Facebook
X
YouTube
ホーム > ブログ > YouTube > ①ベタ基礎は一体打ちがオススメなのか②熱橋は大した問題でもない③セミナーに参加してもダメな理由④遠隔現場監理の弊害⑤基礎内断熱の正しい貼り方
YouTube
 | 2024.12.15

①ベタ基礎は一体打ちがオススメなのか②熱橋は大した問題でもない③セミナーに参加してもダメな理由④遠隔現場監理の弊害⑤基礎内断熱の正しい貼り方

今回は質問コーナーです。

まずは、私が以前にベタ基礎の一体打ちの説明をした動画についてです。

ベタ基礎が絵のような形をしている時、当社では2回打ちをするため、ジョイントができます。ジョイントといってもわずかな隙間なので、そこからシロアリが入るということはありません。シロアリよりも気になるのが、大雨が降って外が浸水することです。当社では止水板を使ってカバーするため、水も入って来ないし、シロアリの被害も心配ありません。

一体打ちをやる場合、こういう手間が省けるし、より水密性が保てるのでいいんですが、コンクリートを流す時にバイブレーターをかけなければいけません。確認申請が取れる最低基準の鉄筋はすごく隙間が開くので、バイブレーターをかけなくても流れていくとは思います。ただ、地中梁があったりすると鉄筋の量が増えるので、バイブレーターを上手くかけないと鉄筋とコンクリートが絡みつかなくなります。なるべくバイブレーターをかけることで、コンクリート欠損を防ぐことに繋がります。

また、型枠を組み立てますが、絵のような状態になるため、形としておかしくなります。今回コメントをいただいたタンさんという方は、以前から「それはどうなのかな?」」と思っていたそうです。

私は前職で土木工事会社にいました。その頃はたしかにバイブレーターをよくかけていました。さらに土木工事というのは公共工事のため、役所の検査が入るということもあり、バイブレーターの使い方にすごく厳しかった覚えがあります。コンクリートは石と砂とセメントを混ぜて作るものなので、バイブレーターで振動を与えると、石と砂とセメントが分離して弱くなってしまいます。そういうのを懸念して「バイブレーターをかけちゃうと分離しちゃうんだよ。」と言う方も、たしかにいます。

それに対して、以下のコメントをいただきました。

「現状は、砕石とコンクリートが分離するというのを言い訳にして、あまりにバイブレーターをかけなさすぎている。バイブをかけすぎるのとかけなさすぎるのとでは、かけなさすぎる方がジャンカ等が出て、強度に与える影響が大きい。例えば骨材分離のことを言う人が、50cmピッチで20秒ずつかけるのを見たら、かけすぎと言うだろうが、現状はそういう施工法が最良だとコンクリート専門家が言っている。骨材分離の神話は、古い頭のままの人が言っているに過ぎないんですね。」

こういうのは現場の声というものです。一体型はたしかに水密性を保ててすごくいいんだけど、私はやりません。どうしても怖いというのがあるし、バイブの問題もあるし、2回打ちでやることが悪いわけでもないからです。また、1回と2回とで住み心地が変わるんだったら考えますが、止水板を入れればそんなに違いはないと思うし、逆にこっちの方が安全なんじゃないかと思います。

この動画については他にもコメントをいただいたんですが、ちょっと違うかなと思ったのが「一体打ちができないのは、腕が悪いことの言い訳に過ぎない。」というものです。たしかに一体打ちができるということは素晴らしいことだし、悪いことじゃないと思うけど、それができないから腕が悪いというのは違うと思います。「いろんな考え方があるから、安全を考えたらこっちの方がいいんじゃないの?」「別にそんなに問題があるわけじゃないよね。」という風に感じます。また、突貫工事をやってるわけじゃないので、ちゃんとバイブレーターをかけて、型枠をやって、止水板を入れれば、考え方としてはありじゃないのかなと思います。

断熱材も同じです。「セルロースファイバーがよくてグラスウールが悪い。」「グラスウールがコスパが良くて一番だ。」「発泡ウレタンはダメなんだ。」という風に言うのは違うと思います。グラスウールは工場で作られたものだから性能は担保されているけど、施工が悪ければダメじゃないですか。ネオマはたしか単体でもものすごく性能がいいけど、コスパが悪かったりするし、「その厚さじゃちょっと不安だな。」ということもあったりします。いくら熱伝導率が0.02ぐらいで高性能でも、厚さがなければ熱抵抗値は上がりません。だから、ネオマの30mmを使うくらいなら、グラスウールをつければよかったという声もあります。外に張ることによって熱橋を防げたりはするけど、建てる場所が6地域や5地域だったら住み心地はそんなに変わらないし、それだったら内断熱をちゃんとやった方がいいんじゃないかと思います。

