今回は質問コーナーです。
まずは最初の動画です。
▼冬のランニングコストを抑える方法
https://www.kosodate-sekkei.co.jp/blog/running_cost_osaeru/
この動画には、意外にも多くの感想をいただきました。冬のランニングコストを抑える方法として、断熱性能を上げるという手法がありますが、その手順というのはいろいろあります。断熱性能を上げることは、確かに効果がありますが、ZEHよりもG2やG3といった方法もあります。ただ、それだけで冬のランニングコストが下がるわけではありません。こういう手順を踏むことで、より効果的に冬のランニングコストを抑えることができます。
しっかりした技術と知識を持った工務店さんと信頼関係をつくって、自分の希望と予算の中で最適解を提案してもらうのが一番良いということですね、というコメントをいただきました。
本当に、その通りだと言わざるを得ません。私も、様々な勉強をすることや、YouTubeを視聴することは非常に良いことだと思いますが、YouTubeには難しい側面もあります。以前にもお話ししたことがあるかもしれませんが、「マウント勝負YouTube」というのがあります。つまり、その人が作って売りたい家のために、理屈をこねたYouTubeというのがあるということです。
YouTubeには、様々なことが言われていますが、実際の家がそうなっていない場合もあります。YouTubeでは、素晴らしいことが言われている場合もありますが、その会社に行ってみると、営業マンさんから違うことを言われたという質問が私のところに届く場合もあります。
ある方が、性能についてどうとか言っているけど、なぜそこがそうなってしまうのかといったことが、営業現場に行くと違うことを言われる場合もあるので、おかしいなと感じることがあるかもしれませんね。
様々な知識を身につけることも大切ですが、最終的には自分が興味を持っている会社に行き、YouTubeやホームページ、ブログなどを調べる作業を行うのも良いでしょう。しかし、最終的には、自分に合う会社を見つけて、そこに行って本音の話をすることが大切です。これは非常に重要なことです。本音の話をして、「私はこう思っていますが、どうですか?」と質問をすることで、相手も本音で話をすることができます。そこで相手が、「私たちはこう思っています」とか、「私たちはこういう状況です」というような話をしてくれることで、判断することが大切です。
信頼関係を築くことは、口で言うように簡単なことではありません。信頼関係を築くためには、お互いに正直に話をし、隠し事をしないことが必要です。もちろん、すべてを話すことは難しいかもしれませんが、お互いに正直に話をすることで、自分と相手が合うかどうかをジャッジしていくことが大切です。
さて、「日射取得と窓のバランスなんかは机上の計算よりも実際にどうだったかという経験から出てきた答えとかなり乖離しそうなので建設予定地での経験を沢山持っている工務店さんに設定をお願いするのがベストのような気がいたします」というコメントもいただきました。
今年の3月から始まり、4月の中旬に上棟する予定のお家が、埼玉県鴻巣市にあります。鴻巣市は群馬に比べると都会に近い場所で、駅前の住宅団地に位置しています。土地は45度南西に向いており、周りには既に家が建っているため、周囲をカバーされた感じがあります。裏側は大きなアパートがあり、前は2階建ての家があります。土地は南西に向いており、道路は東側に面しています。土地の形も細長く、日射取得を上手く生かしながら、外からのプライバシーを保ちつつ、開放的な空間を作り、外壁デザインにもこだわりたいと思っています。ただ、家の中からは周りの家が見えないように、プライベートスペースで暮らしたいという願望もあります。設計者として偉そうなことを言ってしまいましたが、このような考え方でお家を設計しています。
このお家では、日射取得が非常に気になるため、日影図のシミュレーションを行いました。しかし、私にとっては、そのシミュレーションは完璧ではないと感じています。周りの家をすべて測量していないため、正確な結果が得られないと思っています。ああいうシミュレーションは今風ではありますが、私はあまり好きではありません。私は現地に行って、何度も何度も日影の位置を確認しました。朝、昼、夕方に現地を撮影して、影がどのように伸びているかを確認しました。
また、常に携帯のソフトで確認しながら、間取りを書いていきます。そして、現場監督が建物のラインを引き、ロープで張ってくれます。一定の間取りが確定したら、建物の本物の形と日影の形を合わせて、鴻巣の家が正確に当たるようにしています。机上の理論やソフトの計算も大切ですが、現地に足を運ぶことがとても重要ですね。
今後は、遠隔操作で現場管理が可能になるなど、様々な進化があるかもしれません。しかし、遠隔から現場を見ても、細かい部分は見えないと思います。人間は感情の動物であり、大工さんや職人さんがいる場合、遠隔で管理することは、コミュニケーションがなく、単なる管理に過ぎないと思います。もし管理業としてのビジネスであれば、それでも良いかもしれませんが、大工さんと一緒に家を作り上げるビジネスであれば、現場に足を運んで、大工さんとコミュニケーションを取りながら、家を建てることが大切だと思います。大工さんに対して、これはこうなの? これはどうやったの? という質問をしながら、いつも感謝の気持ちを伝えながら、建設を進めていくことが、人間としての喜びと楽しさを感じられる方法だと思います。
では次です。
▼①夏と冬でハニカムブラインドの付け方が変わる②断熱材の種類を分けるのはマズいか?③屋根断熱にセルロースファイバーを使うと落下する?④雨漏りした断熱材のメンテナンス方法
