今回は、お手紙をご紹介します。
“子育て設計室、小暮社長様。初めてお便りさせていただきます。何時もYouTubeとメルマガで為になる消費者向けの情報をありがとうございます。毎回なるほどと思うことばかりで、素人にもわかりやすい解説は大変ありがたいです。これは小生が家を建てるまでの経緯についてです。以下長文になりますがお読みいただければ幸いです。小暮社長様への感謝を申し上げたくて、お手紙を差し上げる次第です。昨年に65歳を迎えるにあたり、2年ほど前から、家内と終の棲家を考えて人生設計を話し合っていました。仕事の関係で千葉県に住んでいますが、家内共に千葉県とは縁もゆかりもないため、他の場所を探そうということで家づくりが始まりました。まず最初のステップとしてはやっぱり勉強です。サイト検索と初めての注文住宅はどうすればいいか、これを必死に考えました。当初はそれこそあらゆるYouTubeを手当たり次第に閲覧しました。ただ元々、ハウツー本には興味はありませんでした。家内は家そのものよりも、使い勝手や間取りに重点を置いていましたが、小生は構造・気密・断熱などの性能を重視する傾向があり、建売住宅のような家には住みたくないという思いがありました。”
当社のお客さんも、ご主人は断熱・気密・耐震という部分を重要視して、奥さんはそれを基本にどのような収納や窓にするかを考えるという感じです。男性と女性とでは思考が違うので、得意・不得意があるのは当然です。女性の方でも理系っぽくて、物事を立体的に捉えられる人はいらっしゃいますが、そういうのは比較的男性の方が多いのかなという感じがします。そうなると奥さんが使い勝手や間取りを考えることになるので、建売住宅というのは難しいと思います。
“到底、付け焼き刃の知識なので、理解したか?と問われると全く自信はありませんが、少なくとも疑問に思うことは相手に質問してみようと思うようになりました。”
そういう中で、最終的に見られているYouTubeが5つあるそうです。恥ずかしながら私、あとは松尾先生、本橋さん、相模さん、そして姫路の巨匠の森下さんです。私が男性視点だとしたら、森下さんは女性視点で収納や間取りを解説する感じの方です。森下さんの動画と私の動画を見ると上手く合体するんじゃないかという感じもします。
“どこに住むかは随分検討しました。最終的には、家内が子育てをしていた静岡県が候補地になりました。早速、ホームズを活用して土地探しを始め、時間を見つけては足を運び、不動産会社からいろいろな情報を入手しながら、検討を重ねました。”
土地探しにおいて足を運ぶということは、ものすごく大事だと思います。昔はネットに載っている土地は売れない土地というイメージがありました。いい土地は不動産屋さんが持っている隠し玉と言われるもので、売れない土地は仕方がないからネットにばらまくという感じでした。今はあまり隠し玉というのはないし、あっても仲のいい住宅屋さんにパッパと渡して売ってしまうと思います。もしくは事前に、消費者の方がダイレクトに「こういう土地があったら連絡ください。」と言って連絡を待つというパターンもあると思います。それ以外は大体、ネットに網羅されています。
なので私は、土地探しを依頼された時には、まずネットの情報を1週間に1回ぐらい見ます。今は本当に便利になっていて、番地までは載っていませんが、地図が添付されているので、Google Mapを見ればわかります。また、Google Earthで上から見ることもできるので、日当たりや周りの状況もわかります。ただ、一番重要なのは、現地に行って、実際に自分の目で見て雰囲気を感じることです。Google Mapに載っている写真はそんなに古くないけど、隣の家がなくなっていたりすることもあるので、やっぱり現地で確認するべきです。
“不動産業者から様々な情報を入手しながら検討を重ねました。あとで詳しく述べますが、建築条件付きに手を伸ばしたこともありました。現地にいる友人から広告にない物件の情報があり、売却予定地の看板を見たとのことで早速見に行ったら、それは市の売却物件だとわかり、役所を訪問し、詳細を確認して、入札をして契約しました。”
この下田島モデルハウスの辺りも、だんだん人気が出てきています。当社のモデルハウスが建った時はこの周りには何もなかったんですが、区画整理がされて、家やコンビニ、ドラッグストア、スーパー、焼肉屋などいろいろとできています。私のYouTubeを見ている方には太田市の人は少ないと思いますが、この辺りは比較的便利で土地も安いです。100%とは言いませんが、地盤も日当たりもいいです。小学校までは歩いて15分ぐらいだし、すぐそこには大きなバイパスもあります。熊谷駅までは40分、籠原駅までは30分ぐらいで行けるので、東京が通勤圏の方も、JRを使えば通えなくもないかなと思います。
“御多分に漏れず、家に関してはど素人でしたので、たまたま目にしたスーモの相談会に行きました。余談ですが、私は大手の建材の商社に勤務していました。部材の搬入だとか、現場での工事会議だとか、台帳の記載だとか、進捗確認などの経験はあったので、建設業界という括りの中では、感覚はわかる感じです。スーモでは3社の建築会社を紹介してくれました。1つ目はS友林業さん、2つ目がS友不動産。3つ目は住宅情報館。各々訪問しましたが、1つ目のS友林業さんは当方の希望に全く合致しないのでアウト。2、3つ目は、全国ネットワークを駆使して土地探しから協力するとのことでしたが、1件の案内もありませんでした。”
大手ハウスメーカーさんは残念ながら、自由設計と言いつつ企画住宅が基本なので、間取りは決まっているし、設計ルールも厳しいので、自由にできない感じはあります。また2、3つ目については、うちで建てると決めてくれればという条件があるのかもしれません。
