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 | 2024.03.30

①水を入れたポリ袋は蓄熱材になるのか②シャブコンが駄目な理由③経験は長いが使えない職人もいる④C値0.1でもダメなパターン⑤防湿気密シートを貼りたくない理由は何?⑥住宅コンサルタントの闇

今回は質問コーナーです。
まずは以下の動画に対してのコメントです。

▼①ルーフィングを2枚重ねると耐久性が上がる?②無断熱でも家中が暖かくなる?③冷暖房機はエアコンが一番良い理由
https://www.kosodate-sekkei.co.jp/blog/roofing_mudannetsu_aircon/

断熱方法で◯◯断と言って、壁の中に空気を吹いて、空気の膜を作って断熱するような工法があるみたいです。何でそんなことをするのかわかりませんが、空気とは断熱材の代わりになります。ただ、あくまでそれは静止空気の話だと思います。

よくデパートにエアカーテンがありますよね。それを家の中で4面方向につけて風を吹かせても、その中は暖かくならないですよね。余計に空気が回っておかしなことになってしまうと思います。ただこういう工法があるらしいです。エアカーテンについてかなり失礼なことを言っていますが、あくまでも例えです。その動画に対して次のコメントをいただきました。

「○○断は詐欺でしょ。水を詰めたポリ袋を天井に敷いて蓄熱材と言っているようなものです。北海道で通用するわけがない。北海道にもモデルハウスがあるらしいけど光熱費には触れず。チャンネルは責任者の顔出しもしないから本当に誰が仕掛けてるんだか。」

確かに水は蓄熱する素材です。しかしポリ袋に水を入れて天井に敷いても、なかなか暖まらないし冷えないと思います。ある程度の熱を与えないと水は蓄熱しないんです。

昔メルマガかYouTubeで紹介しましたが、秋田県で、床下に約1tの水を置いて蓄熱させるということをやった人がいました。基礎断熱をやると床下の温度はある程度一定化するじゃないですか(???)。床下は気密が取れて、温度変化も少ないので断熱する必要はないと前に動画で言いました。床下に水を置いて、床下暖房をつけて、水に熱を吸わせることをやっているので蓄熱体(???)として機能してるというだけの話です。天井にそれだけの量の水は載せられないです。極端な例えですが、天井裏に薄い水枕を置いても、それが蓄熱材になることはないと思います。それが蓄熱するとしても、家の中の温度を上げて嫌なほど吸わせる勢いでないと難しいと思います。あくまでも私のイメージです。そんなことはなくて、これだけ蓄熱するんですということならコメントで教えてください。

私も◯◯断というのは聞いたことがあるんだけど、この辺では見たことがありません。でもポリ袋に水を入れて、天井に敷いたものを蓄熱材と呼ぶのは、なかなか厳しい感じがします。どうなんですかね?誰か教えてください。

次のコメントです。

「長野県の3地域に住んでおります。小暮さんの様な工務店を必死に探しましたが、残念ながらありませんでした。それでも希望に近い工務店にて現在、建築途中です。建物の横で仮住まい中なので毎日、YouTubeではなく生の教材にて楽しんでおります。

しかし、そんな楽しい生活が最近、一変してしまいました。詳しい説明は割愛させて頂きますが、なんと基礎業者が生コン車の運転手に加水指示を出していた事が判明しました。

構造計算をして地中染まであるのに、シャブコンでは意味がありません。令和の時代に、まだこんな不正行為があるのでしょうか?小暮さんの過去のご経験、群馬の場合で結構ですので是非、教えて下さい。動画のタイトルとは違う上、業界のタブーかもしれないので、都合が悪い場合はスルーして下さい。」

加水というのは現場でコンクリートに水を入れてしまうことです(???)。コンクリート工場で水分調整をして作ったコンクリートに基礎屋さんが水を入れてくれと言ったんでしょうね。
全くタブーじゃないですし、こういうのは取り締まった方がいいです。

人の家の基礎を見張ることはないので何とも言えないですが、私も見たことがあります。住宅だけではなくて、公共工事でもやってるはずです。何でやるのかというと、大きな工事で夏の暑い時は、コンクリートを連続して打つ必要があり、生コン車を何台も待たせておかないといけません。ただ、待っているとコンクリートの水分が蒸発するので、固さを調整するために水を入れながら練るということをやっていました。だからといってその建物に欠陥が生じたかというとなかったと思います。

じゃあやっていいのかというと、よくないです。地元の工務店さんでもシャブコンをやってるところはないと思います。大型の工事と住宅はまた違うレベルです。住宅の場合、生コン車を何台も待たせておくことはないです。私の勝手な意見ですが、それをまずくないと思う感覚の人は一定数います。大工さんでもそうだけど、その人が今まで生きてきた経験・感覚というところです。

今の家づくりをする時に当社は大工さんをみんな変えたという話をしたと思います。うちの大工さんはみんな40代で若いんです。40代の大工さんは腕が悪いとか、60〜70代の大工さんの方が腕がいいという人もいると思います。でも今風の家づくりで言うと、40代の若い大工さんで、きちんと経験をしている人の方が、60~70代の大工さんよりもいい家は作れると思います。

