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 | 2024.01.25

①床下エアコンにはグリッドポスト工法が最適か?②耐震等級3の家でも基礎は耐震等級1?③3世代住み継ぐ家の作り方④車は良いのに家はポンコツ⑤タイルデッキは危ない

今回は質問コーナーです。

早速ですが、グリッドポスト工法って知っていますか?通常のベタ基礎のようなものではなくて、平板・基礎があって、立ち上がりがないものです。

一般的なベタ基礎は、外周があって、中に立ち上がりという島のようなものがあります。それに対してグリッドポスト工法は、外周はあるけど中はなくて、四角い基礎があるような感じです。

でもこれは、ベタ基礎と違って帯のように繋がっていないので、横揺れに弱いです。これが下の地盤と強固に接続されていないと、ボキッと折れてしまいます。

そうならないために、基礎の下側にすごく太い地中梁を連続させて、基礎が曲がらないように剛性を保ちます。

ちなみに下田島モデルハウスも、グリッドポスト工法で作りました。床下がスカスカになって床下エアコンを使いやすいし、掃除機もかけやすいと思ったからです。

しかし、その後は1回も作っていません。理由は、地中梁がすごいことになっているからコストがかかること、ベタ基礎だと床下エアコンの暖気が行き渡りにくいことがあります。

エアコンの暖気は、立ち上がりの抜くところは抜くとか、床下エアコンの暖かい空気がきちんと回るように基礎を設計すれば、そんなには変わりません。ただコストと結果のバランスを見ると、グリッドポスト工法をわざわざ使うメリットはそんなにないのかなと思います。

ただ真四角のコンパクトな家を作る場合は、そんなにすごい地中梁ができるわけではないから、意外にシンプルでいいのではないかと思います。

田舎だと、作る家の形も大きさも、毎回違います。その度にグリッドポスト工法をやるのは大変です。首都圏の街中のように、30坪もないぐらいの2階建ての家を建てるような地域であれば、1つの型にしてしまう方が基礎屋さんもやりやすいかもしれません。

ではコメントを紹介します。

「いつもわかりやすく忖度なしの解説で勉強になります。グリッドポスト広報が地中梁で剛性を取っているように、通常のベタ基礎の梁についても立ち上がりが人通口などで連続していない場合、地中梁で補完する必要がありますか?」

疑問に感じたことは、それが消費者の方のためになると思うので言うようにしています。これは大手ハウスメーカーの悪口に限らず、松尾先生や森下さんについても「本当にそうかな?」と思ったことは正直に言います。忖度はしません。

基礎の立ち上がりが切れているところは、人通口と言ってメンテナンスできるようにするためのものです。質問者さんの言う通りで、人通口についても地中梁を入れる方がいいです。人通口を作ると、基礎が何もない部分ができてしまいます。ここは下から地中梁で補強するのが基本です。

ただ、それは家全体の構造計算の結果によるので、全部の人通口にそうしなきゃいけないわけではありません。下に鉄筋などを2~3本置いておけばいい場合もあれば、がっちりと地中梁を作らないといけない場合もあります。

それが本当は正しいですが、おそらく実際は、人通口がいっぱいあっても地中梁をやっていない会社は多いと思います。

私も実際に、周りの業者さんの基礎を見ることも、分譲地で他の会社の基礎を見ることもありますが、当社の基礎屋さんが「地中梁を回している会社はあまりないです」と言っていました。

基礎屋さんは、5~6社の地元の工務店さんを掛け持ちしているのが一般的です。「その中で、地中梁を毎回やっている住宅会社さんはあるの?」と聞いたら、「子育てさんぐらいです」と言われました。「他の会社さんは、餅網で鉄筋を組んでパパッとやるだけで、工事があっという間に終わります。子育てさんの基礎は大きいと3週間ぐらいかかるけど、他は2週間もいらないぐらい」と言っていました。

言い方が悪いですが、耐震等級3の家を作っている会社さんでも、基礎までは構造計算をしていないところも多いです。「耐震等級3」と言っていても、あくまでも「耐震等級3相当」ということもあります。

