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 | 2024.03.21

①大事な資産を守る方法②事実が違う建築系YouTubeもある③桁上断熱は夏型結露を起こすか?④可変気密シートを貼ってもダメな壁もある

今回は質問コーナーです。

この動画は1ヵ月に1回ぐらいのペースで、10〜14本まとめて撮っていて、大体3〜4本はボツになります。ボツになる理由はいろんな事情があります。例えば、そもそも意味が伝わらないかなというものや、私のボキャブラリー不足の問題もあります。

もう1つは、これは言うとまずいかな、個人批判になっちゃうかな、という内容です。言いづらい内容はYouTubeで言うのはまずいところもあるし、人によっては個人批判・他社批判みたいに捉えられてしまうと困るので、その辺りは遠慮しています。

今日もまた1ヵ月分撮ります。いただいたコメントを凝縮して印刷をしているんですけど、ありがたいことに印刷してあるだけで25枚もあるんです。いろんなコメント・質問をいただいて、これは他の視聴者さんの役に立つとか、この質問は面白いとか、かいつまみながら毎月やっていく感じです。

まず最初のコメントです。私が言うのもなんですけど、いいコメントというか、客観的にものを見られている方だと感じる方です。以下の動画に対していただきました。

▼気密と断熱、ズバリ重要な方は〇〇。
https://www.kosodate-sekkei.co.jp/blog/kimitsu_dannetsu/

「各材料を組上げ敷設するだけ、気密を重んじずポエムだけのハウスメーカーを選定しないことが、自分の資産を無駄にしないことに繋がります。

熱移動の三原則、伝導・放射・対流を理解すれば、低気密は回避すべき重要な要素になります。気密の担保が先で断熱材のレベル(厚さ)は次ですが、両者の連続性を担保することは必須です。気密をしっかり(0.5以下程度)し、太陽光発電を載せ、パッシブ思想と樹脂サッシを採用すれば、付加断熱せずとも省エネでそこそこの温熱環境の家ができあがります。(防水と耐震等級3も忘れずに)

気密が悪い→
①主に対流により空気の熱と湿気が移動し断熱材の性能を発揮しにくい環境となる(空気は静止した状態で初めて低い熱伝導性を発揮する)
②外気(湿気)や内気が床下・天井裏・窓等開口部のスキマから勝手に出入りするから断熱材が効果を発揮しにくく、熱(湿気)も一緒に移動するため夏暑く冬寒い、各所の温度差による夏冬結露が生じ、カビ・体の腐食劣化・シロアリを誘引するリスクが大きい環境となる。
暑い寒い不健康な家を造り続けている一部のハウスメーカーの皆さん、勉強して日本の家の基礎レベルを上げてくださいと言いたい。」

この方がおっしゃった通りの三原則があるのと、変えられない客観的な事実ってあるはずなんです。例えば人間で言えば、タバコを吸いすぎると体によくないとか、運動せずに美味しいものばかり食べていると病気になりやすいとかです。

例外は絶対あります。どんなに食っても、どんなに運動しなくても、どんなタバコを吸っても、病気にならない人はいます。それはその人の持って生まれた体力などの都合で、一般的ではないと思います。

一般的ではない事実を、いかにも正しいことのように言う人もいます。これは住宅業界でも見ます。「それってたまたまでしょ」「それはその地域だけでしょ」ということを、「家づくりってこうなんですよ!」という風に言う人っていますよね。

それも確かに事実は事実です。世の中、100%正しいことは1つしかないらしいですから。その事実が何かは、前にメルマガで書きましたのでここでは言いません。それ以外の事は全て、正しいこともあるし正しくないこともあります。ただ客観的に見ると「それはかなりレアなケースなんじゃないの?」ということがあります。

家づくりでも何でもそうだけど、その中でやっていくものです。家づくりも、自分の健康管理も、お金の使い方も全て、私はそうだと思っています。その中でうまくバランスを取ってやるのが、家づくりでも人生計画でも、それが全てだと思います。そういうことを考えながら、バランスを取って家づくりをするのが一番じゃないのかと思います。

そうなると、言い方が失礼かもしれませんが「こういう動画は見ない方がいいんじゃないかな」「こういうことを言っている建築系YouTuberの方の動画は見ない方がいいんじゃないかな」「見ても時間のムダじゃないの?」と思います。

私も偉そうなことは言えないけど、「明らかにそれっておかしいよね」ということを普通に言う方や、その方のすごく狭い見識で、「そういうことも起こるかもしれないけど、それってすごく稀じゃないですか?」ということを言う方も、建築系YouTuberの方には多いと思います。

「集成材は絶対ダメ」「無垢材は最高」と言う話も全くそうですよね。何を以て、どういう前提条件でやっているのか、そこですよね。

あくまでも私の意見ですけど、この辺りについて書いたメルマガでも、客観的にものを見られている方・良識のある方は、そっちに引っ張られていない感じがします。これが、この前配信した動画の「読解力」というところです。読解力はものすごく重要です。同じ文章を読んでも「そうは言っていませんよね」という解釈をする人はいます。

例えば私の過去の動画だと、地熱の動画と発泡ウレタンのスキンカットの動画について、あの動画を見て私が言いたいことをきちんと理解している人は、私の感覚では3割ぐらいな感じがしました。7割の方は全然違う解釈をしている気がします。

地熱の動画で「俺そんなこと言ったかな?」と、失礼だけど笑ってしまったのが「東京スカイツリーでも採用しているのって何をやっているんですかね」というコメントです。東京スカイツリーの地熱って、住宅とは違いますよね。なんでそう飛躍してしまうのかと思います。

