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 | 2023.08.05

①外壁にガルバリウム鋼板はアリか?②外壁の張り方にはパターンがある③ファサードラタンにするときの注意点④劣化しにくい仕上げとは?

今日は質問コーナーです。
メルマガにご質問をいただきました。


「株式会社 モリシタ・アット・ホーム 代表取締役 森下様 (姫路の巨匠)
がやってきたパート3&4」拝見させていただきました。

・「2022年に完成したお家の外観と外構を眺めてみました」
・「2017年7月に完成した下田島モデルハウスで住宅談義」
こちらのメルマガ限定動画も併せて拝見させていただきました。
森下様との談義内容が非常に参考になる素晴らしい動画でした。

その談義の中で疑問点がありましたのでご教授いただけると幸いです。

■横張りは雨漏りのリスクが高くなる。
板張り、ガルバリウム鋼板ともに雨漏りリスクが高くなるのでしょうか?
(継ぎ目も横向きになるので水分が溜まりやすいということでしょうか?)

■ファサードラタン (すのこ)
ラタン張りを検討中なので是非ともお聞きしたいことがございます。
紫外線に強い透湿防水シートを使用しても、外壁材よりも先にシートが劣化してしまわないものでしょうか?
(外壁とシートの張替えタイミングを揃えられるのかどうか?)
家を眺めた時にシートの色やロゴが すのこの隙間から見えたりしないものでしょうか?

今回も勉強になるお話をありがとうございました。
これからもメルマガ楽しみにしております。

この方はいつも丁寧な文章でコメントいただけるので、ありがたいです。

姫路の巨匠シリーズは、パート1〜6まで全6本あります。6本はすでに配信済みで、1本目だけYouTubeで公開して、残りの5本はYouTubeには上がってないんですよ。メルマガ読者さん向けの特別シリーズって感じですね。

ガルバリウム鋼板については、横張りの場合はかませながら張るので、雨漏れリスクは高くないんです。ただ、ガルバリウム鋼板を外壁で横葺きする場合、下地の作りが重要で、下地をしっかりとしないとベコベコになっちゃいます。これが、個人的にちょっと気になるポイントです。

でも、あれをどうにかしてくれと言われても、完璧に直すのはなかなか難しいんですよ。ガルバって、薄い鉄板じゃないですか。波打たないように張るためには、下地がしっかりしていないといけない。でも、それだとコストがかさんでしまうんですよね。

だから、ガルバを壁に張る場合、基本的には少し波打ちが出るのが前提です。特に、太陽が当たるとその波打ちがよく目立つんですよ。個人的にはあれはちょっと嫌な感じがします。雨漏りというより、見た目的な話です。

ガルバが波板みたいに加工されたものもあるし、それは私も張っています。ただ、ガルバリウム鋼板の板自体を外壁に張った経験はありません。

お客さんから要望をいただいたことはあるんですけど、ちゃんと張るための下地作りにコストがかかるという話をすると、「そこまでの費用はかけたくない」とおっしゃっていました。下地を省いて安価に施工する業者もいるみたいです。

お客さんの中では、「ガルバは安い」というイメージがあるみたいですね。それは合ってるけど合ってないみたいな感じです。

外壁に張る場合、コストを抑えると波打ちが出てしまいます。それを理解していればいいのですが、完成後に「なんでこんなになるんですか?」と言われるのは困るんですよね。だから、ガルバリウム鋼板の特性や短所もしっかりと理解してもらいたいんです。

性能が悪いというわけではありません。ただ、外壁材としての特性を知って、納得して選んでいただきたいです。

板張りって案外難しいんですよ。例えば、板を横に張る場合、板と板の接合が問題になります。板は横から見たとき、重ねるようにするじゃないですか。そのとき、板が反ると、隙間が生まれてしまいます。こうなると、水が入りやすくなっちゃうんですね。

対策としては、ホゾを掘って板を連結させる方法もあります。でも、ホゾを加工するのは手間もかかるし、板の厚みも考慮しないといけません。厚みが薄いと、ホゾの部分で割れちゃうこともあります。

ホゾ付きの薄い板も市販されていますが、地震の時にヒビが入るリスクもあるので、やっぱりある程度の厚みが必要です。ただ、厚い板は価格も上がってしまいます。

次に、鎧張りについてです。柱に斜めに板を重ねていくやり方ですね。昔の長屋とか、コロニアル屋根なんかと似た感じです。この方法だと、反っても目立ちにくいし雨漏りにも強くなる反面、厚い板だと外観がボコボコになります。逆に、薄い板だと反ってしまいます。

