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 | 2024.10.20

①温度と湿度の最適なバランスは年齢で変わる②冬より夏の消費エネルギーが上がっていくかも③Ua値0.17の家を建てる理由④地域補正を使っていますか?⑤ローコスト住宅がUa値を下げると・・・

https://youtu.be/uZCGYCYyDoE

今回は質問コーナーです。

今日は9月10日ですが、まだ暑いですね。おかげさまで、モデルハウスのエアコン設定温度は25℃で、室温は25.8℃、湿度は51%になっています。窓をずっと開けているので、日射が入って室内に熱が溜まっています。そのため、家の中が温まりやすくなっていますが、逆に室温が上がることで湿度が下がり、快適に感じられます。今は撮影しているのでこの格好をしていますが、自宅でパソコンをしているなら27℃くらいのほうがちょうど良いかもしれません。

温度と湿度の快適さは、本当に年齢による差があります。小さなお子さんや活動的な人は、湿度を下げるよりも温度を下げた方が「スカッ」と感じることが多いです。一方、年配の方は、温度が高めでも湿度が低い方が心地よいと感じる傾向があります。実際、お客さまからもそのような意見をよく聞きます。昨日も2年点検で鴻巣のお宅に伺い、2階のリビングを見てきました。そこでは、屋根裏エアコンをずっと回していて、温度計は25.5℃、湿度は55%でした。生活していると家の中で湿気が発生するので、湿度は55%くらいになります。そこで「温度が上がるかもしれないけど、窓のハニカムブラインドを開けて日射を取り入れると、湿度が下がるよ」とアドバイスしました。まだお子さんが小さいのであれば、日射を抑えて温度を下げ、湿度が多少高くても快適にする方が良いです。ご主人が「暑い夏でも風呂上がりに涼しいのが気持ち良い」と言ってくださったのは、本当にありがたいことです。

冬場も家は非常に暖かいです。鴻巣のお宅では、一階が駅前で周囲に建物があるため、日射取得がほとんどできませんが、二階で十分な日射取得ができています。電気のデータ(HEMS)を見せてもらったところ、冬の暖房費は夏の冷房費よりも低く抑えられていました。

昔は、冬の暖房費が高額になるため断熱性能を重視していました。HEAT20もそうですし、省エネ地域区分の基準も、主に冬の暖房エネルギーを削減するためのものでした。しかし、最近の暑さを考えると、冬よりも夏の冷房エネルギーの方がかかることが多くなってきています。これからの家づくりは、間違いなく変わっていくと感じます。

ただ、私が生きている間に大きな気候変動が起こるとは思いません。恐竜の時代から今まで、気候は温度が上がったり下がったりを繰り返してきました。長い歴史の中で、温度がずっと上がり続けることはないでしょう。500年後くらいには温度が下がるかもしれませんが、私が生きている間に氷河期が訪れるような急激な変動はないと思います。

そして「夏に涼しい家」は、どんなに高性能な住宅でも、Ua値だけで涼しくはなりません。メルマガにも書きましたが、夏に新潟の佐藤工務店さんが作った「Ua値0.17の家」を見学させていただきました。新潟県にはUa値0.17の家が必要な理由がありますが、群馬県ではその条件が違うため、同じUa値は必要ないと思います。Ua値0.17の家は確かに素晴らしいですが、エアコンなしでは涼しくなりません。また、Ua値を下げるほど、エアコンの温度は早く下がるものの、湿度コントロールが難しいと言われています。良い家を作っても、湿度が高ければ快適にはなりません。結局、その地域の特性に合わせたバランスを取ることが大切です。地元の工務店が、その土地の気候や住環境を考慮しながら家を作ることが重要だと思います。

省エネ地域区分やUa値について、再度確認しておきましょう。省エネ地域区分は、日本を8つの地域に分けており、1が最も寒い北海道、8が最も温暖な沖縄となっています。群馬県の場合、当社のあるエリアは5か6地域に該当します。この区分に加えて、高性能住宅を手がける会社ではよく「HEAT20」の基準が使用されます。例えば、HEAT20の5地域でG2基準だとUa値はいくつ、6地域でG3基準だとUa値はいくつ、といった基準があるのはご存知の通りです。

ただし、これらの基準は基本的に冬の暖房エネルギー削減を目的としています。つまり、冬に暖かい家を目指した基準であって、夏に涼しい家を作るための基準ではないんです。また、Ua値の基準はあくまで一つの目安であり、実際には地域補正が必要です。

例えば、群馬県でも草津や嬬恋村のような寒冷地では、HEAT20のG2基準でUa値を極端に低くする必要がありますが、実際には地域ごとに日射取得などの条件が異なります。嬬恋で日射取得ができる場所であれば、必ずしもUa値を極端に低くしなくても暖房エネルギーの削減が可能です。つまり、地域や気候に合った設計を考慮せずに高性能な家を建てると、無駄な費用がかかってしまう可能性があります。そのお金を他の快適性向上や耐震性能向上に充てた方が、トータルとして満足度の高い家になる場合も多いです。

現在、住宅業界では「Ua値の下げ競争」が進んでいるように感じます。ホームページなどでUa値の低さをアピールすることが、ある意味で一つの指標となっているのですが、消費者の中にはその意味や実際の効果を十分に理解していない方も多いようです。一方で、当社のお客様は比較的よく理解されている方が多く、他の高性能住宅メーカーと打ち合わせをしていたお客様が、当社と話した際に「Ua値に関する違和感」について指摘されたこともありました。それは間違いではないけれど、必ずしも家の快適さを決定する要素ではないということです。

例えば、あるお客様は「Ua値の競争で窓がどんどん小さくなり、外の景色を楽しめない家に住むのは全く楽しいとは思えない」とおっしゃっていました。私もその意見に共感します。家にこもって外の景色を見られないのが快適というのは疑問です。仮に共働きで日中あまり家にいない方は気にしないかもしれませんが、将来、年を取って時間が増え、子育てが終わった時に長く住む家の居心地を考えることは重要です。

なので、YouTubeをご覧の方で、家づくりについて悩んでいる方には、Ua値だけにこだわるのではなく、地域に合った設計や暮らしやすさを重視する視点を持っていただきたいと思います。Ua値は確かに重要な指標ですが、そこまで神経質になる必要はありません。

あと私がメルマガで書きましたが、ローコスト自宅メーカーさんもUa値を下げていかないと商売にならないのか、開発した家がすごいんです。その家は窓がほとんどないんです。

建築基準法の中で、家の面積や広さによって日射を快適にするためには窓を入れて日が入らなくちゃいけないという基準があります。そのギリギリを狙っているんです。基準法的にはOKで違反ではないんだけど、どうかなと思います。間違いなく風は通らないし、全館空調エアコン一台でいいと言われればそうです。でも生身の人間だから少しでも春夏秋冬を感じてほしいです。

そういう楽しみってあるじゃないですか。ずっと締め切ったハニカムやって、窓も開けず一種換気が効率良いと謳っている会社もあるみたいですが、かなり無理があると思います。それを一生いいと思える人もいるんでしょうが、価値観なので良い悪いは私はわかりません。ただ私は田舎で家を建てる人間なのでそれは無理だし、田舎の良いところも楽しんでもらいたいと個人的に思います。

省エネ基準の話からHEAT20の話から色んな話になりましたが、指標は取り方によって全然違います。そして意外に省エネ地域区分とHEAT20の数値だけで判断して惑わされている人が意外に多い気がするのでこういう動画にしてみました。