今回は、エアコンのガス漏れについて解説します。
2〜3年前から、エアコンのガス漏れが起こるお家が増えています。4〜5年前にも漏れるケースはありましたが、その頃の原因は何となくわかっていました。
今のお客さんは、当社で外構工事までやらさせてもらうことがほとんどです。外構屋さんがエアコンの室外機をセットして、試運転をしながら引き渡します。ですが昔は、当社が外構工事まで行わずに引き渡すこともあったので、お客さんが依頼した外構屋さんが、室外機を持ち上げたり戻したりする際に引っ張ってしまい、配管に隙間が空き、少しずつガスが漏れていったということもありました。1〜2年後にエアコンをつけたら冷たい空気が出ず、当社に問い合わせが来て確認したところ、配管からガス漏れしているとわかって直したこともありました。
エアコンのクリーニングというサービスは、昔はありませんでした。最近は夏になると、ホームセンターさんやダスキンさんが宣伝していますよね。正しい知識を持った人が、怖さをわかってやるのはいいですが、よく知らずにいじってしまって壊れたんだろうなと思われるケースもあります。決定的なのは、お客さん自身でエアコンのクリーニングをしたケースです。市販のスプレーには強力な薬剤が入っているものもあるので、間違って冷媒管にかけてしまうと腐食する場合もあるそうです。
最近は、外構も当社でやっていて、お客さんが何かいじったわけでもなさそうなのに、引き渡してから2〜3年でエアコンのガス漏れが起こるケースが多いです。森下さんや松尾先生と話をしても、そういうケースが多いとのことでした。そこで、松尾先生経緯でいろんな人に聞いてもらったところ、全国の工務店でもそういうケースが増えているとわかりました。また、エアコンメーカーさんもそのことを把握しているようです。
今はエアコンも、コスト削減で燃費競争になっているし、気温も湿度も高いから、コンパクト設計で、コストを抑えて、性能をよくする必要があります。そうなると、どんどん負荷がかかります。そういうこともあって、壊れやすくなっているのかなと思った時もありました。ただ、4年前につけたお客さんのエアコンよりも、今のエアコンの方が最新型ですよね。家の性能も同じです。基本的な性能は変わりませんが、よくなっているのは事実です。お客さんの住む環境も当然変わっていません。
そうなると、最近のエアコンがおかしいんじゃないかと思いますよね。メーカーさんは絶対に否定すると思いますが、我々実務者の中での共通の意見として、最近のエアコンは昔に比べて壊れやすくなったというのはあります。明確な理由はわかりませんが、燃費競争などいろんな部分でエアコン自体に負荷がかかっていて、大変なんだろうなと思います。
三菱電機さんが、2021年2月18日に「除菌スプレーの使い方に要注意。事前に知っておくだけで防げる、コロナ禍で注意しておきたいエアコン故障トラブル。エアコンを静かに蝕む厄介な蟻の巣状腐食とは?」という公式文書を出しています。
コロナ以後、除菌について気を使う人が増えました。除菌スプレーもそうですが、空間除菌をしたり、バルサンを焚いたりと、菌を殺すことに対して過度になっていきました。それらをエアコンが吸うことによって、エアコンの中の熱交換器が蟻の巣状腐食し、エアコンの寿命を短くしてしまうようです。それを予防するためには、エアコンに除菌スプレーを直接かけない方がいいそうです。また、エアコン運転中に除菌スプレーを使用することも控えた方がよさそうです。
これとは別に、一般社団法人日本銅センターさんの「銅管の腐食や割れが生じる原因と対策」という資料があります。先ほどの蟻の巣状腐食についての記載もありますが、室内の壁紙から放出された環境物質の影響を受けることもあるようです。
このモデルハウスを建てた時にも、ホルムアルデヒドなどの環境物質の量を測定しました。リトマス試験紙を1週間ぐらいぶら下げておき、吸着したものを検査センターに送ると、国が設定している指針に対して、その家にどのくらいの環境物質があるかというのがわかります。このモデルハウスはほぼ0%だったので、こういう感じの家を作っている限りは、環境物質に関しては大丈夫だと思います。ただ、仮に大丈夫だったとしても、その後に買った家具などに有害な環境物質が含まれていることもあります。さらに気密が高くなったりしていると心配な感じもします。
セールスになってしまうかもしれませんが、造作家具も一緒に作った方が、そういう部分についてもいいんじゃないかなと思います。いずれにしてもこういう現象はあるので、コロナみたいな大きな出来事が起きた時は、物事は変わるんだなとか、機械も敏感になるんだなと勉強になりました。また、何と言ってもエアコンに負荷がかかるような使い方はしない方がいいです。夏場に家の中に大量に洗濯物を干して、エアコンで洗濯物の水分を吸い取るという使い方はよくありません。エアコンの中がビショビショになって、カビが生えるどころではなく錆びてしまいます。
冬に日射取得ができて、2階のホールで干せるような家だったら、部屋干しをしてもいいと思います。ただ、夏に室内干しをするのは、基本的にはよくありません。乾燥機を使ったり、天気がいいなら外に干したりする必要がありますし、そこまでエアコンさんに期待するのはかわいそうかなという感じがしました。