今回は質問コーナーです。メルマガにいただいた感想をシェアします。
メルマガの感想は、質問よりも意見の方が多い印象で「こういうのはどうですか?」「こう思います」という感じです。他の方はこういう風に考えてる人もいるんだ、などと参考になります。失礼なことを言うけど、YouTubeに書いてあるコメントは本当に参考にならないものがすごく多くないですか?明らかに「何言ってんのこの人?」というYouTuberの動画に対して「そうとは知らなかった!」「そうなんですね間違うところでした!」「こういう動画見たかった!」みたいなコメントが多いです。本当に見ている人が書いているのか、サクラが書いているのかと思ってしまいます。
この前オープンハウスに来たお客さんも「今のYouTubeってよくわからない、今は建築YouTubeブームでいろんな人がやっているから、おかしなものが本当に多いですね」と言っていました。
私がこのYouTubeを始めたのは5年半前で、その頃は一部の人が好きでやっていた感じでした。でもここ半年ぐらいは、雨後の筍のようにみんな始めるようになり、いろんなことを言っています。当然、以前からやっている人が言っていること・原理原則を同じように言ってる人もいます。でもそれだとアクセスも増えないし、オリジナリティが全くないから飽きやすいです。そうすると、違うことを企画しますが、必ずそこでYouTubeの制作会社さんが絡みます。街場のホームページ屋さんが「YouTubeやります!」「ホームページ作成します!」「アクセス多数の会社の実例!」などと言って、当社にも毎週のように売り込みにきます。どこの会社のを作ってるのかと思って見ると、知らない会社だったり、◯◯10選!みたいな動画を作っているようでした。
私が次回のメルマガあたりから「◯◯ダメーー!」「◯◯10選!」みたいな動画を始めたら、恐らく引きますよね。「小暮さんどうしちゃったのかな…」「小暮さんも登録数稼ぎに走ったか」とか言われちゃうとカッコ悪いし、私はさすがにそっちの方向には行きません。何度も言っていますけど、私のYouTubeは好きな人に見てもらえればいいのです。群馬県の田舎の工務店のオヤジが、自分の実体験を通して好き勝手なことを言ってるのが面白い・興味あるという人に見てもらえればいいのです。余計なことを書きたい人は見ないで、違う方に行ってください。
話を戻します。コメントは、YouTubeにもコメントをくれている方からです。たしか前にも問い合わせがあった、都心のマンションにお住まいの方みたいです。
「いつも楽しく拝見させていただいております。きょう小暮先生の付加断熱の過去動画を見て、付加断熱やめよう、と迷いを断ち切ったばかりなのに。
娘の住む●条工務店の家ですが、けちんぼを自認するあの子がアイスマートなるグレードの高い買い物をするはずがない、と勝手に思いこんでおりました。ところがよくよく話をきくと、建てた当時はそれより下位のグレードがなかったらしく内外断熱19cmが標準仕様。なるほどね。窓もトリプル、クリプトンガス入りなわけだ。という事情で・・
娘の家の近くに家を建てたものの、孫が遊びに来てくれた時に「ばあたんち寒い」と言われたら悲しいです。お庭の常緑はソヨゴで、落葉は株立ちのあまり大きくならないアカシデにして、と楽しく妄想していたところだったので、ま、付加断熱問題はしばらく保留!!
