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 | 2023.05.14

①大工さんの適正単価はいくらなのか?②ハウスメーカーは住宅会社ではない③床下の蓄熱方法を解説しました

今回は動画にいただいたコメントをご紹介します。
まずは最初の動画です。

▼大工さんの手間にはランクがある
https://www.kosodate-sekkei.co.jp/blog/daiku_kyuryo_rank/

当時、タイトルに「ランク」とつけてしまったのですが、この表現は、今考えるとちょっと失礼だったかもしれません。この動画で本当に伝えたかったのは、私の理想だと考える大工さんのお給料についてです。

大工さんというのは、サラリーマンとは違って、自分の腕一本で稼ぐわけですよね。社員として働く大工さんもいますが、ほとんどの大工さんは自分自身が経営者で、自分で仕事をしてお金を得ています。一人親方と言われる人ですね。これは全てが自分の責任ということでもあります。

もし休みを取りたいと思えば取れますが、休んでしまうと収入が得られません。また現場で問題が発生して怪我をした場合は、元請けが休業補償を出すこともありますが、自分の不注意で怪我をした場合は、自分で責任を負うしかありません。

大工さんや職人さんは、自分の身の安全を含めて自分自身で責任を負う職業です。だからこそ、大工さんは、サラリーマンと違って、手間(お給料)というのは同じレベルじゃダメなんですよ。例えば35歳くらいの方だったら、太田市なんかでは月収40万円くらいで、年収500万円ぐらいでしょうか。ただ、大工さんで年収500万円だと、どう考えても生活できません。たぶん倍ぐらいの1,000万円くらい稼がないと割に合わないと思います。

でも1,000万円が全部儲かるわけじゃなくて、自分の車両代や維持費、保険代、道具代、ノコギリの刃など、色々な経費がかかります。当社の大工さんが言っていましたが、造作をやっていると、鋸を頻繁に変えないとバリが出ちゃってうまく切れないそうです。なので経費も変わってきます。将来のための蓄えも必要だし、そういう面でサラリーマンさんとは違うわけですね。だから、大工さんはある程度の収入が確保できるようにしないと、誰もやり手がいなくなっちゃうんです。

そんな中で、「ランクが高い人でも1万5千円でやってくれる」というコメントがありました。

それはすごく安いと思います。私が聞いた話だと、東北や青森なんかでは大工さんの単価が安いみたいですね。大工さんに一日だけ手伝ってもらう時、大体2万円が一つの常識だと思います。でも、1万5千円でやってくれる人は、群馬県ではなかなかいないかもしれません。もしそんな人がいたら、すごく安いと思います。

また、「ブルーカラーの人へのリスペクトが足らなさすぎる」というコメントもいただきました。

日本で大工組合を作るとなると、難しいんですよ。大手ハウスメーカーが日本全国で家づくりを展開していて、その仕事を大工さんや下請けさんに流すシステムがあります。これによって主従関係が生まれ、ハウスメーカー中心の組織が形成されているんです。このようなシステムは、日本だけの特徴で、アメリカやヨーロッパでは見られないそうです。

でも、ハウスメーカーさんも変わりつつあります。例えば積水ハウスさんは、私が見る限りでは、住宅よりも非住宅のほうが売り上げが多い感じがします。海外展開もかなり進めているようです。また、積水ハウスさんは、住宅よりも商業用の物件や老人ホーム、アパートといった方向に進んでいるイメージがあります。

大和ハウスさんも一緒ですね。大和ハウスさんは今はゼネコンのイメージが強いです。大和ハウスさんの太田支店には、住宅部の営業マンが10数人いたと思うんです。今はたぶん半分以下に減っていると思います。今までいた営業マンたちは、個人の住宅ではなく、ロードサイドのお店などに営業の焦点を移しているんです。

そういう風にどんどん転換をして、売上を維持していく方向に進んでいます。でも、その中でも未だに住宅にこだわって頑張っているメーカーもあります。私のイメージでは、ミサワホームさんがそうです。三井ホームさんもお医者さんたちとの関係が深いと言われています。個人で開業するお医者さんたちは、大体三井ホームに頼むみたいです。そういうネットワークがあるんですよね。

