今回は質問コーナーです。
まずは最初の動画です。
▼①野地板が呼吸するから通気層はいらない?②お風呂の湿気を使えば加湿器はいらない?
https://www.kosodate-sekkei.co.jp/blog/nojiita_kokyuu_kashitsu/
野地板は呼吸するから、
湿気を含んだら自然に排出するので
通気層がなくても良いという
コメントをいただきました。
確かに含んだものは出すけど、
出すルートがなければ
結局は出ないよねという
動画の内容でした。
昔の大工さんとか
自然素材系の家を作っている方は、
木が呼吸をしていると
言われることがあります。
それは乾燥と吸収を
繰り返すことを呼吸という
表現で言い方を変えて
マーケティング的に
使う意味もあるのでしょう。
一般の消費者の方は、
家が呼吸して新鮮な空気を
家の中に取り入れて家の中が
浄化されるようなイメージを
持たれるかもしれません。
ただ理論的に見ても
そんなことは全くなくて、
単純に換気をしているだけです。
それをすることで
家の中が涼しくなると言う方も
いらっしゃるみたいですが、
夏の暑い時にトイレの換気扇の
スイッチを入れて家の中が
涼しくなるでしょうか?
多分ならないですよね。
住宅業界は未だに
非科学的でこのような
ネーミングでやる方はいます。
データもないし測定もしてないで
そういう家を作ると呼吸して
涼しいと言うのだとしたら、
何もわからない消費者に対して
失礼なことだと思います。
さてこの動画にいただいた
コメントですが、
お風呂あがりに浴槽のフタや
浴室のドアを開けておけば
相対湿度が上がるという
意味ですね、というコメントです。
私もドアを開けっ放しにして
お風呂の水分を取り込むことを
お客様にアドバイスすることは
あります。1つの方法ではある。
ただなかなか難しいのが、
お風呂は配置的に建物の一番奥に
あったりします。北西の角とか。
北西の角にある湯船に
溜まった水分が、家の中まで
拡散するかと言ったら
そこまで移動はしません。
あとは水分というのは
冷たい所に移動するという
性質があるので、
仮に浴室のある場所が
冷えている空間だったり
断熱性がイマイチで
温度が上がりづらい
空間だとしたら、
水分はそこに留まる傾向が
出てきます。
つまり開けただけで
家の2階まで水分が行くのは
正直難しいと思います。
ただ換気扇を使って
強制的に噴射するのであれば、
確かに拡散しやすくなります。
あとは水分の中に
どんなものが含まれているか、
例えば洗った人間の脂などが
含まれている水分だとしたら、
お風呂の排気をしたすぐ隣に
ダイニングやキッチンが
あったりすると、キッチンの
食材に吹き付けるのは
長い目で考えたら嫌な感じが
個人的にはします。
さて次です。
ジンカリウム鋼板を
採用されたことはありますか?と。
雨音や熱伝導、ストーンチップの
劣化等が気になります、
というコメントです。
ジンカリウム鋼板とは
ガルバリウム鋼板のことです。
特許か何かで
ジンカリウム鋼板という名前で
販売されているものですね。
ガルバリウム鋼板の上に
ストーンチップという細かい石を
吹き付けることによって
塗装の傷みを和らげるようですが、
雨音はそんなに変わらないでしょう。
熱伝導についても、
ストーンチップのおかげで
大幅に熱伝導が減ることはないです。
数値で言うと差はあるけど、
それが室内の環境にすごく
影響があるかということは
考えにくいです。
他の動画でも解説しましたが、
タイベックシルバーという
アルミ溶着した透湿防水シートが
あります。
タイベックシルバーを使うと
家の中が涼しくなると言う方が
いますが、実際に実測すると
ほぼ変わらないことが
わかっています。
通気層が機能していれば
そんなに熱をカットする
効果はないし、そもそも熱を
カットする前に他の部分に
熱が行くので、
タイベックシルバーを
使うよりは通気層を
ちゃんと機能させる方が
熱的にも結露的にも良いです。
仮に熱的に良かったとしても、
湿気的にいいわけではありません。
そういう製品に
頼ることも悪くはないですが、
基本とする通気層をちゃんと
取ってやっている方が
いろんな効果が生まれてきます。
こういうところは
住宅屋さん自身の問題です。
先日、広島の巨匠の所へ
お伺いしてきました。
広島はすごく暑くて、
湿気も本当にすごいところです。
ああいう中で
夏に涼しい家を作る時に
ポイントになるのが
やはり室温を低下させることです。
エアコンをうまく効かせたり
日射遮蔽をしたりしますが、
それと共に重要なのが湿気を
飛ばすことです。
このときに重要なことが、
断熱を良くしすぎないことです。
広島の師匠も、
最近は付加断熱をやらなく
なってきたと仰っていました。
付加断熱をやると
逆の問題が出てくることが
わかったからだそうです。
もちろん付加断熱をやった方が
いいケースもあるし、
付加断熱をやった方がいい地域も
ありますが、夏の暑さを
考えた時に付加断熱は意外に
マイナスになることもあると
仰っていました。
私も同じ疑問があったので、
そのお話を聞いて確信が
持てました。
これを今後の家づくりにも
応用したいと思います。
さて雨音問題ですが、
これはガルバの裏側に
裏打ちのスポンジをする
方法がいいと思います。
いずれにせよ
材料にお金を掛けて
通気などをやらないのは
効果はないと個人的には
思っていますので、
この辺りは消費者の方も
製品が良ければいい
ということじゃないことを
覚えておいていただければと
思います。
では次です。
▼①YouTubeの登録数と家づくりの関係②100倍発泡ウレタンを使うなら絶対に気を付けること③ウッドショックは儲かる!?(おまけ)
https://www.kosodate-sekkei.co.jp/blog/youtube_touroku_ie/
30倍発泡と10倍発泡の
コスト差はどのくらいですか?
