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 | 2024.08.05

高性能住宅の弊害

今回は高性能住宅の弊害について解説します。

ここでお盆休みのお知らせです。当社は8月11日(日)から8月18日(日)まで8日間、お盆休みとさせていただきます。ただ、私は毎日メールチェックはしています。お問い合わせ・モデルハウス見学の希望などがありましたら、お盆休み中に限らずにお送りいただいて大丈夫です。

お盆休みといっても、私は出勤している日もあるし、お盆休み中でも現場回りをすることもあるし、溜まっている仕事をする時もあります。もし8/11〜18の間でご見学ご希望の方がいらっしゃいましたら、早めにメールで教えていただければと思います。ちょうど暑い時期ですから、涼しさを体感していただくのもいいと思います。

ちなみに、今日の天気予報では、群馬県太田市の最高気温は40℃予想だそうです。しかしこれは、いい条件で計測した値なので、アスファルトの所などは大体そこから+2℃ぐらいあると思うので、下手したら42〜43℃ぐらいあると思います。上からは日差しが、下からは照り返しが来ると、とんでもないことになりますから、なるべく外には出ない方がよろしいかと思います。

本当この2〜3年で、一気に温暖化が進んだ感じがします。私も毎日、モデルハウスでも自宅でも気温を測定していますが、3年ぐらい前は30℃台で済んでいました。上振れしても39℃でした。しかし去年、初めて自宅で「41」という数字を見たんです。そうしたら今年はもう40℃予報が当たり前になってしまいました。

私のメルマガを読んでいらっしゃる方にはいろいろ公開していますが、やっぱりこれから作る家は高性能住宅だけではダメかなと思います。断熱材をいっぱい入れた高性能住宅とか、付加断熱、UA値0.いくつなど、そういう高性能住宅だけではダメだと思います。あくまでも地域によるけど、例えば私が主に施工しているエリアや東京まで含めて、そういう一帯で超高性能住宅を建てて、UA値だけを低くしてしまうと、必ず問題というか違う現象が出てきますから、気をつけた方がいいです。

高性能住宅を作って実際に住んでみたら、意外に夏に困ったという話もあります。私が以前にアップした以下の動画にも、そんなコメントがありました。

▼超高性能住宅は除湿しにくい

超高性能住宅は除湿しにくい

「九州でG3、UA値0.22、C値0.7の内外ダブル断熱の最強スペックで家を建てました。しかし梅雨時期に、除湿のためにエアコンを使うと寒くなり過ぎます。再熱除湿エアコンですが除湿モードだと室温が3度低くなり寒くなり、冷房モードだとサーモオフを繰り返して寒くなる上に湿度がなかなか下がらず途方に暮れています。軒で完全に日射遮断したのが裏目に出ました。屋外が30度なのに、室内は除湿のために23度です。しかも除湿してるのに60-65%、篭ってる部屋で扉を閉めると70%超えます」

失礼だけど、まさしくこうなってしまいます。UA値を下げすぎて、なおかつ日射遮蔽をしすぎて、軒を長く伸ばしすぎたり、窓が小さすぎるとか、そうなると除湿しにくいです。

メルマガでも書きましたが、エアコンだけで除湿するのは難しいこともあります。低性能な日射遮蔽をしない家の方が、除湿はしやすいです。例えば当社の事務所みたいな、鉄骨で、軒ゼロで、性能の悪いアルミサッシがいっぱいついていて、開放的で、天井断熱が薄いみたいな家だと、除湿しまくります。私のFacebookにも載せていますが、室温が28〜29℃、湿度28〜29%です。これぐらいの室温だと普通は暑く感じますが、湿度が20%台まで下がると快適になるんです。

ただそういう家は全く違う問題があります。日射が当たると、鉄骨だから熱橋もすごいです。某大手ハウスメーカーさんの鉄骨住宅で付加断熱してないのと同じことになります。熱橋がすごくて、壁からも屋根からも熱がくるけど、それがいい具合に家の中を除湿してくれるわけです。さらに性能の悪い窓からも除湿してくれるわけです。そうすると、家の中がカラカラになります。それでエアコンのスイッチを入れると、エアコンもその熱を吸ってくれてよく動き、すごくいい環境になります。

その代わり、午後の3時ぐらいになって太陽が西に傾いてくると、南からの日射が減って、西側からは入って、家全体に入る熱が偏る感じになります。そうすると、エアコンの動きが悪くなったり、室内の湿度も飛びにくくなり、グーンと湿度が上がって、不快な暑さになります。