簡易計算で、基礎から上のところだけしか計算していないのです。本当は基礎までやらないといけません。許容応力度計算になれば、当然地盤調査の結果も含めてやっていくことになります。

長期優良住宅の場合は、地盤調査の結果も含めて計算をして認定してもらうので、それがいいところだと思います。ただマイナス面として、それほど性能がいいものではないということがあります。断熱性能についてもそうですし、耐震等級についても2でもOKという感じです。

長期優良住宅は、あくまでもそこそこの断熱性能がある耐震等級2の家です。メンテナンスコストが削減できるわけでもないし、空調計画も関係ありません。「長期優良住宅」という名前でも、100年持つような構造体になっているわけではないです。防蟻処理も、5年しか持たないものでもOKなので、その辺りはネーミングと一致していない感じがします。

長期優良住宅は、長く持つわけではなくて、定期的にメンテナンスをしながら長期に持たせましょう、というイメージです。

話が反れますが、よく「100年住宅」と宣伝をする会社がありますが、あれはちょっと問題ではないかと思います。

群馬県でも「3世代住み継ぐ家」と宣伝している会社がありますが、その家で3世代が住み継ぐとしたら、すごくお金がかかると思います。普通のサイディング、普通の木材、普通の基礎、普通のグラスウールを使って「3世代」と言われても、無理があると思います。

3世代が本気で住み継ぐ家を作るなら、基礎の強度も強くしなきゃいけないし、構造体もちゃんと乾燥させないといけません。通気も大事だし、なるべく機械を使わない家がいいと思います。今はパッシブ設計が基本になると思うので、間違ってもサイディングとフローリングではまずいと思います。

3世代が住み継ぐ家というのは、いいものを使うというイメージのはずです。また悪口だと言われるかもしれませんが、ネーミングがよくないと思います。

「夢のマイホーム」「3世代住み継ぐ」「100年住宅」など、ネーミングばかりが先行しているような会社が、住宅業界の中には未だに多いです。消費者の方を騙そうという魂胆があるように感じます。

先日メルマガに書いたことですが、某住宅屋さんがメカメカの家を作っていました。蓄電池、太陽光発電、HEMSなどがついていました。

それで「住み継ぐ家」と謳っていましたが、それだけ機械をつけると住み継ぐのはすごく大変じゃないかと思います。その前にもっと家の性能を上げたらいいのにと思います。

機械をたくさんつけてしまうから、家本体はローコストだけど、家自体の値段が4000万円もするんです。下手すると機械代の方が高いのではないかと思います。

でもやっぱり、飛びついてしまう消費者の方も多いんでしょうね。そんなに勉強していないような層の人が一定数いるから、メーカーさんもやめないんだと思います。買ってくれる人がいなかったら絶対やらないはずですから。

おそらく私の動画を見ている人は、その辺のからくりはわかっていらっしゃると思います。

次は、工場生産の限界・某大手メーカーの自画自賛広告の動画に対するコメントです。これもまた悪口ですが、これを悪口と捉えるか、風刺と捉えるかで、センスが問われると思います。

「2年前まで戸建て賃貸に住んでいました。夏は蒸し暑く、エアコンの風が当たるところしか涼しくなく。冬はサッシの結露もひどく、明け方こむら返りで目が覚めます。お風呂場も寒く、入浴中に湯沸かしボタンを3回くらい押していました。築3年目だったのですが、性能の大事さを身をもって勉強できました。車は良いのに、住宅は何でこんなにポンコツなんでしょうか?」

悪口のオンパレードになっていますが、ギャグっぽさがあって個人的には好きです。

まず、あくまでもこれは賃貸で、注文住宅ではないという前提条件があります。また、このメーカーさんの賃貸住宅は絶対に鉄骨です。

そもそも鉄骨は難しいです。これはハウスメーカーさんも重々わかっているようで、最近は鉄骨住宅を熱心に売らなくなってきて、木造に一生懸命シフトしています。

鉄骨は、熱伝導率も高いし熱欠損も多いので、余計に断熱しなくちゃいけません。木造と同じ性能にするために、わざわざ外張り断熱をしなくちゃいけないから、余計に手間かかります。

