今回は質問コーナーです。
その前に、
この動画は7月4日に
撮影をしています。
もう梅雨が明けましたね。
わずか2週間ぐらいの
梅雨だったようです。
私もこんなに早く梅雨が
明けるというのは人生経験で
初めてですし、歴史上でも
相当に早いようです。
このように毎年、毎年、
想定外のことが起こるように
なってきていますよね。
2021年の冬は確か
ものすごく寒かったです。
雪もすごく降りましたよね。
私が住んでいる
群馬県太田市はとんでもなく
寒かったイメージはないですが、
沼田市では-11〜12℃ぐらいの
温度がずっと続きました。
沼田市の方にお聞きすると
そんなに街中に雪がずっと
残るようなことはないそうです。
それが2021年の末から
2022年の始めのころは
街中に雪が残っていました。
その反動で今年の夏は
ものすごく暑くなるという
感覚はありました。
すでに各所で
すごい気温になっていて、
前橋・伊勢崎・太田・桐生
あたりはずっと40℃近いです。
日本でも有数の高温地帯に
なってきましたね。
その一方で冬は
-5℃になったりもします。
沼田市なら今年の冬は
-11〜12℃でしたし、
夏は35〜36℃が普通でしたから、
振幅幅が47℃〜48℃です。
こうなると断熱性能が
いいからいいという問題では
全くなくなってきます。
断熱を良くしてUA値を高めて、
HEAT20のG2にすればいい
という問題では全くない世界。
つまり空調計画が必要ですし、
日射遮蔽も考えないといけない。
もしかしたら群馬県は
家づくりを考えたときに
日本で一番厳しい地域じゃ
ないかなと思います。
これを両立した家を
作るのは自分のなかでは
面白いという感じがします。
測定をすることも楽しいですね。
さて本題へ入ります。
最初の動画です。
▼①屋根断熱をしても暑くなってしまう家②棟換気を付けても換気しない訳
https://www.kosodate-sekkei.co.jp/blog/yane_dannetsu_munekanki/
我が家は寄棟の平家で
軒先換気のみとなっておりますと。
コンセントが屋根裏にあり
換気扇を取り付けたいと
思っているのですが、
換気口をつけるところが
ありませんと。
天井断熱は45mmと薄く、
気密も悪いです、という
コメントです。
天井断熱45mmは
明らかに薄すぎですね。
夏に涼しい家を
作るためのポイントは
2つあります。
1つは日射遮蔽。
特に南側と西側の窓から
入ってくる熱をカットするのが
とても重要です。
もう1つは屋根の断熱。
夏は南側の壁よりも屋根の方が
熱量が大きいです。
屋根材にもよりますが、
屋根の表面温度は70℃まで
達することもあります。
その熱をカットするためには
かなりの断熱が必要です。
それを屋根断熱でするのか
天井断熱にするのかによって
変わってきます。
当社であれば屋根断熱を
300mmにして、さらに2重で
屋根をやって通気を取ります。
例えば当社の場合は
ガルバの裏側に裏打ちと
言ってスポンジみたいな物を
挟んで熱を遮断するとか、
屋根を2重に葺いて空気の
流れを作って通したりとか、
屋根の断熱自体をしっかりして
家の中の頭を守るということを
やっています。
これをやらないと
本当に2階は暑くて
仕方がないです。
これをすれば、
ちゃんと屋根裏エアコンを
使えるという前提条件があります。
屋根を2重にして
空気を抜くと簡単に言っていますが、
そんなに簡単に考えた通り
抜けないものなんです。
だからそれが抜けるように
軒先の換気の数を増やすとか、
場合によっては横からの空気が
入った時に抜けるように
やったりします。
あとは屋根断熱をするときに
とても重要なことは
壁の断熱と全く同じことです。
壁断熱は熱欠損ができないように
ピシッと断熱材を入れないと
いけません。
そうしないと熱欠損が
起きてしまいますし、
中に空間ができてしまうと
空気が流れてしまって
断熱材の性能が落ちて
しまいます。
いわゆる気流止めですね。
屋根も全く同じで、
当社の場合は野地板に対して
下に骨組みをもう1回組んで
下から野地板に圧力を掛けるほど
