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プロが語る家づくり
 | 2021.03.18

Vol.11 耐久性のポイントは耐震性と水害対策

小暮:
やっぱり今は人の寿命も伸びていますから、建てた家に50年という単位で住み続けなきゃいけない時代が来る。当然耐久性が高い、長持ちする家をつくるしかないと思うのですが、そのときに先生が考える、こういうのに気をつけた方がいいとか、こういうものは使わない方がいいっていうのを具体的に教えていただければ。

松尾先生:
やっぱり、まずは耐震等級3ですよね。耐震等級3っていうのが絶対ですね。これがないと地震とか超えられないですよね。

小暮:
ちなみになんですけど、「耐震等級3相当」ってありますよね。あれはどうなんですかね。

松尾先生:
2つあって、これは構造塾の佐藤さんの動画見ていただくのが一番正確です。耐震等級については建築基準法ギリギリっていうのが耐震等級1です。それの1.5倍の強度があるのが一般的に耐震等級3って言われるんですけど、それを意訳して壁量が耐震等級1の1.5倍あるやつを、壁の量が1.5倍あるっていうことを、強度が1.5倍あるっていうふうに勝手に読みかえを行って、これを耐震等級3相当って言ってる会社が結構多いんです。これはダメというか、本当の耐震等級3とは全然違うんだというふうに佐藤さんもおっしゃっています。僕もそうだと思います。

小暮:
それは全く違いますよね。

松尾先生:
もう一つは、これはうちの松尾設計室でもあるんですけど、耐震等級3っていう公的なお墨付きをもらおうと思ったら、検査機関に出して審査してもらって証書をもらわなきゃいけない。それをもらったら正式な耐震等級3になるんですけど、もらおうとするとどうしても家の申請作成料プラス民間確認検査機関っていう役所に見てもらう手数料っていうのを払わなきゃいけないんですね。その手数料を加味するとまぁまぁな金額になるので、それをもらわずに全く同じ計算をして強度だけは同じ強度がありますよっていうのを耐震等級3相当って言っている2パターンがあります。後者は別にいいんですよ。

小暮:
うちも実際そうですね。耐震等級3って設計して、ちゃんと性能審査すれば3が取れるんですが、そこは一応オプションです。

松尾先生:
そこは、一応契約のときに紙に出すようにしています。これは書類を出せば証書がもらえますが、そうではないので例えば地震保険の時に耐震等級3の適応はできないですよみたいなことがありますので、そこは最初の契約のときに確認するようにしています。

小暮:
そこは私もそうしています。たまにお客さんに言われるんですけど、地震保険で安くしたいので耐震等級3の証明書くださいって。それは私が勝手に3と言ってもしょうがないので、申し訳ないけど国の機関の方に出していただければ絶対お墨付きはもらえるので、その分のお金は10万とか10何万とかはかかっちゃうんですよと。

松尾先生:
個人的な独断と偏見ですけど、耐震等級3を取ったら地震保険には別に入らなくてもいいんじゃないかなと思いますね。

小暮:
私もです。耐震等級3をとれば、地震保険にはいっても多分地震保険がそのまま満額出るような倒壊はしないと思うので。

松尾先生:
国の災害対策委員会に勤めている人の本に、東南海地震とか関東大震災が本当に激しく起こって、1000万を超えるような単位で被害が起こると、全員が地震保険を請求してきたら内部留保している根源の額が足りないと書いてありましたね。保険ってそんなことありうるか?って思いながら読んだんですけど。保険って本来はいかなる事象が起こっても大丈夫なように組んでいるもののはずだけど、そういう意味では、僕は地震保険に入るくらいだったら耐震等級3の上で、さらに制振ダンパーとかに回す方がいいかもしれないと思いました。リアルな保険か、金融上の保険かっていう違いです。

小暮:
私の家も建てて20何年かな。耐震等級3で設計してやったけど、3.11のときに女房は家にいて、キコキコって短い揺れはあったけれど何もなかった。外壁も別に割れなかったしね。

松尾先生:
その代わり、別の話になりますけど、火災保険の水災特約はつけといてくださいって言いますね。山の上にあるとかだったらいいんですけど、ここら辺って海に近くて川もいっぱいあって水害が多いエリアにあるので、水災特約はつけといた方がいいですね。

小暮:
最近も九州で大きな水災がありましたよね。

松尾先生:
あれは水災特約に入っていれば、確か一棟2000万くらい出たんじゃないかな。入ってなかったら大変なことですよ。

小暮:
自腹ですよね。水災ってそんな高くないですよね。

松尾先生:
水災はそんな高くないですね。

小暮:
ちょうどいい質問がきているんですけど、ハザードマップにおいて、いい家づくりのポイントはありませんかと。水災だけではなく、建築で考えて。

松尾先生:
ハザードマップでいえば、地盤の良し悪し、水害の話、あとは山崩れのところですよね。その辺りがハザードマップで一番見なきゃいけないところです。川の場合と津波、例えば東南海地震があるところなら津波のリスク。川の場合はやっぱり氾濫です。僕はこういうエリアを買わないことが一番重要かと思うんですけど、例えば親からもらうとかね、どうしてもそこしか買えないみたいな話もあると思うので、その場合はできる限りの対策をするという話になります。

小暮:
具体的な手法としてはどんな対策を?

松尾先生:
本格的な水害対策とかになってきたら、一条工務店さんがもうぶっちぎりなのでそこにいくしかない、というのが正直な話です。さまざまな対策をやっているんですけど、一条さんがやっている対策のうちの半分くらいは普通の工務店さんでもできます。下水道の逆流防止弁とかもそうですし、エアコンの室外機を高い位置につけるとかですね。そういったことは真似できるんで、水害対策を立てる場合はそういうところを打ち合わせをしながら決めていきます。

小暮:
高さを上げるってことですかね?

松尾先生:
高さを上げるっていうのもいいと思いますね。

小暮:
実際、地域によっては水害対策をしなきゃいけないってところもありますもんね。関東なら荒川エリアとかもね。

松尾先生:
もちろんハザードマップを完全に信用していいのかっていう問題もありますね。ハザードマップに全然入ってないのにやられたってところも結構ありますから。ハザードマップを頼っていたのに失敗したっていう事例も多分今後出てくると思います。

対談第三弾

Vol.1 Ua値やC値だけでは家の性能は語れない
Vol.2 太陽光発電は得か?損か?答えは明確
Vol.3 もしもの大災害は必ず起こると考える
Vol.4 住宅会社の営業トークは嘘だらけ
Vol.5 営業マンの嘘を見抜く方法
Vol.6 家を知らない人が家を売る怖さ
Vol.7 「断熱材で調湿」は「濡れた布団で寝る」のと同じ
Vol.8 窓と日射について抑えておくべき基本
Vol.9 営業マンより消費者の方が知識量は上
Vol.10 YouTubeの中にもたくさんの嘘がある
Vol.11 耐久性のポイントは耐震性と水害対策
Vol.12 おすすめできない製品・部材とは
Vol.13 カタログ数値に踊らされてはいけない
Vol.14 適正な断熱性能はこのように考える
Vol.15 30年先を考えたサッシの選び方
Vol.16 いつまでも美しい家のデザインとは