今回は、樹脂窓の施工について解説をします。ちょっと偉そうな言い方かもしれませんが、消費者の方が樹脂窓に対して不安に思っていることを、実際に現場で施工している職人さんや工務店さんに向けてお話ししていきます。
当社では元々、YKKさんのAPWという窓を使っていましたが、去年の初め頃にLIXILさんの窓に変えました。YKKさんの製品が悪いからというわけではありませんが、LIXILさんの窓は後発なので、YKKさんの窓よりもU値や気密性能は上がっています。また、実験している動画を見させてもらったり、実際に使って測定してみたところ、掃き出し窓の下側からの漏れは、YKKさんよりもLIXILさんの方が確実に少ないです。だからといってとんでもなく素晴らしいというわけじゃないですが、製品を変えただけで数値が下がるというのは、決して悪いことではないですよね。
一方で、私のYouTubeに「樹脂窓を付けたらかえって気密が取れなくなった。」「いい数値が出なかった。」「窓が曲がった。」というコメントがありました。また、樹脂窓を採用していない工務店さんに樹脂窓の希望を出したら、「樹脂窓は傾きやすいし、プラスチックで曲がりやすいからあんまりよくない。」と言われたという声もありました。
樹脂窓の施工について解説するにあたり、LIXILさんの窓の開発や設計をしている方に来ていただきました。当社では今のところ事故は起こっていませんが、当社の大工さんの前でも改めてポイントを解説してもらいました。
その際に資料を貰ったんですが、その中に「現場に貼って簡単チェック、樹脂窓の取り付け知っ得シート」というものがありました。当社の大工さんは40代ですが、修行して独り立ちして、いろんな会社の手伝いに行っているので、若いなりにも経験値があります。他の会社さんで樹脂窓を付けた時にも「これはまずいな。」という時には感覚でわかったそうです。なので改めてこれを見て、納得したような感じでした。
LIXILさんがYKKさんとは違うなと思ったのが、樹脂枠の中に補強でアルミのプレートを入れているというところです。下枠というのは直接外気に触れていないので、それが冷えて結露の要因になるということはありませんが、後発ということもあり上手く研究されているんでしょうね。
また、LIXILさんの方が「大きな掃き出し窓やFIX窓を付けると、あとからズレるとか、サッシが上手く調整しきれないという事故がある。」と言っていました。その原因として多いのは、付け方が間違っているということだそうです。ビスを3本使うところを2本しか使っていないのに、「ここが曲がった。」と言われても、「それは曲がるでしょう。」という話になりますよね。
樹脂窓を付けたら気密が取れると思って付けたのに、気密が取れなかったら嫌ですよね。でもアルミと同じ感覚で付けても、気密は取れません。使っているものも違うし、お客さんの要望も変わってきます。その人なりの付け方でやっていってしまうと、問題が起こるのは当然です。意外にそういうことは多いみたいなので、工務店さんや職人さんの中で、樹脂窓の付け方をわかっていらっしゃらないとか、そういう事故が起こっているという方がいたら、LIXILさんに言ってみるのもありかなと思います。
それからLIXILさんの方は、「樹脂窓には長所も短所もあるので、間違った付け方をして消費者の方も工務店さんも残念な気持ちになるくらいなら、こういうのを活用してもらった方が、樹脂窓が日本により普及していくんじゃないか。」ということをおっしゃっていました。今回紹介した資料をとっくに知っているという人はそれでOKですが、私が周りに聞いた限りでは「こんなものがあるなんて知らなかった。」「貰っていてもよく読んでいない。」「そこまで職人さんに指導しない。」という方が多いような感じがしたので、ぜひ活用していただけたらと思います。
視聴者の方にとっては気にすべき問題ではないかもしれませんが、正しい施工をやっていくのが重要だということを、情報の1つとして聞いていただければと思います。「樹脂は曲がっちゃうからダメなんだよ。」という一言で終わりにするんじゃなくて、今回の話を参考にしていただければと思います。