小暮:
国のせいにする訳じゃ無いんですが、われわれ住宅業界自身も真剣にこういう勉強をしてこなかったっていうのは、私自身ほんとにそう思うんですよね。
松尾先生:
住宅業界は正当な競争が為されて無かったからかもしれません。例えばラーメンだったら不味かったら二度と行かないじゃ無いですか。1回が700円とか800円なんで、味比べが出来てダメな店が早いペースで流行らなくなっていく。けれど、家は一生に一回だし、建ててみないと分からない。
小暮:
そうですね。後は営業マンの押しとかもありますし。
松尾先生:
そうです。さっきから何度も言っている様に、ちゃんとした客観的な評価が無いから、ただのポエムだけの勝負になってしまっている。その辺が残念な所です。ちゃんと燃費表示みたいなのが、いったん義務化されたりすると変わるはず。これも2020年に義務化されるかもしれないです。
小暮:
あ、そうなんですか。へー。
松尾先生:
正直今、最低基準の義務化っていうのはかなり怪しくなってきているっていう話なので。
小暮:
え、そうなんですか。2.7じゃなく、義務化しないんだ。
松尾先生:
表示の義務化は行われるかもしれないっていう噂はあります。日本っていったんそういう表示の義務化が行われると、正当な技術革新が始まっていくんですよね。0.1でも燃費を上げようみたいな。そうなったら良い事かなとは思っています。
小暮:
先生も私も今使っているような、暖房負荷のソフトなどを周知徹底するのは流石にやっぱり難しいかもしれませんね。
松尾先生:
うん。だから、何が基準になるかは分からないですけどね。例えばラーメンで考えたら、日本ラーメン基準っていうのがあったとして、日本ラーメン基準に基づいたレシピで作っていますと。でもそれ以上の努力を全くしなくて、どこのラーメン屋も同じ味なら、そのラーメン屋流行りますかって話です。絶対そんなラーメン屋流行らないですよね。
小暮:
流行らないですね。
松尾先生:
これと同じ事が行われているっていう話です。美味いラーメンやっている人なら、日々もっと美味いラーメンは無いかっていうのを、常に勉強していると思うんです。基準の所に最適解があるなんて事あり得ないですから、絶対に。
小暮:
じゃあ最後に松尾先生から、この動画を見ている真剣に家づくりを考えていらっしゃる方々の為に、総括としてアドバイスを仰っていただければと思います。
松尾先生:
そうですね。購入される時は、UA値だったら0.46以下。で、C値だったら1以下。後は耐震等級3。そこら辺を守っていないと、暖かさ、涼しさ、それから冷暖房費、健康、その辺が全然担保できない住宅になってしまうので。そこら辺はもう絶対だという事で判断していただければなと思います。それ以外のデザインとか間取りとかは、もう自分の好みで。それはもう感性に任せて選んでもらったら構わない。そこら辺だけは間違いなく守っていると、いつ来るか分からない大災害が来ても、あの苦しい避難所に行く事無く、自宅で何とかしのげる可能性が、かなり高くなります。震災が来ても、それで経済的生命が終わる事も無いでしょう。そういった意味で、大災害でパーになる住宅か、パーにならない住宅かっていうのも、本当に最近は自然災害が物凄く多くなっていますから、その観点も非常に大事かなという風に思います。
小暮:
ありがとうございました。
対談第一弾
Vol.1 日本の住宅基準はかなり遅れている
Vol.2 夏は入れない、冬は入れる
Vol.3 出木杉くんが嫌われる
Vol.4 日本の家は「裸にカイロ」
Vol.5 絶対に確認すべき3つの数値
Vol.6 安易な工法やシステムに騙されてはいけない
Vol.7 共働き夫婦の時短を考える
Vol.8 努力しない「ラーメン屋」は淘汰される