考えいただければという風に思います。

今うちのお客さんでも20代の方が増えてるんですけど、意外としっかりしてます。20代の方はネットを使って知識を取得することにものすごく長けてる感じがする。なので意外に客観的な物の見方ができている方が多い。逆に40代ぐらいの方、バブルの余韻があった頃の40代〜私のちょっと前ぐらいの人の方が情報の取り方がうまくないかなという気がします。30代後半〜50代ぐらいの方は20代〜30代前半の方ほどは情報をうまく取り入れて自分で取捨選択するということがあまり上手ではない感じがします。

では次です。

「セルロースファイバーは断熱欠損が少ない分、それ自体である程度気密とれるのが良いですね。あと木材は断熱性能が断熱材より低い分、屋内外の温度差が大きいと外壁の柱部分が熱橋になって水分を含みやすくなると思いますが、そういう場合セルロースファイバーが多少水分を吸収して緩和してくれる効果とかありますでしょうか。」

セルロースファイバーは気密が取れません。それ単体では、間違いなくセルロースファイバーだけだと正直難しいかなと思います。確かに断熱欠損は少ないんだけど、それだけでは難しいです。

熱橋をしても、木材にはそこそこ断熱性能があるので、木材が水分を含むということはほぼないです。ただ、そうは言っても、すごく湿度が高いようなところだったら、木が水分を多少含むということはあるけど、それでも今使われてる材木というのはほとんどが乾燥材であるはずだから、ちゃんと通気を取っていれば、木材が水分を含んで中でペチャペチャするというようなことは私の感覚ではないです。セルロースファイバーが木にくっついた水分を吸ってくれるなんて、そこまでのことはないと思う。

あとは、熱橋で水分を含んでる木があったとして、そこにセルロースファイバーがくっついてていつも水分を吸ってるんだとしたら、下手するとセルロースファイバーにカビが生える可能性もあります。そんなにセルロースファイバーが木の水分を吸ってる状況が続いてるようであればね。そもそもそういう状況は私の経験では今のところないですが、そうは言っても、木が水分を含むということは昔の家だと雨水の処理が悪くて水が差しちゃったという状況はあるかもしれないけど、なかなか今はないんじゃないかなと思います。

セルロースファイバーについての質問は他にもありました。セルロースファイバーには乾式と湿式というのがあって、乾式はブローイングという乾いた新聞紙をボーッと吹き込むもので、湿式は新聞につけたセルロースファイバーをペタッと貼るような感じです。その湿式と乾式とでは、どっちの方がいいのかというと、湿式の方はペチャッと固まるので、乾式と比べたら隙間が開いてずり落ちるということがないんです。固定されるから乾式みたいにだんだん自重で下がることはないんだけど、湿式は壁しか使わないのかな。昔は湿式もやったことがあるんだけど、今はやらないです。断熱欠損が起こりやすいイメージがあるので、じゃあ乾式だったら下がっちゃうのかというと、他の動画でも言いましたけど、細かく吹くこともあれば密度をちゃんと上げて55kgぐらいで吹いてあげるとか、あとはなるべく壁面であれば基本的には筋交いとかを使わないパネル工法でやってスポーンと入れてあげるという風にして固めてあげる。そうすればそんなに落ちることはないと思う。ちゃんと密度を上げて筋交いを使わずにパネル工法でやれば、だからといって湿式が悪いというわけじゃないんだけど、湿式は今の住宅では少ないと思います。