今の時代は情報過多なのかなと感じます。客観的な目を持っている人というのは、情報の取捨選択がしっかりできていて、「全てが長所だ。」「これが素晴らしい。」と言える方なんじゃないかなと思います。

次は、「危ない間取りが増えている。」「梁を太くすれば本数は少なくてもいい。」という構造的な話をした動画についてです。危ない間取りというのは先日メルマガで見せましたが、オーバーハングというやつです。1階と2階がズレていて、耐力壁線もズレている感じ。スキップフロアの家も、お洒落なんだけど構造的にはすごく難しいので、地震が来た時におかしな動きをすると言われています。スキップフロアをつけたいんだったら、がっちりと許容応力度計算をするとか、そういうことをよく知っている設計士さんに依頼をするとかしなければ怖いと思います。私は基本的に、スキップフロアの家は作りません。ローコストスキップフロアを計画されている方がいらっしゃったら、作っちゃいけないとは言わないけど、どんな構造計算をしているかはちゃんと確認された方がいいと思います。特にローコストスキップフロアかつ軒ゼロぺったんこ住宅というのは、本当に怖いと思います。

それに対して、ノーバンドさんからコメントをいただきました。

「構造については、セミナーに出たからできるという話じゃなくて、そもそも力学的な感覚を持ち合わせて設計しているか否かが大切だと感じます。」

すごくシンプルなことだけど、構造だけじゃなく温熱環境についても言えると思います。セミナーに出ればできるというわけじゃないので、実際に設計や測定を繰り返していかないと、なかなか力がつかないと思います。

現場管理も同じですよね。最近は遠隔管理というのもありますが、遠隔でカメラ越しに見るのと、現地に行って実際に見るのとでは、視野が全く違うし、カメラだとどうしてもピンポイントになってしまうと思います。金物がついているとか、釘が打ってあるというのも大事だけど、現場のいろんな部分を見ることも大事だと思います。私が古い人間なのかもしれないけど、若くてまだそんなに経験がない方が遠隔管理をしてしまったら、年を取ってからも間違いなく力はつかないと思います。

本当に腕のいい大工さんというのは感覚もいいので、そういうのは重要だと思います。世の中の感覚もあるし、会社ごとの考え方もあるから、良い・悪いもないし、答えもありません。ただ、私はそういう風に生きてきたし、実際に周りを見てみると、優秀な人に限って、失敗や成功などいろんな経験をしていることがわかります。

次は、以下のコメントについてです。

「4地域で、基礎内断熱仕様、立ち上がりとベタ基礎の上全面に断熱を検討中です。心配なのが、基礎の水分が抜ける際、立ち上がりとベタ基礎全面に断熱をすると基礎の水分が抜けなくなり、基礎と断熱材との取り合い部分に水や湿気が溜まりカビが生えないか心配です。お願いする工務店さんには、基礎の外側から水分が抜けていくので心配いらないと言われましたが、個人的にはしっくり来ず。子育て設計さんにも検討していただきたいです。」

これはたしかにその通りで、基礎断熱の施工の仕方というのがあります。新住協だと普通に言われていることじゃないかと思います。当社の場合はそんなに寒いところじゃないけど、絵のように断熱をそれぞれ張っています。そして立ち上がり面については、ボンドで貼ってしまいます。ただ、床面は貼らずに置くだけです。なぜかというと、この方がおっしゃった通り、基礎の水分はいろんな方向から出るので、水分が溜まってカビが発生する可能性があるからです。

あとは、浸水リスクもあります。止水板があれば止まるはずですが、止水板をやる会社は少ないので、床面に使う断熱材は接着せずに置くのが基本です。そうすれば多少は隙間ができて浮くので、水分が抜けていきます。また、床下エアコンをつけていくうちにだんだん乾いていったりもします。「断熱欠損が起こるのでは?」という突っ込みが来そうな気もしますが、そのくらいの隙間によって寒くなるなんてことはありません。

メンテナンスのことを考えたら、貼らずに置いておいた方がいいと思います。気になるようだったら、そんなに寒くない時は、剥がして横にズラしておくとか、真ん中を開けておくとかしておいて、冬になったらまた置くという方法もできなくはありません。ベタッと全部ボンドを貼らないとダメというわけじゃないので、臨機応変にやっていただけたらと思います。