https://www.kosodate-sekkei.co.jp/blog/braind_dannetsu_amamori/
このようなご質問です。
「ハニカムスクリーンについて一つ質問させていただければと思います。正面内付けと正面外付けの2つの方法がありますが、我が家は窓は正面内付けで、APW431大開口スライディングだけが正面外付けになっています。正面外付けにも利点はあるとのご指摘がありますが、難点は側面が開くことだと思います。この点について、何か主流な対策はあるのでしょうか。素人考えですが、木枠とハニカムスクリーンの一部に磁石やマジックテープを仕込むことが考えられます。」
弊社の場合は「正面内付け」と呼んで、窓枠の中にぴったりと収める形にしています。そのため、ピタッと密閉され、周りの隙間は1mmや2mmしかありません。このため、熱をここで遮断するメリットがありますが、その代わり、窓の性能が悪く、こちらが温度が高過ぎるとハニカムブラインドが猛烈に冷気を塞ぎ切ってしまうため、この窓が結露することがあります。トリプルガラスの小さい窓だったら、そんなにならないのですが、ペアの大きい掃き出し窓だと結露したりします。そこで、対策として、ちょっと下を開けて対流させることで、結露を防ぐことができます。熱損失は少しあるかもしれませんが、それでも結露が嫌なら、この方法でも十分です。
また、窓枠の外で吊るしてしまうと、窓枠とハニカムブラインドの間が空いて熱が逃げやすくなるため、ハニカムブラインドの効果が薄れる可能性があります。冬に関して言えば、ある程度は効果があるとは言えますが、効果が弱まってしまいます。ただし、夏には対流をうまく活用して熱をうまく除湿することができるため、逆に効果がある場合があります。
ただ寒さに関しては、なるべく窓枠にピタッと合わせる方がよいです。”ちごいねさん”は、この窓枠にマジックテープなどを貼って開いた時にピタッと合わせるようにしています。ただ、これをやるとハニカムブラインドが閉じなくなる可能性があります。マジックテープや磁石でピタッとくっつけると、窓枠にはいいのですが、ハニカムブラインドに磁石をくっつけてペチペチとやると、閉じた時に磁石が邪魔になってうまく閉じないことがあると思います。これはなかなか難しいということです。
AP431の大開口スライディングはトリプルガラスなので、ハニカムブラインドに多少隙間があっても問題ないかもしれませんが、ペアガラスだった場合は厳しいです。当社では、基本的に南側の大開口の日射取得面が、寒くない場所で日射取得ができる場合はペアガラスを選択せず、内付けにしてカットするようにしています。ただし、これはいろんな条件によっても変わってくると思います。
では次です。
▼断熱材はなんでも良いのか?
https://www.kosodate-sekkei.co.jp/blog/dannetsu_nandemo_yoi/
施行において仕上がりのバラツキが一番なさそうなのがネオマだったのと、経年劣化で沈んでしまっての断熱欠損が起こらないという点でネオマを選びました、というコメントいただきました。
断熱材にはさまざまな種類がありますが、何が最適かや何でもよいのかという疑問があるかもしれません。しかし、実際に見てもらえれば分かるように、何でも良いというわけではありません。セルロースでも、グラスウールでも、ネオマフォームでも、発泡ウレタンでも良いのですが、コストや施工性、長期的な劣化の問題などを考慮する必要があります。バランス良く考えることが重要です。
卓上の計算は難しいです。断熱材の熱伝導率や厚さ、R値などから計算される効果はわかるのですが、それは計算上の問題であり、ソフトの計算結果にすぎません。しかし、実際に住む人にとって、断熱材が効果を発揮しなければ計算通りの効果は期待できません。
気流止めも同様に、気流止めをしていないと、断熱材の本来の性能は出ません。断熱材の本来の性能が1とした場合、それは空気が動かないという条件で1になります。そのためには、気流止めというものが必要になりますが、ソフトの計算上、気流止めがあるか・ないかなどの項目はありません。そのため、会社によっては気流止めという概念がないこともあり、実際にはこの1が0.5になるのか0.6なのか全くわからない場合もあります。ただ、間違いなく1にはならないことはわかっています。
消費者の方は、この断熱材を入れたのにイマイチ寒いと感じる場合もあります。プロから見ると、その家ができた施工の経過を見ることができれば、過去に戻って見ることができれば、「気流止めしてないじゃん、この家って」ということがわかるからです。そのため、この家の断熱材が効いていないことがわかりますが、全部できあがった家は誰もわからないため、こうしたことが重要なのです。
一番悪いのは、工務店さんがやったことのない断熱材をどうしてもやりたいから頼んでしまうことです。会社が発泡ウレタンだけを扱っている場合、消費者がセルロースファイバーを希望した場合、断熱材に関する知識が乏しい場合は、うまく施工できない可能性があります。セルロースファイバーはまだまだ間違いが起こりにくい断熱材ですが、例えば屋根断熱を入れる場合、下地の組み方が悪いと沈下する可能性があるので注意が必要です。そのため、消費者がセルロースファイバーを希望しても、工務店が過去に経験がない場合は、断熱材の施工方法についてよく検討する必要があります。また、下地を作るのは会社であり、吹くのは業者さんであるため、施工にはリスクが伴うこともあります。
消費者が断熱材に関する知識が乏しい場合は、慎重に検討し、専門家の意見を聞くことが重要です。ぜひ参考にしてください。