以前にメルマガで
ご紹介したことを
YouTubeでも解説をします。
話としては、
同じ断熱材や同じ窓など
性能が同じものを使っても
家によって性能が違うことが
あるという話です。
家は同じ物を使っていても、
そんな単純ではありません。
例えば建物の面積は
作る家によって違います。
大きなお家もあれば
小さなお家もあります。
それから家の形もあります。
同じ土地面積でも、
ボコボコしたお家もあれば
長方形や四角いお家もあります。
外壁の面積が変わるので、
実際の性能も変わってきます。
もっと言うと窓の大きさや
付け方によっても家の中の
温度や住み心地は変わります。
なので使っている物だけを
比べても参考にはなりません。
もちろん1つの要素では
ありますが、それが最終的な
結果ではないということは
思った方がいいと思います。
例えば同じ面積でも
長方形の建物と凸凹の建物では
外周部の面積が違います。
そうするとそこから出る
熱の量も違いますから、
同じ断熱材を使っていても
性能が変わってきます。
もっと言えば、
窓の付け方でも変わります。
パッシブのセオリーでは
南側の日射取得ができれば
日射取得面を確保します。
西面は当然暑いし、
北面はどうしても熱損失するので、
それらの窓はなるべく小さくして
風が通るぐらいにします。
それが例えば
あちこちに窓を付ければ、
同じ断熱材を使って
同じ性能の窓を使って
同じ延べ床面積でも、
熱損失の量は変わります。
こういう視点で
物事を見るのが大事です。
さらに言えば、
HEAT20のG2とG3で、
どっちの住み心地が
良いのでしょうか?
一般的にはG3だから
住み心地が良いはずだと
考えるでしょう。
でもG3でも、
大きな窓を取ったときに
日射遮蔽をしていなければ
オーバーヒートを起こす
かもしれません。
G3なのに家の中が
暑いということが起こるわけです。
逆に冬は日射取得量が大きいので
暖かくなっていいかもしれません。
でも日射がない場所なら、
冬も寒くなってしまうし、
建てる場所によっては
窓の付け方を変えないといけません。
G2・G3は1つの要素ですが、
それだけで住み心地が決まる
わけでもないし、燃費も
それで決まるわけはありません。
G2やG3は一般的には
卓上の計算値なので、
実際の施工精度もちゃんと
管理しないといけません。
あとは何と言っても
エアコンという冷やすものが
なければいくら断熱をして
日射遮蔽をしても家の中が
涼しくはなりません。
それから空調機を使う時も、
エアコン1台で冷気が回りやすい
ように冷気を分配していく
間取りの作り方もあります。
そういうのができていないと、
断熱性能のいい家を作って
エアコンをどこかに付けておけば
隅々まで冷えるというのは
私の経験ではありません。
床下エアコンも同じです。
恐らく家の断熱化は
これからどんどん
進んでいくと思います。
国としても
G2・G3クラスの断熱性能を
新設していきます。
国がそういう風に動くと、
住宅会社さんや消費者の方も
それに反応します。
おそらくG2は
メジャーになるでしょう。
ある九州の会社さんが、
超高性能住宅をつくったけど、
日射遮蔽を全くしなかったら
9月で室温が40何℃に
なったという話が話題になりました。
これから高気密・高断熱化が
進んできたときに、理屈が
わからないままG2やG3の
家を作るケースが増えると
思います。
お客さんもあまり勉強しないで
買ったりして、つまり、
わからない人が作って、
わからない人が買っていくことが
増えていく気がします。
家は作ってから
何かをやるというのは大変です。
例えば大きい吹き抜けに
大きいFIX窓を付けたときに、
暑くて仕方ないとなったとします。
吹き抜けだから
閉めにも行けないので、
日射遮蔽ができませんから
外から足場を組んで電動ブラインドを
付けるしかないと言ったら大変です。
その電動ブラインドが
10何年後に壊れたりしたら
どうでしょう。
悪循環は
なんとなく想像できます。
高断熱化になるのは
とても良いことです。
ただ一方で、
やったこともない人が
ブームに乗ってつくるのは
あり得る話で怖いことです。
この辺りはくれぐれも
お気を付けいただければと思います。