今回は、下記の動画の質問コーナーです。
▼平屋を計画する場合の注意点
再生回数はそんなに多くなかったけど、意外にウケた感じはあります。メルマガでも2回にわたって、より詳しく平屋を計画する場合のポイントを書きました。そちらの方がウケたのか、実際に感想も案外いただきました。まずはその中の1つをご紹介します。
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どうもです。
スペースを無駄なく使える公民館…ちょうど冬に日が入り難くなる所に杉林…土地の所有者さん…切らないかなぁ〜って思ってます。
綺麗に手入れされてて、林的には借景的で良いのですが…。
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この動画では、平屋の家ってあまり効率的に考えてしまうと公民館みたいになってしまうということを話しました。
あくまでも私の理屈ですが、そういう形はあまりカッコよくないし、中からも外からも見え過ぎちゃいます。あとは窓をいっぱい付けて、家の中が明るくなりすぎることもあります。
別に公民館が悪いわけじゃないですよ。公民館という建物は元々、ムダなく使うという考え方なので。みんなが使う場所だから、ものすごく効率的に作られているんです。
一般のお家でああいうシチュエーションで家を作るのは、なかなか難しかったりします。あまりにも窓を付けると、日射取得しすぎて家の中が暑くなるし、そもそもそういう形で作れる場所もなかなか少ないです。
杉林は借景としてはいいけど、日射取得には邪魔だということで、この辺は悩ましいところですよね。ここは借景というところでプラスとして考えた方がいいかもしれませんね。
だって、そんなキレイな杉林って自分で作れないじゃないですか。それを楽しむことの方がいいと思います。その分、冬の日当たりが悪くなる場合は窓の付け方を変えるとか。借景は楽しむとして冬はどうしても寒くなるから、その分を断熱で稼ぐという方法もあります。
効率的な空調計画で稼ぐ方が、トータルとして私はいいと思うんです。確かに涼しい・暖かいというのは1つの指標ではあるけど、それだけで長く住んでいて満足感が高まるかというと、私は高まらないと思っています。ここは価値観によっても違いますけどね。
やっぱり日本って春夏秋冬があるわけだし、景色は自分ではなかなか作りづらいです。外構計画で作ることもできますし、その作った外構を楽しむのは人間としては気持ちがいいじゃないですか。
この辺りに関しては、「家は性能だけが大事」とは違うんじゃないかなという風に私は思っています。
ずっとハニカムブラインドを閉め切りで、一種換気を回して、全く窓を開けずにずっと住んでいくのは、効率はいいかもしれないけど私はちょっと無理だな。若い時はゲームするとかNetflixを観るとかできるけど、歳を取ってずっと時間があるとなかなかそれも限界が来ると思います。
この辺りはその方の求めるものがあるから、良い・悪いはないけど、私の経験上だと性能だけではないと思っています。
その窓を付けることによって少しマイナスになるかもしれないけど、その窓を付けることによって室内が明るくなるし外も見られるというメリットもあるじゃないですか。ただその窓が弱いのは事実だから、トリプルガラスにしてハニカムブラインドを使えば補えるじゃないか、という考え方もありますよね。
あとは前にもお話ししたと思いますが、今作っている鴻巣のお家は、敷地が西方向に45°斜めになっていて、両側をアパートで囲まれていて駅近の住宅街の中であまり良い条件ではありません。敷地の形もちょっと長細いので、ノベーッとしちゃいます。
その中でも窓のつけ方を工夫して日が当たるようにして、高窓(ハイサイド)を付ければ、座った時に周りの風景や空がちゃんと見えるし、ものすごく気持ちがいいと思うんです。
このお家のご主人さんが当社を選んでくれた理由を伺ったときのことを、今でも覚えています。「家って暑さ・寒さとかUA値とかも大切だけど、多少寒くても・暑くても、住んでいて楽しい・気持ちのいい家の方が好きなんです」「窓を小さくして開放的にしない代わりに熱損失が減ると言われても、あまり響かなかったんですよね」と。
「多少数値的にマイナスでも、空調機で補えればいいんじゃないか。そういうことが小暮さんのところだったらできるのかなと思って、相談してみました」と言われたんです。それは全く正しいですね、と言いました。私もそう思っています。
夏であれば、太陽光パネルで低燃費で空調機を使えるわけだから、そんなに電気代もかかりません。そういうのをうまく使っていく、もしくはちゃんと断熱・気密、日射遮蔽・日射取得してあげれば、普通の壁掛けエアコンで住めるわけです。
そこまでさらに削っていくとなると、パッシブハウスになって逆に建築コストがどんどん上がっていくので、1つの方法としてはいいけどそこまでやってもな…というのが私の考え方です。