というご質問です。
これは難しいです。
取引している会社さんの規模や
仕入れる量によって違いますし、
仕入先が現金で払うのか
前金で半分払うのかとか、
支払いの条件が良かったりすると
安くしてくれたりもします。
それから会社としての信用です。
年間に何棟やっていて、
何年営業していて、
波がない会社だとか
そういうことを含めて
コストは変わります。
ちなみに今、30倍発泡は
なかなか手に入らないから
100倍発泡になったみたいな
ことを書かれた方もおられましたが、
そんなことはないです。
普通に30倍発泡はあります。
では次です。
100倍発泡は、
住宅会社さんの仕様を見ると
80〜85mmが多いのですが
なぜですか?というご質問です。
これは平均の厚さですね。
100倍発泡は
ものすごい勢いで膨らむので、
それを平均していくと
大体80mmぐらいだと
いうことです。
私は何度も言っていますが、
100倍発泡は使わない方が
いいと思っています。
スキンカットは前提ですし、
性能的にもそんなに
いいものではありません。
厚みのコントロールも
難しいので私は30倍発泡しか
使いません。
30倍発泡は本当に
そんなに膨らみません。
3層ぐらいに分けて吹くと
しっかりと固まりますし、
吹き方のコントロールもできます。
それでもスキンカットは
多少はしますが、そんなに
スキンカットしなくても済むので
ちゃんとした厚みは確保できます。
金額は、30倍と100倍で
何十万円も違わないはずです。
正確なコストはわかりませんが、
永く住む家であれば100倍は
使わない方がいろんな意味で
良いと思います。
では次です。
▼①家づくりを設計する上での優先順位を解説します②漆喰や珪藻土に調湿を期待してはいけない
https://www.kosodate-sekkei.co.jp/blog/sekkei_yuusen_kitai/
夏場、小屋裏エアコンの設定を
24℃にすると、2階と1階は
大体26〜28℃ぐらいになりますと。
湿度は60%〜75%になり、
ジメっとしていますと。
小屋裏のエアコンを
再熱除湿にすると、50%ぐらいに
出来ると書かれていますが、
冷房除湿を付けたので、
すぐ冷えてしまい除湿しないのが
原因なのかは分かりません。
何か解決策はありますでしょうか?
というご質問ですね。
一番簡単な解決策は
再熱除湿エアコンを
使うことですね。
この方の家は断熱性能が
高すぎるのかもしれません。
日射遮蔽がうまくいく家なら
除湿しにくくなります。
付加断熱をして
日射遮蔽を徹底的にすると
夏に除湿しなくなるケースも
あるので難しい問題です。
もしかしたらこれから
高断熱化に伴ってこういう家が
増えてくるかもしれません。
それから1階と2階が
26〜28℃になるのもおかしいです。
もしかして小屋裏エアコンの
吹き出しが甘いかもしれません。
吹き出しが足らずに
冷気が溜まって、空気を
吸い込まないから除湿もしないと。
もっと言うと
エアコンの位置が
適切になっていないのかも
しれません。
エアコンをうまく動作させるには、
エアコンが熱を感知するような
位置に置いてあるとか、
いろんなことを考えないといけません。
あくまで推測なので、
家の間取りやエアコンの位置、
吹き出しの仕方や窓の取り方、
日射遮蔽や家の性能など
いろんなことがわかれば
なんとなくお答えできますが、
現状としては
再熱除湿エアコンを付けるのが
一番の解決策だと思います。
湿度に関しては、
簡単な方法だと除湿機を置く。
ランニングコストはかかりますが、
家の気密がちゃんと取れていれば
意外に除湿してくれます。
もし良かったら
試してみてはいかがかな
という風に思います。