さて事務の方が夏困られたのは、高断熱ゆえの暑さでしょうか?冷涼な軽井沢の隣町でも、昨年夏蒸し暑い日がありまして、エアコンつけるのかな?と思いきや娘はガラッと窓を開けておりました。(やっぱりけちんぼ?)1種換気に影響及ぼすので、営業さんいわくあまり窓開けはおススメしない。。とか。
大きなおおきな北の窓からムスメ自慢の浅間山が見えました。営業さん、「窓は小さめのほうが・・」と言ってたそうですが。営業泣かせの施主のようでございますね。」
この下田島モデルハウスも付加断熱していますが、これはすごく性能を上げるためではありません。元々、8年前に作った下田島モデルハウスの性能がG1.5だったので、そろそろ足りないだろうということで、G3に行かないぐらいにしています。「うちはUA値0.1なんだ」みたいなとんでもない家は作ってないし、作っても仕方ないかなと思うので現実的な付加断熱をやっています。
この方の娘さんは◯条工務店さんで建てたそうですが、◯条さんは今どんどんグレードを下げていますよね。最初の時はトリプルガラスの付加断熱仕様だったけど、もしかしたらそこを買える層の人はもう終わっちゃったのかもしれません。今は工事コストとかいろんな問題で、低性能系に移っているというのはあると思います。お客さんの家によっては、トリプルでなくオールペアガラスの窓や、付加断熱をしない家もあるみたいです。
「孫に家が寒いと言われたら悲しい」とのことですが、当社のお客さんでもこんな話を聞いたことがあります。
当社のお客さんと、そのお客さんのママ友が、ほとんど同時期に家を建てました。ママ友の方は某ハウスメーカーさんでお洒落な鉄骨系の家を建てて、当社のお客さんは木造で床下エアコンの家を建てました。家ができあがったらお互い遊びに行くことになり、最初に当社のお客さんが友達の家に行ったそうです。ぱっと見た瞬間ハウスメーカー!という感じで、縦すべり窓が南側についていて、「日射取得足りないんじゃないかな」と思ったそうです。入った瞬間に真っ白い床でおしゃれ、と思ったけど「フローリングなんだ…」「家の中が暗い、日射取得足りないのかな」と思ったそうです。さらに、壁掛けエアコンから風がブーブー吹いてくるから、顔が乾燥して足元は寒いという感想を持ってしまったそうです。
その後、今度はその友達が当社のお客さんの家に来ました。「すごく暖かい、足元も暖かいね。床暖房?」と言われて「床暖房じゃないけど、エアコン」と言うと「エアコンなんてないじゃん、どこについてるの?」と言われて床下エアコンを見せると「なんでここにエアコンが埋まってるの?」と言われたそうです。でもその時はエアコンをつけておらず、「これは夜に使うぐらいで、基本的には日射取得で太陽の光で家の中を暖めて、熱を逃がさないようにしている」と説明すると、友だちは「へえ…」となったそうです。こういうのは、すごく実体感としてわかりやすいですよね。
その後にお客さんが私に言ったことですごく覚えていることがあります。私は誉め言葉だと感じました。「令和の時代に、大きな会社のハウスメーカーさんが建てた家と、当社みたいな小さな会社が建てた家があって、確かに子育て設計さんの家は高性能系だから、その会社の家より性能がいいし暖かいだろうと思っていた。車で言うと、ヨーイドンでスタートしたら5〜10メートルぐらい先にゴールする感じかと思っていた。しかし実際に体感したら、30メートルぐらい前でゴールしたような感覚だった。こんなになっちゃうんですか?」と言われました。ここが家づくりの難しいところです。実際になっちゃうんです。
他の動画でも話しましたけど、ようやく、2025年の4月1日以降に建築する住宅は断熱等級4を遵守しなければいけないことになりました。この「断熱等級4の家」はどんな家かというと、真冬に暖房しない場合にこのぐらいの室温の家、となっています。それを知ってる人はびっくりすると思いますが、そんな基準の家がようやく2025年に義務化されるんです。ちなみにこの基準が作られたのは1999年です。26年前に作られた基準が、来年やっと一応義務化です。
でも、国は「これ以上にしなさい」というだけで、「そこはちゃんと守ってます」という風にする住宅会社さんは、ハウスメーカーさんに限らずすごく多いです。それと比較したら、さっき言ったように、10メートルぐらい先にゴールすると思ったら40メートル先にゴールする可能性もありますよね。
事務員さんが夏に困った話は、高断熱故の暑さというよりも、高断熱プラス日射遮蔽をしてないから、あとは窓の付け方の問題かなという感じです。高断熱はいいことなんですが、その高断熱を生かすためには、夏で言えば日射遮蔽や窓の付け方をセットにしないと、逆の方向に行っちゃいます。もっと言えば、空調計画をやらないと、高断熱で日射遮蔽したところに冷気を入れなければ、涼しくなりません。
ただ、長野県の軽井沢・松本など、ああいう所であれば山に近くてカラッとするから、なんとか扇風機で我慢できたり、夜になると放射冷却で涼しくなるから、窓を開けていれば涼しくなる地域もあります。
当社の近所にも一条さんの家が建ってますけど、デザインも考えてつけているのかわからないけど、北側にすごく大きいFIX窓がついています。ちょっと悪口っぽく言いますが、北側に2m*2mのFIX窓をつけても、でもすぐ裏には家があるから、あんまり風景はよくないと思います。結局ハニカムをずっと締め切りになっちゃうし、トリプルガラスでも熱損失を起こすから、つけない方がいいと思います。軽井沢で浅間山が見える中でやる分には悪くはないと思うけど、軽井沢辺りのマイナス2桁になる所でつけちゃうと、逆にマイナスになることもあります。
それをやっちゃいけない訳じゃないけど、どこを優先するかとトレードオフです。絶対に悪いということはないので、この辺りは考えながら家づくりをされた方がいいのかなと思います。