これは本当に良い・悪いじゃなくて、私はあくまでそういう考え方でやっています。それが合うということはものすごく嬉しいことだし、お客さんも私も不安なく楽しく家づくりができるから、お任せいただければ嬉しいです。
次の方のコメントです。
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いつも有意義な動画をありがとうございます。
動画の内容と関係無い質問で恐縮ですが、ご教授下さい。
いわゆる総2階建を検討していますが、室内干しメインとなるのでベランダは考えておらず、2階の窓は気密生を考慮し、開閉できる窓は全て滑り出し窓(縦or横)の予定です。
お聞きしたいのは、主に火災で1階へ降りれなくなった場合、避難路をどうするかという事です。ベランダ、もしくは引き違い窓があればハシゴなど用意しておけば避難可能かと思いますが、人1人通れるくらいの窓は必要でしょうか。
何か対策や実例があればお手隙の時にご意見頂けるとありがたいです。
よろしくお願いします。
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うちも基本的に西・北・東は、気密性と熱損失を考えてすべり出し窓しか使っていません。南側はドーンと開けて、日射取得と共に開放感を出します。春・秋の季節には、窓を開けて風をスーッと入れる感じです。
まず、気密性を考慮して窓を全てすべり出し窓にしたということです。うちは、南側に引き違いの2200mmの大きい窓を4〜5ヵ所は付けているけど、気密測定してもそんなに悪く出ないんですよね。
実際には、日射取得が小さければそんなに付けなくてもいいんだけど、デザイン性とか開放感を含めて多めに付けています。そのぶんアウターシェードを付けたりしていますが、今のところそれでも別に問題は出ていません。
ちょっと言い方は悪いけど、すべり出し窓にしないと気密が上がらない家は、逆に窓以外のところから漏れてるということだと思います。
今年の最初の頃の動画で、うちが今年から窓をYKKのAPWからLIXILのEWに変えるとご報告しました。樹脂窓から樹脂窓への変更です。その理由はここでは言いませんが、メルマガを読んでいる人はわかると思います。金額・性能じゃないところで変えました。
性能は間違いなく、カタログ数値でEWの方が良くなっています。金額的には正直EWの方が高いんです。ただ今回、そのお家がEWを採用するにあたって、LIXILさんにご協力いただいてYKKさんと同じ金額にしていただけるということになったので、より買いやすくなったというのもあります。
うちはさっき言った通り、南側に引き違いの大きい窓を付けます。引き違いの大きい窓ってどうしても横に動かすから、下枠が弱い傾向があるんです。日常生活ではそんなことあまりやらないけど、APWの時にレンジフードを強にして下枠の所に手を当てると、案外スーッと風が来るんですよね。あれがすごく気になっていて。
それはYKKさんにも言ったことはあるけど、「なかなか難しいですね」みたいな回答でした。「あくまでも大きな引き違い窓なので」みたいな。
それをLIXILさんに言った時に、「確かに大きい引き違い窓だから仕方ないんだけど、かなり当社として改善はしています」ということで、実際に実験動画を見せてもらいました。見てみるとなかなか良さそうです。
金額も悪くないし、性能もカタログ通りに合っているし、気密性能についてはカットモデルを見せてもらって案外良くなっている。あとはさっき言った、性能でも金額でもないところの懸念事項も一応クリアできる感じがあったので、変えました。
今年に入って、今のところ4回気密測定をやりました。大工さんが3人いるので、違う人の測定をそれぞれ現場ではやっていますが、測定値としてはほぼみんな0.1ぐらいになっています。下枠は強いんじゃないかなという感じは、実感としてもあるんです。
別にLIXILさんをヨイショするわけじゃないけど、もしYKKさんとLIXILさんで迷われてる人がいるのであれば、性能という部分で見た時にはLIXILのほうが確実にいいんじゃないかと思います。
気密性を考えるのであれば、引き違い窓でもそんなに気密性能が悪くないのは事実です。でも、このご質問者さんのように避難のことを考えると、全てを縦すべり出し窓・横すべり出し窓にしてしまうというのは怖いかもしれませんね。
横すべり出し窓・縦すべり出し窓にするんだったら、窓によってはある程度の幅があって、人間が出られるようなものがあったと思います。ロックを外すとできるはずです。そういうのを考えながらやられるのもいいのかなとは思います。
なぜかわからないけど、引き違い窓にすると気密性能が悪くなるというのは、多分住宅会社さんが言うんじゃないのかな。私からすると、それは家自体の気密があまり取れていないから窓でなんとかしようとしているのかなという感じです。そして、それはあまり正論ではないと思います。ぜひ参考にしてみてください。