水切れが良くて施工もしやすくて問題が起きにくいとも言えるけど、いろいろ考えると、鎧張りは交換するときも大変です。一本一本の板を取るのが難しく、縦張りの方が取り外しやすいし、反りにくいのでおすすめです。

たまに、お客さんから「横張りはできないの?」と質問されることもあります。できなくはないですが、上で話したようなデメリットもあるんです。それを説明すると、多くの方が「じゃあ、縦張りがいいかな」とおっしゃいます。

もう1つが、ファサードラタンです。知らない方はぜひネットで検索してみてください。これは壁に対して杉板を張る工法で、その特徴は木と木の間に隙間を開けて張ることです。隙間を2〜3cm開けて、ほぼスカスカのように見えます。

もちろん、実際の設計では胴縁を取り付けて、その外側に杉板を張ります。こうすると通気層ができて、それが木にとって非常に良い環境になります。木と胴縁の間が通気し放題なので、湿気も出ていきやすいです。

ただ、そのマイナス面として、雨水が直接入ってきやすくなるんです。そしてこの張り方をすると、壁に貼ってある透湿防水シートが直射日光や雨に晒されます。だから、時間が経つとシートは劣化します。

さらに、雨に当たる胴縁も、ある程度の太さがないとヨレてしまいます。ファサードラタンは、私自身はまだ試したことはないんですが、見たことはあります。

ファサードラタンをする時の透湿防水シートって、正直一択です。ウルトという外国メーカーの製品で、私が見たのは真っ黒のタイプのものでした。紫外線や雨をバンバン当てても耐久年数が約30年という、非常に耐久性の高いものです。

でも、その30年という耐用年数も、50年や60年といった長い間住む場合には足りませんよね。そうなると、シートや胴縁を外して、新しいものを再度張り直す必要が出てくると思います。

ファサードラタンをやる時の透湿防水シートは、ウルトさんの一番高いタイプ一択ですが、金額も正直高いです。下地材にも気を付けなくちゃいけないので、簡単にパパッとやっちゃうと危ない仕上げ方かなと思います。

誰かやってみたい人はいないでしょうか。私自身もやってみたいとは思っています。ただ、安くできるようなものじゃないから、そこだけはお気を付けいただきたいです。

逆に「安くファサードラタンできますよ」と言われたら、危ないと思います。漏れてからではどうにもならないし、その時になって下で透湿防水シートがシャリシャリになっていたら、交換するのにもすごくお金がかかるので。

塗り壁なんかも全く同じです。安い塗り壁というのもありますが、塗り壁はいかに手間をちゃんとかけるかで綺麗さが決まります。下塗りする前にまず下地があって、それに下塗りして中塗りして、最後に仕上げ塗りをするという工程です。

これをすっ飛ばすのが、塗り壁用のサイディングを張って一発で塗るやり方です。そうすると、確かにパッと見たところは塗り壁になっているけど、大体10年ぐらいでヒビが入ります。

サイディングにはジョイントがありますから、十字に均等にヒビが入るんです。そこから雨水が染み込むと余計に広がっていって、相当カッコ悪いと思います。

ヒビが入った所だけを補修すると、絆創膏を貼ったようになって目立つから、補修せずそのままにしておくか全面補修かの選択になります。ただ、全面補修しても下が動いていっちゃうので、10年後もまた同じことになって、それをずっと繰り返していくことになるはずです。

塗り壁の補修が何度も必要なのが嫌な人は、一発リシンという吹き付け仕上げがおすすめです。伸び縮みするような吹き付け塗装です。そうするとヒビが入りにくくなります。それでもヒビは入ることもあるので、その点は覚えておいてください。

話が杉板から外れましたが、外壁仕上げにはいろいろな材料があるんです。塗り壁もあれば、杉板もありますし、ガルバリウム鋼板もあるし、サイディングもあります。それぞれには長所と短所があるのが実情です。絶対に劣化しないものはないんですよね。何をもって「劣化しにくい」と言うのかは人それぞれで、一般的な基準では言えないことが多いです。

例えば、「サイディングは30年間色褪せしにくい」と言われても、その「しにくい」の範囲はどこまでなのか、という問題がありますよね。「まだ色褪せてない」と言われても、自分から見れば既に色褪せて見える、ということもあります。

物事は常に変化し、劣化していきます。そういう中で、「劣化したように見えない」「カッコ悪くならない」という観点が、外壁材選びには重要だと思います。私個人として、塗り壁や杉板は、劣化していっても「すごく汚い」「この家大丈夫?」と感じさせにくい材料だと思います。

ただ、それも人によって感じ方は違うので、貧乏くさいと感じる人もいるかもしれませんね。そういった点も踏まえて、最終的にどの仕上げ材を選ぶかは考えた方がいいと思います。ぜひ参考にしてみてください。