だからそこをアピールするのはおかしいだろうとツッコミを入れたくなります。そうしないと性能が上がらないからやっているのであって、それがすごいことのように言わないでほしいと思います。

こういうのが私は気に入らないし、特に嫌なところです。それをすごいことのように言うのは詐欺だと思います。そうやって消費者の方を騙さないでほしいです。

あとは何と言っても、賃貸住宅は商売道具です。なるべくお金をかけずにオーナーさんが設けるものなので、どうしてもそういう風になってしまう感じはします。

また、「車はいいのに住宅は何でポンコツなのか」ということですが、住宅と車の決定的な違いは市場だと思います。

車メーカーさんは、日本の売上よりも海外の売上の方が多いわけだから、世界基準で物事を考えないといけません。一方住宅は、日本専門でしか売っていないから、同じレベルでは考えられないのだと思います。この違いは大きいです。世界基準なのか日本限定基準なのかというところです。

日本で決められている、世界でも稀に見る低い基準をクリアすれば最高等級と言えるのかというと、全くそうではありません。一番悪いのは国という結論に行き着いてしまいます。

でも、そういう法律を作るように、どこかが圧力をかけていたりするのではないかとは思います。

そうしたら、この方から返信がありました。

「ご返信ありがとうございます。元々賃貸ではなく、貸主が出張のために空き家になっている物件なんです。世界から見たら日本のハウスメーカーは、東ドイツのトラバントみたいなものでしょうか。失敗しないためにも施主も真剣に勉強しなくちゃいけないですね。」

アパートかと思っていましたが、このメーカーさんが作った築3年の家なんですね。

私はそれに対して、「さすがにトラバントは言い過ぎかもしれませんね。しかし国内限定なので、考え方は似てるような感じかもしれません。」と返信しました。

やり取りが面白いですよね。悪口ではなくてお互いに風刺・ギャグを言っている感じです。東ドイツのトラバントが出てくるこの方のセンスが好きです。また送ってください。

続いては、群馬県の方からのコメントです。

「蓄熱についてご質問です。同じ群馬県の高崎市で、南側の掃き出し窓に接したタイルテラス(タイルデッキ)を作る場合、掃き出し窓のガラスは遮熱型と断熱型のどちらがいいですか?南側には高い建物がなくて十分日射取得ができます。軒は9cmなので夏の日射遮蔽もできます。しかし、タイルテラスからの照り返しがすごいから迷っています。」

基本的には、南側で日射取得をしたい場合は遮熱型がセオリーです。ただ、この方も言っているように、タイルテラスは冬の日射取得は期待できていいけど、夏は軒で塞いでも下から来てしまいます。

タイルテラスはあまりオススメしません。本当にすごい暑さになってしまいます。夏の照り返しがすごいこともありますが、前に外構屋さんから聞いた話では、お子さんが誤って夏に裸足で出てしまって火傷したというケースがありました。また、高齢の方が洗濯物を干しに行って、朝方で濡れていたから滑って頭を打ったという事故もあるそうです。

もしタイルデッキを作るのなら、ツルツルではなくて滑り止めをしたものを使った方が危なくはないです。しかし滑り止めをするとザラザラになるので、お子さんが転ぶとズル剥けてしまうこともあります。そして、滑り止め加工されたタイルでも、照り返しはそんなに変わりません。

結論としては、私はタイルデッキを南側に作るのはあまり好きではありません。もし作るなら、東側や建物の正面ではない角の方にして、直接反射しないところに作った方がいいと思います。

当社の場合は、施工事例を見てもらうとわかりますが、タイルデッキではなくウッドデッキにする方が多いです。ウッドデッキでも多少は熱くなるけど火傷するほどではないし、照り返しも少ないです。風も抜けるし、水も下に抜けるので、その方がいいと思います。

ただ、家のデザインによってはタイルデッキの方がいいこともあります。この辺りはメリット・デメリットがあるので、考えながらやっていただければと思います。