どのメーカーも特化する部分があるんですよね。大和ハウスさんはロードサイドのゼネコン業務、セキスイさんは海外展開やアパート、老人ホームの建設、三井ホームさんは医療系に強い。

大手ハウスメーカーさんたちも、今はかなりバラつきがあるということですね。それと同じように、地元の中小工務店も本当に多様化しています。世の中の流れの中で、自分がどういうポジションを取るかによって、会社の先行きは決まるんじゃないかな、という感じがします。

私も今の家づくりのスタイルが主流になったのは、ここ7〜8年ぐらいです。この会社は、2013年に設立してから20年経ってるんですけど、そのうち7年間、まだ半分弱は今のような高性能な家づくりに取り組んでいて、その前までは本当に普通の一般的なお家でした。これからもっと高性能な家を作る経験を積んで、腕を上げていきたいと思っています。そのためには、ますますいろんな勉強をして頑張らなきゃいけないと、改めて思います。

では次の動画です。

▼①室内の熱を逃さないのは断熱窓?遮熱窓?②スキンカットをしても大丈夫だった③付加断熱を行えば夏涼しく冬暖かくなるのか?④通気しない胴縁がある
https://www.kosodate-sekkei.co.jp/blog/mado_skin_fuka/

この中で、「外皮が大きくなると外皮からの熱損失に加えて、エアボリュームも相対的に大きくなり、空気を温める必要が出てくる。それが随時換気システムから吐き出されるので無駄が多いと感じます。そこで、この対策として床下にペットボトルを置けば空気を減らせるし、熱容量を稼げるのではと考えました」というコメントをいただきました。

外皮面積は、すごく重要です。なぜかというと、同じ坪数の家でも、外皮面積が広い方が熱の損失がしやすくなりますし、コストも絶対に高くなります。例えば同じ面積だとしても、真四角の家とコの字型の家を比べると、コの字型の方が外皮面積が大きくなります。ちなみに、コの字型の間取りは、場合によっては問題が起こる可能性があります。外皮面積が大きくなると、熱損失を起こしやすくなるからです。さらに、コストが掛かりやすくなるというデメリットもあります。

▼「コの字」型間取りの盲点
https://www.kosodate-sekkei.co.jp/blog/konoji_madori/

実は、水が入ったペットボトルを床下に並べて、その水に熱を吸わせるという考え方があります。たとえば、床下に2リットルのペットボトルをたくさん立てて、床下エアコンでガーッと空気を吹くんです。そしたら、中に入っている水が熱を吸収します。水は温まりにくいけど、いったん温まると冷めにくい性質があるので、床下エアコンを切っても、温まった水の熱がゆっくり放熱されて、蓄熱効果が期待できます。

私の知り合いでも、自分で2リットルの水のペットボトルを床下にたくさん置いてる人がいます。その家は40坪ぐらいあるんですが、床下に200本ぐらいのペットボトルを置いているようです。

ただ、これだけで家の中が暖かくなるわけじゃなくて、熱を有効に利用しなきゃいけないし、家の断熱も大事です。単純にペットボトルを入れればいいわけじゃなくて、私の知り合いは、ペットボトルの水を床下に200本置きつつ、床下エアコンを使って、高性能な木製窓を入れて、G3並みの家を作っています。それだけやれば、蓄熱効果が生きてきますが、性能の悪い家では意味がありません。

実は私も、蓄熱を考えたことがあって、冬場の日射熱を夜まで保存しておく方法を探していました。市販の蓄熱材もありますが、高くてコスト的に合いません。簡単な蓄熱方法としては、南面の掃き出し窓があるじゃないですか。そこに土間を作って、コンクリートを打って、熱をためるというのもアリかなと思います。ただ、土間を作るとリビングが狭くなったり、逆に蓄熱ができないと土間が冷えてしまったりする問題もあるので、そこはちょっと難しいところですね。

物事には必ず一長一短があります。南側に土間を作って蓄熱して暖かくするのは一つの考え方ですが、逆に夏には暑くなりすぎたりすることもあります。このあたりは、日射遮蔽を含めてちゃんと考えないといけないところですね。私自身も、蓄熱というテーマをこれからも勉強していこうと思っています。