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 | 2024.08.25

①危ない間取りが増えてきている②梁を太くすれば壁は少なくても良いのか③スーパー工務店とは何か④性能・構造・意匠、全てを網羅するのは難しい⑤温度コントロールよりも湿度コントロール

今回は質問コーナーです。

今回、とある方からの質問を久々に見て、思い出したことがあります。松尾先生もFacebookで投稿されていましたが、最近は耐震的に危ない間取りの家がかなり目立ってきたんじゃないかということです。許容応力度計算でも壁量計算でも、耐震等級3だから問題ないという理屈はありますが、耐震等級3であっても、この建物の形はまずくないのか?と思うことがあるんです。

さらに言うと、材木の話もあります。材木には無垢材・集成材があります。集成材のいいところは、無垢よりも強度が出ることです。当然、集成材でもスギ・ヒノキ・ホワイトウッドなのかによってヤング係数は違ってきます。ホワイトウッドの集成材は、スギの集成材よりもヤング係数が大きいとか、レッドウッドを使うと強度が高まるということもあります。このため、無垢材で構造計算をすると耐震等級はアウトだけど、集成材を使えばクリアになることもあります。

また、通し柱という、1階の土台から2階の梁まで通すものもあります。これも理屈で言うと、通し柱をしても、梁の上下を金物で継いでも、構造計算上は別に変わりまません。そうは言っても昔の感覚だと、通し柱が1本通っているということは全部繋がってるわけなので、それが適度な本数がないとまずいという感覚があります。ただ、構造計算というところで考えると、別にそうでなくてもいいんです。さっき言った、無垢材はアウトだけど集成材はOKという話のように、どんどん過大に考えて、何でもかんでもOKにしてしまっているような間取りがあるようです。

前に動画で言ったと思いますが、昔は2階建ての場合、下が大きくて上は小さい家でした。こういう方が安定しますよね。当社もほぼ平屋同然の、下が大きくて上は小さい家を設計をしますが、こういうのが構造的には安全なセオリーだと思うんです。ただ、どこでもあるような感じだから、つまらないといえばつまらないですよね。

最近は、設計士さんなのか工務店なのかわかりませんが、美術館にありそうな家を木造住宅とかで作る人が意外に多いらしいです。絵のような感じですが、地震が来たら震えまくりな感じがしますよね。2階が出っ張っている部分の支えになる壁でも欲しいところですが、柱は1本も立てないみたいです。「昔はこういう危ない家はたまに見る程度だったのに、意外にチョロチョロと見かけるようになった」と、松尾先生が言われていました。その家がどんな計算をしたのかはわからないし、「こういう計算で耐震等級3です」と設計士さんが施主さんに説明して、施主さんは「耐震等級3ならいいですね」と安心していらっしゃるのかもしれませんが、無理やり計算することもあるので、どういう計算をしてるのかはわからないといけないと思います。

当社の大工さんも言いますが、一般的には梁をどんどん太くすれば、理論上は壁や柱を少なくできるんです。お客さんから「もっと広いリビングがいい」「解放感があ欲しい」などと言われて設計をする場合、無柱の壁にして、梁を太くして支えることがあります。これができるのは集成材のメリットですよね。太い集成材の柱と太い梁で鉄骨のような木造を建てる工法もありますが、それはそれでいいんです。ただ、その工法では間取り的にそんなにガコガコしたものは作ってないと思います。ただ長方形のような単純な構造でやっていく感じなので、あれはあれで制約があります。

ただ、あれは耐震等級のことなどもメーカーさんが想定している工法だからいいんだけど、一番怖いのはそういうのをわからないでやることです。地元の工務店が力技で何とかしたものや、梁をバンバン飛ばしたモダン住宅みたいなものは怖いです。当社の大工さんが応援で上棟に行った家も、見た瞬間に全然壁がないとわかるような、太い柱がポンポンと入っている感じの家だったそうで、これは大丈夫かなと思ったそうです。もし地震が来たら一気に崩れるんだろうなという怖さもあると言っていました。

ただ、そういう家で売っている住宅会社さんもいらっしゃいます。デザイン性は昔に比べてものすごく重要視されてきましたが、ちゃんとした理屈があるとか、ちゃんと許容応力度計算をやっているというところがないと、ビジュアルだけで売っている家は怖いと思います。

それも含めて、質問の内容は異なりますが、以下の動画に対してコメントをいただきました。

▼断熱性が高ければ窓を大きくして良いのか?