今は構造計算されたプレカットの木材に対して指示された金物を使うことで構造を安定させる作り方です。自分で彫り込みをしたりする技術は必要ないです。私の家づくりではそういう前提の上で、気密を取って、断熱材を隙間なく入れて、重たい樹脂窓・木製の窓をつけることの方が重要です。もちろん良さもありますが、やっぱり60〜70代の大工さんでは厳しいです。どっちがいい・悪いではなく、家づくりの方法によると思います。うちの場合は40代ぐらいの若い大工さんの方がしっかりとした施工ができるし話も通じやすいかなと思います。

大工さんを40代に変えた理由は、昔の余計な経験がない状態なので新しい考え方を理解してくれやすいからです。昔の大工さんが悪いわけではないですが、今の工法のことになると「そんなこと昔はやってなかったよ」「そんなことをやってもいいことないよ」と言われてしまいます。「何でそう思うの?」と聞くと「家はそういうものなんだ」と言われます。その人の経験と感情で物事を決めるので難しいですよね。ただ、それはその人の生き方なので否定してもしょうがないです。

もしかしたらこのシャブコンをした職人さんも年齢が上で、少しぐらいならジャンカ(断熱欠損みたいなもの)もできにくいし大丈夫と判断したのかもしれないです。コンクリートが柔らかければ隙間まで入りやすくなるので、ジャンカはできにくいと思います。その代わり中のセメント・砂・石が柔らかい分、分離しやすくなるので強度のばらつき(???)ができてしまいます。そこの部分は他の方法でジャンカができないようにするのが基礎の施工の方法です。

ただ、これを消費者の方が職人さんに言えるわけがないですよね。これは現場監督の仕事です。現場監督は、現場や職人を管理するという要素もあるし、ちゃんとしたものを作るという要素もあるし、お客さんを喜ばせてあげる・不安にさせないことも大切です。これら両方をやるのが現場管理の仕事です。私も現場監督に言ってますが、随分と理解してくれているのでありがたいです。

次は以下の動画に対してのコメントです。

▼①可変透湿気密シートを使わない夏型結露対策②発泡ウレタンに防湿気密シートを使うと結露するのか?③通気層があると夏型結露をしてしまうのか?④前提条件が違うと答えも変わる⑤建売住宅の屋根が凍っている
https://www.kosodate-sekkei.co.jp/blog/sheet_ketsuro_taisaku/

「私なら内断熱材の種別にかかわらず、防湿シートは安心と気密を担保させたいので、敷設させます。高気密住宅の過ごし方をしていれば害はありませんから。C値0.1以下目指して施工させます、HMや職人さんのいい経験にもなるでしょうし。」

C値0.1以下ってなかなか難しいですし、そこまでやっても仕方ないと思います。当社はサッシを変えてから、枠からの漏れが減って気密性能が高まりました。去年までは頑張ってもC値が0.3ぐらいだったのが、今年は大体0.2になりました。しかし0.3が0.2になっただけでは何も変わらないです。

一般的には0.5以下であれば問題ないと思います。ただよく言うように、気密の取り方が問題です。0.1でも気密の取り方次第で、あまりよくないということもあります。逆に0.6でも、その気密の取り方だったら安定することもあります。数値だけに惑わされない方がいいと思います。

外付加断熱の場合は別ですが、この方の言う通り、内断熱であれば防湿シートは安心料だと思って貼った方がいいと思います。貼ることによって害があるわけじゃないので。

また、同じ方から以下の動画に対してもコメントが来ています。

▼天井断熱にセルロースファイバーを使うと結露する?
https://www.kosodate-sekkei.co.jp/blog/tenjyo_dannetsu_cellulose/

「私だったら断熱材に調湿を求めるHMは避けます。その定義・効果すら定量性なく不明ですから。HMがその地域で数年~数十年の実証データが仮にあったとしても避けます。なぜ防湿気密シートを張らないのか..手間だけですかね。防湿気密ラインの構築は基本だと考えますが。それから壁内・屋根裏の通気がしっかりしていることですね。」

全くその通りですよね。これは西の巨匠も言ってます。前提条件が違うと答えも全く違ってくるので難しいです。断熱材は調湿材ではないし、目的は調湿ではないはずなのに、調湿を求める理由は何なの?と思います。調湿させる方法は他にもあるし、特化した製品が売っているのでそれに任せたほうが話としてシンプルだと思います。

あと怖いのが、たまたまOKな地域や環境・シチュエーションがあるということです。それはたまたまそのシチュエーションだから大丈夫だったのかもしれないのに、前提条件もわからず「そんないい方法があったんだ」と思う人も絶対にいます。

それを全てすっ飛ばして失敗したというケースもあります。例えば大阪の方が言ってることを東北の方がやったという場合などです。大阪で流行った工法を東北の工務店さんに売って仲介して、売り上げてるコンサルタントもいます。その仲介人は、住宅の家づくりに詳しい人ではなくて、商材を扱う(???)不動産みたいものです。地質に詳しいわけではないんです。それに乗っかっている住宅会社さんも多いと思います。そういうことが通用しているのが住宅業界だったりするので気をつけてください。