“土地探しは難航しましたが、満足できる物件には出会えず、その中でかろうじて候補に挙げた物件がありました。S友不動産は、たまたま隣の市に工事物件があったので、そのついでに候補地を視察したりしていくようになりました。その不動産業者から候補地の問題点を指摘され、結果的に断念したんですが、あろうことかその候補地を元に、S友不動産は間取り図等を作成してきたのです。間取り図を持ってきたことに対して、家内には不満はなかったようですが、土地も決まっていないのになぜそこまでするのかという風に疑問が湧きました。その後は展示場のようなところに呼び出され、見積書を提示され、今から値引きできますと契約への引き込みがありました。”
この住宅不況の中でも右肩上がりで業績が伸びている住宅会社さんがあるんですが、そこの営業も同じ感じみたいです。絶対に取るという根性や意思があってすごい人だと、その部分に関しては思いますが、私の感性からすると怖いです。その方が自社のことをよくわかっているかどうかも、自社のことを好きかどうかもわからないからです。私はどちらかというと小心者だし、トラブルも好きじゃないし、そんなに上昇志向があるわけでもありません。なので何となく理解してくれないお客さんだと、お高いなという感じがしてしまいます。どうせ家づくりをするんだったら、打ち合わせも楽しい方がいいですよね。
“ここも向こうのペースで、宿泊体験と打ち合わせをセットにした営業ベースで進みました。土地の紹介もありましたが、その土地の所有者が◯条工務店さんで建築をされた方で、希望する場所ではないし、特に依頼もしていないのに、簡単な図面とおおよその予算を提示されました。次回は着手金100万円をご用意くださいと言われてびっくりしました。さらに家を検索している最中に、YouTubeなどでハウスメーカーへの不満・不信感・警告等の投稿があったのを目にして、契約ありきのハウスメーカーはお断りしました。”
私も詳しくは知りませんが、まだこういうのは多いんでしょうか。今は家を建てる人が少なくなったから、余計にそうなっているのかもしれません。
“ホームズに掲載されていた現地工務店で、現地ではテレビCMもある大きいところの売り出し物件が家内の条件に合っていたので、地元工務店の建売住宅で打ち合わせを行いました。事前に要望を伝えておいたので、建築士の方と営業の方が同席し、プランの提示がありました。注文住宅もお任せくださいという謳い文句がありながら、出てきたものは建売住宅と全く変わらないものでした。”
これもありがちなパターンかなという感じがします。建売住宅をメインにしている会社の設計というのは、やっぱり建売住宅です。あとは、間取りは変わらず天井を梁見せにするなど、ちょっとだけ変えることで、注文住宅みたいにしていくのかなと思います。本来建売というのは、この土地にはこの間取りが最適だと、その会社がプロデュースをするものなんじゃないかと思います。逆にプロデュースをしたいけど、お客さんの希望との折衝案を作るのが注文住宅です。ただ、お客さんの言うことを聞きすぎるとおかしくなっちゃうので、そこは上手く説明しながらやっていくのがいいと思います。
“建売住宅と注文住宅の両方の断面図を見ましたが、断熱性能がなかなか難しいかなという感じでした。例えば天井・屋根の断熱が90mm。”
さすがに今これだけ暑い中では、なかなか効かないかなという感じがします。ちなみに当社の屋根断熱は300mmあります。沖縄だったら必要ありませんが、6地域ぐらいでこの暑さだと、あくまでも当社が使っているセルロースファイバーの場合、屋根はそれぐらいでないと厳しいと思います。また、グラスウールは◯mm、セルロースファイバーは◯mmと考えるんじゃなくて、熱抵抗値というもので判断するべきです。
“打ち合わせをしていた建売住宅は、GW前の午前中でした。2階は大変暑くて、断熱をしているのか?と思ったほどです。そこで、断熱材の厚み変更、ルーフィングの材質変更、屋根材・壁材の変更を伝えたところ、見積もり価格は700万円以上アップしていました。詳細を尋ねるべく、そこの支店長に連絡したところ、あなたが来社されたことは知っているけど、あなたに見積もりを提出したということは知らないから、何で700万円上がるんだと聞かれても私にはわからないとのこと。また、折り返し支店長からご連絡があり、営業マンが相談もなく独自で作成したので申し訳ないとのこと。何とも情けないやら呆れるやらという感じでした。こんな工務店もあるんだなと思いましたし、それまでに見たYouTubeの中にもそんなのがあったなと思って勉強になりました。S水ハウス。立地はよかったので、営業所長・建築士と現地にて打ち合わせをしました。しかし1年以上前から販売しているのに、1件も成約していないとのことでした。ハウスメーカーお得意の値引き交渉が現場で始まりました。所長権限で今からこの土地の値段を100万円下げるので、何卒ご検討をとのこと。翌週には千葉県まで来られて、簡単な説明と、総額5000万円超の立派な見積書を持ってこられました。その翌週には契約書持参。ゆっくり考える間もなく、ファミレスの閉店時間をオーバーし、やむなく自家用車の中に入ってきて重要事項の説明が行われました。契約ありきのハウスメーカー。契約ありきの地元建売住宅屋も同じでした。”
一旦は何となく流されて同意したけど、奥さんが納得できないとのことで、翌日クーリングオフしたそうです。これがもし相手の事務所や展示場だったら、逃げられなかっただろうと思います。そして、ハウスメーカーさんや地元の大手デベロッパーは懲りたとのことで、今度は地元公務店の方に移ったそうです。これについては第2部でお話をしたいと思います。
▼パート2はこちら
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