断熱性が高ければ窓を大きくして良いのか?

「雑誌やSNSなどで発信力、影響力のある様な有名なスーパー工務店?や設計事務所などで、実際には省エネ計算も構造計算も外注というのがあります。そして彼等は本当に自分達が良い住宅を建てていて、日本の住宅業界のTOPランナーだと自称していたりします。しかし正体はただの裸の王様だったりします。スーパー工務店と呼ばれている工務店の半分以上はこの類だと見ています。

ツイッターのライブをされてる某スーパー工務店の社長に直接質問した事がありました。”HP見ると吹き抜けがX方向、又はY方向に全面に配置されている物件もあるが、これでどうやって耐震等級3を満たしていますか?”と。返答は、”私はよくわからないけど構造のプロに頼んでいるので問題はない”という事でした。

この社長自体は真面目な方という印象で良い住宅を本気で建てたいと思っている印象は受けましたが、日本の真面目な設計者、工務店にありがちな真面目だけど建築自体にはそこまで本気で打ち込んで、自分で手を動かして計算の知識も会得して良い住宅を建てようとはならず、難しい事は外注すればよし。というパターンです。良い住宅を建ててると断言してる工務店は意外と理解が浅い可能性があります。」

厳しい意見なのかなという感じもするし、私もどういう話なのかがわからないので何とも言えません。ただ、私が言うのも何ですが、断熱に関してはすごく詳しいんだけど、構造や空調に関しては気にされてないという工務店さんには感じるところがあったりもします。有名な設計士さんなんかでも、UA値に関してはすごく気にされているけど、意外にそれ以外はそんなに気にしていないという方もいたりします。私が良い・悪いを言うことじゃないので何とも言えませんが、全てを網羅してる方というのは実際には多くないんでしょうね。

他の動画でも言ったけど、設計士さんの中にも、構造を大切にする設計さんもいれば、構造よりも意匠を大切にする設計士さんもいるというのが事実です。地元の太田市を見てみても、あそこは意匠系なんだろうなという設計士さんはいます。意匠が一番でUA値とかはあまり気にしない方もいるし、カッコよくてUA値もそこそこ気にしているけどメンテナンスコストはあまり気にしてないんだろうなという方もいます。

家というのは難しいですよね。住み心地や断熱という部分は必要だけど、カッコ悪い家は嫌じゃないですか。メンテコストがかかるのも普通は嫌だと思うんです。そのため、どこかでバランスよくしていくのがいいんじゃないかなと個人的には思ってます。私がそれを100%できているとはさすがに言えませんけど、そういう気持ちでやっているつもりではいます。

この前久しぶりに松尾先生と話をしたのですが、これだけ暑くなってくると断熱とかをするだけじゃなくて、空調計画をより綿密にすることが大事になってくるし、10年前ぐらいの空調計画では全然無理だという感覚になりました。特に湿度コントロールという部分です。温度もそうだけど、湿度が今はすごく大きいです。できるだけ高性能な機械を使わずにやらないと後々お客さんに負担をかけてしまうことがあるので、メンテをする時に簡単に脱着ができたり、交換も簡単にできるものを使うことが大事です。もっと言えば、当社がなくなったとしてもメンテできるものや、ずっと売られ続けているものを使うべきです。特殊な商品でもオリジナルの商品でもないというところを考えながらやっていかないと、お客さんに迷惑をかけてしまいます。

あとは間取りや窓の問題もあります。日射取得も大事ですが、私自身も最近は日射取得を減らすような方向に行っています。そういうところも微妙に変化させていかないとこれからは厳しいんじゃないかなということを、松尾先生と2時間ぐらい話しました。

いずれにしても、これから家づくりというのはますます難しくなってくるんじゃないかなと思いますし、私ももっと勉強していかないとまずいなという風に個人的には思っています。