今回は
セルロースファイバーの話です。
セルロースファイバーについては
これまでもいろんなことを
言ってきました。
例えばセルロースファイバーは
調湿効果なんか期待しちゃ
いけないと言ってきました。
そもそも断熱材は
調湿材ではありません。
セルロースファイバーは
紙だから水を含むけど、
それが調湿と言うのは
かなり暴論だと言ってきました。
ただ私は
セルロースファイバーが
嫌いなわけではありません。
当社も屋根断熱として
セルロースファイバーを
使っています。
その厚さは300mmで、
55Kという1㎥あたり55kgの
重さの量の物を使っています。
セルロースファイバーの
熱伝導率は一般的には0.04ぐらいと
言われています。
熱抵抗値で7.5ぐらいです。
7.5あると、
壁の倍以上にはなっているので、
夏の暑さにも効いています。
さてセルロースファイバーは
調節性能が高いものではありません。
調湿材という規定の性能を
クリアしていませんからね。
断熱材を濡らしてしまうのは
良くありません。
乾燥しているものが
一番性能が高いのは事実です。
なのでセルロースファイバーを使って
内側に防湿気密層を付けるのは基本です。
セルロースファイバー単体では
気密は取れないので、防湿気密層を
つけるのは家全体の気密を
高めることにもなります。
性能はイマイチなので、
300mmぐらいは吹かないと
群馬県みたいな夏の暑さの中では
厳しいでしょう。
そう考えるとそんなに
メリットがないように
思われるかもしれません。
それでも私が
セルロースファイバーを使う理由は
断熱欠損が起こりにくいところと、
性能として安定しやすいところです。
断熱材を使う時に
高性能だとか熱伝導率が低い
というのは絶対に重要です。
ただそれと共にその性能が
確実に発揮できるような施工が
重要になってきます。
50年住んでも、
その断熱材がちゃんと性能を
発揮しなくてはいけません。
卓上の計算と性能がちゃんと
発揮されるかどうかは
全く別の問題だと思っています。
例えばソフトで
UA値計算をしたとしても、
ちゃんと隙間なく断熱欠損が
ないように断熱材を入れているか
どうかなんて項目はありません。
ちゃんとした性能の物を
使うのはいいけど、
本当に施工がしやすいとか
安定して性能が出やすいかまで
考えないとそれはただの
卓上の計算になるわけです。
セルロースファイバーは
ものすごく単純なもので、
紙をカットしてホウ酸とかを
添加して吹き込むだけです。
グラスウールも同じです。
ガラス繊維を編み込んだ物体を
隙間なく入れてあげれば
性能を発揮してくれます。
一方で発泡ウレタンは
どうなのかと言うと、
これは現場で施工するものですよね。
そのときに、
施工する人の腕や気の遣い方、
吹き付ける側の家の作り方の
問題によっては取り扱いが
難しいです。
発泡ウレタンは隙間なく
膨らんで断熱欠損を防ぐと
言いますが、実際は綺麗に
入りません。
自分で試してみると
すぐわかります。
だからと言って
発泡ウレタンが悪いわけではなくて、
そういう傾向がある物だから
大事にゆっくりと吹かなきゃダメだよ
という意味です。
断熱材は持っている性能以外に、
施工がしやすかったり
安定した性能を発揮するのが
ものすごく重要なポイントです。
セルロースファイバーは
細かく何回も分けながら
吹き込んでいきます。
屋根の骨組みの凹凸を気にしながら
断熱欠損をせずにできて、
安心して施工できるという部分で
考えると、セルロースファイバーは
ものすごくいい物だと思います。
セルロースファイバーは
熱容量が高いという特徴が
あります。
熱しにくく、
冷めにくいという感じですね。
では屋根断熱に
セルロースファイバーを使うと
夏の屋根の熱をため込んで
しまうのでは?と思うかもしれませんが、
実際はそんなことはありません。
セルロースファイバーを使うと
家がカラッとするなどと言われる
こともありますが、それは
家の間取りや日射の入り方によって
変わってくるものです。
この辺りはくれぐれも
お気を付けいただければと思います。