スキンカットの動画も同じで「松尾先生はスキンカットしてもいいと言っています」というコメントがありました。決してそう言ってはいないと思います。これが読解力ってやつです。

その人の頭の中では、失礼だけど「松尾先生が言っていることは全て正しい」となって、松尾先生は「スキンカットしてもいい」とは言っていないけど、そう言っているように聞こえてしまうんだと思います。それだけでも全く回答が変わってしまいます。

読解力についての動画はあまりウケませんでした。あくまで私の感覚ですが、私的には大事なことを言っている動画の方が、伸びない感じがします。

次の質問です。以下の動画に対していただきました。

▼①住宅会社の手違いでアルゴンガスが入っていなかった②いま蓄電池を買ってはいけない③セルロースファイバーが正しく施工されているか?を確認する方法④私が不得意なお客さん⑤ノボパンを採用する理由は何か?

①住宅会社の手違いでアルゴンガスが入っていなかった②いま蓄電池を買ってはいけない③セルロースファイバーが正しく施工されているか?を確認する方法④私が不得意なお客さん⑤ノボパンを採用する理由は何か?

「桁上断熱について質問です。現在工務店さんで注文住宅を建築中で、屋根断熱は桁上断熱でお願いしたのですが、夏型結露を心配しております。桁上断熱の構成は、下から順に構造用合板・防湿気密シート・高性能グラスウール(袋無し)で、ネットにあふれている桁上断熱の構成の多くと同じ仕様となっておりますが、素人の私が考えてもグラスウール内で夏季に結露するように思うのです。これは大きな問題とならないでしょうか。

問題となるのであれば解決する方法としてボード系断熱材を敷き詰めてその上に防湿気密シートを施工すれば良いと思うのですがいかがでしょうか。ご意見をお聞かせいただけるとありがたいです。」

桁上断熱ってわかりますか?桁という梁の上に断熱材をする方法です。

屋根の下でやる断熱方法は、大きく分けると天井断熱・屋根断熱・桁上断熱の3つがあります。

図で説明します。屋根・床・天井があるとします。桁というのは、屋根を支えるために横になっている木材で、つっかえ棒だと思ってください。梁と言う方が理解しやすいかもしれません。三角形の屋根を構成する構造として、天井の上には必ず桁という材木があります。屋根断熱は、屋根下で断熱します。天井断熱は、天井面の下側で断熱します。桁上断熱とは、桁の上で断熱する方法です。なぜ屋根・天井ではなくこんなところでやるかを説明します。

天井断熱は天井面で断熱をしますが、ここに換気扇やダウンライトをつけたとすると、ここで断熱気密層をとっても、穴を開けるわけだからそれを貫通してしまいます。するとそこで、気密・断熱の欠損が起こることが実際にあります。天井断熱の場合は、こういうことも含めて考えなければいけません。

そこで考えられたのが桁上断熱です。桁の上のところで断熱をして、気密面もここで一緒に取ります。そうすると、天井に電気をつけようが換気をつけようが、断熱気密層は全く関係ないですよね。自由に配線もできます。

私も屋根断熱をやる理由はここです。屋根で断熱をとっていれば、その下はどこに配管・配線を通そうが、天井に穴を開けてうまくテープを貼って心配しながらやるより、施工としてラクです。

この方は本当にこの通りで、桁上に袋なしグラスウールを入れて気密をとる、一般的な桁上断熱でやっていますが、グラスウールの中での夏型結露を心配しています。

夏型結露についてはメルマガ・YouTubeでも何度か解説していますが、夏に外からすごく暖かい湿った空気が入ってきて、それと家の中の冷えた空気がどこかの面で隣り合って、そこの面で結露を起こすものです。図で言うと、室内をすごく冷やした時に、屋根裏から暑い空気と湿気がくると、断熱材の中で結露するんじゃないかと心配されています。

桁上断熱で気密を取った場合、屋根裏は外空間という感じです。あとは一般的には、こういうことをする時には、夏型結露を防止するために棟換気をつけて、通気をきちんとします。夏型結露を防止するためにいい事は、やっぱり通気です。これは私がお世話になっている西の巨匠も言っています。

その方が施工している地域は、3方を海に囲まれて湿気がすごい場所です。その湿気をいかに処理するかというと、可変気密シートなんかもいいけど、それを回して通気させることが一番大事だと気づいたそうです。図で言えば、仮にどこから入ってきても、棟換気で湿気を抜いていく感じです。ましては屋根は、壁と違って屋根裏空間がありますから、余計に抜けやすい側面はあります。

もしこれがぺったり屋根の軒ゼロ住宅、換気ができない家だったら、もしかしたら屋根裏で夏型結露の可能性もあるかもしれません。しかし、桁上断熱はそんなに一般的なものではありません。おそらく桁上断熱をやっている会社さんでは、そういうところも感覚としてあると思います。ちゃんと棟換気もつけながら、屋根裏もちゃんと通気をさせる事も考えていると思います。

あとは、グラスウールはセルロースとかと違って水分をそんなに含むものじゃないので、開放型であれば夏型結露の心配はそんなにいらないと思います。

ついでに言うと、夏型結論に関しては通気がものすごく有効だということを言いましたが、可変気密シートを使う方法もあります。その他の方法もあって、ざっくり言うと3パターンあると思います。

ただし、家の構成・作り方によっては、夏型結露対策にはならない方法もあります。3つの方法があるけど、あなたの家のこういう壁の構成の場合はこの方法ではほぼ意味がない、ということもあります。それについては、メルマガの方でゆっくりと解説したいと思います。