パンパンに吹きます。
野地板にペタッと
断熱材がくっつく勢いで
圧力をどんどん掛けていきます。
そうすると空気の隙間が
なくなるので、空気が流れなく
なります。
これがダンボールみたいな物で
通気を取ると、セルロースファイバーを
吹いた時にそのダンボール自体の
剛性がないと通気層がなくなって
しまいます。
仮にダンボールを
押さないように吹くと、
沈下して隙間が空きます。
そこで空気が流れると、
結局断熱材の数値としての
性能にはなりません。
こういうところまで含めて
断熱材は何を使って、
何cmがいいのかを
考える必要があります。
そこを考えないと、
単純に何cm入っているとか
カタログ上の計算だけで売る
という風になってしまいます。
施工というのは
本当に大事だと私は思います。
さて話はズレばしたが、
屋根断熱が45mmは薄いので、
その状態で屋根裏に換気扇を
付けて熱気を排気したとしても
焼け石に水という感じです。
それならまずは
天井の断熱を吹き込み工法か
何かで30cmとか吹くことを
やるのが得策だと思います。
ちゃんとした断熱をやらないで
何か機械を付けてブーンと
回せば涼しくなるというのは
なかなかないです。
では次です。
▼付加断熱は通気層がいらないのか?
https://www.kosodate-sekkei.co.jp/blog/fuka_dannetsu_tsuuki/
外側がEPS、充填断熱が
吹き付けウレタンの場合は
通気層はいらないのは
理解できましたが、
防湿気密シートは
必要でしょうか?と。
100倍発泡ウレタンで
スキンカットはしない、
場所は九州とします、
というコメントです。
この質問の中には
ヒントになる要素が
いくつも入っていますね。
まず私が動画で説明したのは、
外側にEPSを貼って中が
発泡ウレタンであれば通気層が
いらないとは言っていません。
あくまでもそれは構成として
このくらいの断熱性能があれば
通気層がなくても大丈夫だ
という理屈です。
ただそうは言っても
湿気が出られるような処理も
当社の場合はしているよと
お話ししています。
それが通気層ではなくて
タイベックか何かの特殊な
シートを使って、仮に湿気が
行った時は下に落ちるような
物を使っているよという話も
確かしたと思います。
EPSを外に張って
中に発泡ウレタンを吹けば
通気層がいらないとは
断言できないし、あくまでも
壁の構成として性能が
上がっているという前提です。
防湿気密シートは必要か?
という話ですが、
防湿気密シートが無くても
悪いわけではありません。
ただスキンカットをするので
あれば、防湿気密シートを
付けた方が安心です。
そもそも発泡ウレタンを
使う時点でスキンカットは
絶対にします。
スキンカットをしないとなると、
すごく薄くしか吹けなくなるので
全体の断熱性能として
足りなくなってしまいます。
特に100倍発泡ウレタンは
絶対にスキンカットをします。
あれだけ膨らむ物で
スキンカットをしない場合、
ものすごく薄くしか吹けないので
おそらく無理です。
あとはもう1つ、
付加断熱をするときに
100倍発泡ウレタンは
使わない方がいいということを
言ったと思います。
発泡ウレタンを使うなら、
30倍の硬質発泡ウレタンを
使った方が間違いなく良いです。
性能的な面でも
耐久性的な面でもそうです。
30倍であればそんなに
膨らまずに性能が上がるので、
スキンカットをしなくても
いい場合もあります。
仮にスキンカットをしても
本当に少しで済むので、
いろんな面を考えた時に
30倍発泡の方がいいと思います。
他の方から質問を受けたのは、
100倍発泡はやっても
30倍発泡をやってくれるところは
ないという話がありました。
それはないと思うんですよね。
100倍発泡をやっているところは
絶対に30倍発泡もできるはずです。
もしその会社さんが
100倍発泡しかできないと言ったら、
30倍発泡をやっている会社は
探せば絶対にあります。
もしかしたら私の解説が
細かいところで説明不足だったの
かもしれません。
改めて今回の回答を
参考にしていただければと思います。