Facebook
X
YouTube
ホーム > ブログ > YouTube > 基礎断熱よりも床断熱の方が結露しやすい理由
YouTube
 | 2023.07.05

基礎断熱よりも床断熱の方が結露しやすい理由

今日は、基礎断熱よりも床断熱の方が結露しやすい理由についてお話しします。

以前、YouTube(あるいはメルマガ)に「基礎断熱は結露リスクが高いからあまり良くないと建築会社さんに言われたけど、そうなんでしょうか?」というご質問をいただきました。

確かに基礎断熱というのは密封されていて、湿気が逃げないから夏にムンムンしちゃって床下で結露してカビが生えちゃうイメージがある方もいると思います。さらに基礎から出るコンクリートの水分がすごいから余計に悪いイメージもありますよね。逃げ場も無いし。

このご質問者さんは、「床断熱の場合は抜けるようになってるからいいと言われたんだけど、本当にそうなんですか?」と。「私はできれば基礎断熱にしてシロアリ防止とか、床下エアコンを付けてこういう家を作ってみたい」とおっしゃっていました。

率直に言うと、最初の1年は確かに基礎断熱から水が出るから、結露リスクが高まるのは事実です。ただその後、2年後とかになると、床断熱の方が結露リスクが高まったりします。

私も基礎断熱をずっとやっていますし、下田島モデルハウスも基礎断熱になっています。センサーを床下に置いて測定もしています。ましてや下田島モデルハウスって、田舎なので多少風通しはいいけど、近くに川が流れていて水気の多い場所です。

その状態でこれを建てて今年の夏で丸6年経ちますが、当時からセンサーを置いて測っていますが、床下の湿度が結露するほどまで上がったことはありません。実際に床下に潜ってみても、結露してカビが生えた痕跡ってないんです。

ただ一番最初の1年間は気をつけないといけないのと、湿気対策のために床下換気扇とかを付けて湿気を室内に戻すようなことはしなくてはいけません。

ただ現状としては、その換気扇を回さなくてもそんなに湿気が上がることもないし、かえって今は基礎が乾燥して気密を取れているので、結露リスクはない感じがしています。冬になれば床下エアコンを使うから、余計に基礎が乾燥しやすくなっているというのもあります。

床断熱の方が実は結露リスクが高いというのは、あくまでも条件が揃った時です。まず1つの条件としては当然床断熱って、湿気というか外気を通しますよね。夏の外気ってものすごく湿気を含んでるじゃないですか。

特に最近だとよく言われるのが、日本の気候って亜熱帯型と言って東南アジアっぽい感じでものすごく水分の多い空気になっているんです。本当に熱帯雨林みたいな感じになっているので、そもそも床下に入っている空気は、ものすごく水分を含んでいます。

その状態で例えば床断熱をした時に、もちろん全てではありませんが、意外に床断熱を採用している会社さんで多いのが床の気密が取れてなかったり、そもそも床の断熱が弱かったりする傾向があるんです。

私のYouTubeにも質問があるのを見ていると、意外に床断熱が弱いとか気密が取れてなかったりとか、気流止めになっていなかったりします。なぜ多いのかと言うと、床断熱って昔からずっとある工法で、簡単にできちゃうイメージがあるからです。

見ていると、大工さんが自分勝手にやり方を変えていたりします。マニュアルにはちゃんとこうやってと書いてあるけど、それを勝手に「ここで止めれば変わらないだろう」みたいな感じでやっているんです。

今すごく夏が暑いじゃないですか。その状態でそもそもの家の断熱性能が悪いとか、窓がアルミとかアルミ樹脂だったりとか、日射遮蔽ができてない状態だと、どんどん熱が入り放題になりますよね。

暑いから壁掛エアコンでバンバン冷やすんです。アパート住まいの方って経験あると思います。2階建てのアパートの西の角に住んでいると、ものすごく暑いから日中にエアコンの温度を22℃ぐらいに下げてフルパワーで回しますよね。それでも温度計は27℃にしか下がらないじゃないですか。

冷気って下に下がりますよね。そうするとどんどん床に冷気が溜まっていきます。この状態で床の断熱が薄かったり気密が取れていないと、冷気は床下下がっていくんです。冷気が貫通して下がっていく感じです。そこに亜熱帯の湿気が入った時に、結露することになります。

これって何かすごいことを言ってるように聞こえるかもしれないけど、こういう風になる家ってこれから多くなると思います。これだけ温度が上がっちゃったのに、性能が上がってない家も未だに多いじゃないですか。断熱等級4をクリアでOKとか、Nearly ZEHとか言っています。

窓はアルミで日射遮蔽もしていないのに大きい窓を付けたりして、「あちらの山が見えます」なんて言ってデザイナーズ住宅でやっていたりしますよね。さらに軒ゼロで軒が全くなくて、頭がフラットで暑くて、床下は床断熱をやっていて。理論的に言うと起こり得ると思います。

なんで基礎断熱がいいのかと言うと、あくまでも私のイメージですが、恐らく基礎断熱をやる会社さんってある程度断熱・気密を意識していることが多いと思うんです。わざわざあまりやられてない基礎断熱をやるわけだから。そういうところも含めて、トータルでやってる会社さんの方が多いと思います。

話をまとめると、最初の1年という部分であれば基礎断熱の方がリスクが高いんだけど、それは本当に最初だけの話です。あとそれを解消するために、最初の1年はちゃんと床下の湿気を室内に戻すように床下換気扇を付けるとかいろんな方法もあります。

それをクリアしてあげれば、そんなにリスクは高くないと思っています。逆に床断熱みたいにずっと湿気が入りやすくなっている状態で、なおかつ家全体の性能も悪くてこれだけ亜熱帯になっちゃってガンガン冷やし続けた方が、リスクが高いです。

いずれにしても、あくまでもこういうことって個別のものなので、全ての家に当てはまるとか、「あなたの家もそうですよ」という意味ではありません。そういうリスクがあるので
、やっぱり家づくりというのは「基礎断熱だからどうだ」「床断熱がどうだ」というのじゃなくて、その構成をちゃんと見ながら検討をしていくことが大事だという意味です。

ぜひ参考にしてみてください。