やっぱり家は、そういうバランスが難しいです。高性能にしすぎて日射を削ってしまうと、冬はいいけど夏は他の問題が起こります。かといって、すごく湿度が下がりやすい家を建てると、一瞬はよくてもそれ以外はダメになります。そういうところを考えながら、建てる地域・建てる場所・その地域の気候・周りの状況なども考えて作らないといけません。

もっと言えば、風通しもあります。まだ一定数、風通しのいい家を作りたがる住宅会社さんがいます。風通しは当然いい方がいいけど、それは夏に涼しくするための風通しではないです。やっぱり人間は生身の生き物だし、日本はまだまだ春夏秋冬があります。その中で、窓を開けてサッと風が通ると気持ちいいし、窓から外の風景を見るのも大事だと思います。そういう意味でつけていて、夏の夜に風通しで暑さをしのぐような目的ではないです。風通しのいい家というのも、昔のようなノスタルジックなことを考えちゃうと、おかしな家になってしまいます。間違いじゃないけど正解でもないようなところなので、うまく説明できなくてすみません。

時々私のメルマガに出てくる西の巨匠がおっしゃったことで、本当にその通りだなと思ったことがあります。私はこの人からいろんなことも学ばせてもらっています。家づくりだけじゃなくて、人生とか、ものの考え方とか、常識を疑えとか、正解は本ではなく現場にあるとか、いろんなことがあります。ものすごくいろんな経験があって、新住協さんの初期の頃からメンバーの方で、超高性能住宅・鉄筋コンクリートの家・木造住宅・リフォーム・改修・音楽室・防音室などいろんなものをやった方で、いろんな人生経験を、私などの次の世代に教えてくれている方です。

その方が言われたことが「高性能住宅におけるUA値・C値というのはあくまでも1つの基準・基本であり、それだけで住み心地がいい・快適だとは、絶対にならない」ということです。本当にその通りだと思います。1つの指針ではあるけど、それだけで住み心地がよくなることはありえません。もしかしたら、それがたまたま当たったケースもあるかもしれないけど、全く当たらないケースもあります。「それを住宅会社さんがちゃんと理解して、なるべく100%になるような努力をすることが、住宅会社の務め。それをUA値・C値だけで推し測るのは、本来おかしなことだ」と言われていました。

他にも、西の巨匠が言われたことでなるほどと思ったのが「高性能住宅の住まい方がある」ということです。おそらくほとんどの方が、それまでに住んでいた家の性能が悪かった反動があると思います。例えばアパートに住んでいて、暑い中で暮らしている時のエアコンの使い方、温度設定の仕方などがあります。それと、高性能住宅での住み方というか、温度の体感、温度の設定方法は、やっぱり違います。わかりやすく言うと、コンビニに入った瞬間の「涼しい!」という快適さは、高性能住宅に求めちゃいけません。高性能住宅というのは、人間の体にとって健康的で、寒くも暑くもない状態、なおかつ省エネルギーというところでやっています。

あとは「大体1シーズン住むと、高性能住宅はこういうものだということと、高性能住宅の体感に慣れてくる人が多い。慣れない方でも、3年ぐらいすれば慣れてくる」とも言っていました。私も最近「そういえば」と思うことがありました。

私もお客さんの家の引き渡し後、夏前と冬前にお客さんの家に伺って住まい方のアドバイス・エアコンの設定方法・湿度コントロールなどを説明させていただくんです。先日2年点検で伺った際、家に入った時に「なんか暑いな」と思ったんです。でも温度計を見ると、そんなに暑いわけではないんです。お客さん的には「すごく快適だ」と言います。ということは、多分そのお客さんの生活の中では快適な温度と湿度を見つけたんだと思います。そのお客さんも前はアパート暮らしでしたが、だんだん慣れてきたんだと思います。

他にも西の巨匠が言っていたことがあります。人間は生身の生き物だと考えた時に、低すぎる・暖かすぎる室温などに慣れてしまうと、免疫力がなくなると言っていました。仕事もあるし、外出もするし、世の中の気候の変化もあります。その中で、夏でも多少は汗をかかなくちゃいけないし、寒さも多少は経験しないと、健康的にはよくないです。誰にとっても寒くも暑くもない、オフィスみたいな所で仕事をし続けて体を動かさないとなると、医学的にも、鬱じゃないけどそういうことになりやすい傾向があるらしいです。だからと言って暑い家・寒い家に住めという意味じゃないけど、そういうところも含めて、家づくりは考えた方がいいと思います。

いずれにしても、外気温40℃の中でも、-20℃の所でも、快適じゃなきゃいけないけど、その中でも生身の人間が住んでいることと、本当に健康に住まうとはどういうことなのかを考えながら、家を作る・設計することが大事なんじゃないかと、改めて感じました。