今回は質問コーナーです。
断熱材と湿気について解説します。
以下の動画にコメントを
いただきました。
▼透湿防水シートと防湿気密シートの違い
https://www.kosodate-sekkei.co.jp/blog/toushitsu_bousui_boushitsu_kimitsu/
セルロースファイバーで、
壁は漆喰塗りの場合、
防湿気密シートは内側に
貼った方が良いのでしょうか?
というご質問です。
セルロースファイバーは
調湿効果もあるので
貼らなくても良いようなことを
他で見かけたと。
壁の構成として、
基本的にはプラスターボードと
断熱材の間に防湿気密層、
つまる防湿気密シートを貼った
上で施工する方が良いといつも
お話しています。
この方は、せっかく
セルロースファイバーという
調湿性能が高いものがあるから
防湿気密シートでストップを
するのではなくて、湿気を
調節してくれるから
貼らない方がいいんですか?
というご質問ですね。
これについては
何回もお話をしていますが、
グラスウールであろうが
ロックウールであろうが
羊毛ウールであろうが
セルロースファイバーであろうが
100倍発泡とかの
発泡ウレタンであろうが、
防湿気密層はあった方が
良いのは事実です。
防湿気密層を作ることで
余計な湿気を中に入れないことが
できるのと、そこで抵抗を付ける
ことで湿気が中に入った時に
外に抜けやすくなるからです。
中側をきつくして、
外側をゆるくすると
湿気が入った時に外側に
抜けるようになります。
こういうのが
理論的にあります。
入れないという
意味もありますが、
入った時に出やすくする
ために内側に防湿気密層を
作るのはあらゆる断熱材で
重要です。
外張り断熱・付加断熱を
する場合はそれと全く
違うものであって、
そもそも中に入れない
という考え方です。
通気層を取る場合や
外張断熱の場合も
中側でしっかりと
防湿気密層を取ります。
何であれ防湿気密層は
必要で基本的な考え方です。
当社でも
セルロースファイバーは
使いますし、発泡ウレタンも
使うことはあります。
いずれの断熱材でも
防湿気密層は必ず作ります。
色々と言っていますが、
それはあなたの考えでしょ?
と言われると困るので、
資料を用意しました。
その資料とは、
セルロースファイバーを
販売している会社さんが
出している資料です。
セルロースファイバーを
使えば結露しないのか?
という質問に対して、
条件が整えば結露は
発生しますと。
セルロースファイバーを
使えば結露しないわけでは
ありませんと書いています。
また結露対策として、
湿気を溜めないこと、
もしくは逃がすことの
2段階になりますと。
この2つをやらなければ、
仮にセルロースファイバーを
使ったとしても、
それは違いますよと明確に
言っています。
例えば木質繊維系特有の
調湿性…これを調湿性と
言っていいのかと言うと
私はピクっときます。
そもそも調湿材では
ありませんからね。
戻りますと、
透湿抵抗の低い耐力面材、
構造用合板を透湿しやすい
ものにしましょうとか、
その外側に通気層を
取りましょうとか、
あとは内部結露計算をして
その地域に応じた性能の
断熱性能をやりましょうとか、
全て資料に書いてあります。
さらには、
内部結露の原理原則として
注釈まで書いてあります。
壁体内への水蒸気の侵入を
抑えると共に、壁体内に
その水蒸気を停滞させないのが
大切だと書いています。
セルロースファイバーは
透湿抵抗が小さいため、
防湿層を断熱層の外に
設けることが定められて
いますと書いてあります。
ただこれも難しいです。
内部結露計算をした時に、
セルロースファイバーは
透湿防水シートが
省略できるとあります。
省略するのであれば、
構造用合板は湿気を
逃がしやすいものにしながら、
通気層がちゃんと働くように
しないといけません。
棟換気も
棟全幅に施工するように
しましょうとも書いています。
それらをすることで、
防湿気密層をなくすことも
ありですよと言っています。
セルロースファイバーは
調湿性能があると言い切って、
だから防湿気密層がいらないと
言い切る会社さんは、
その場合はこういうことをすると
資料を読み込んだ上で言っているのか、
もしくはこうすることでうちは
湿気を流すようにしていると
言われているのであれば
私は良いと思います。
ただ私が周りの会社を見る限りは、
そこまで考えていないです。
セルロースファイバーに加えて
透湿抵抗の低い断熱材と通気層を
取ることで省略できるけれども、
やっぱり防湿気密層を取って
なるべく湿気を入れない方が
良いと言っています。
ただセルロースファイバーが
他の断熱材に比べて
調湿性能が高いとは
この文献を見る限り
私は感じません。
もしかしたら
これを販売されている
会社さんが良いところだけを
かいつまんで売っているのも
あるかもしれません。
また実際に採用している
住宅会社さんがこういうものを
読み込んでいないのかな?
という感じもします。
私のYouTubeを観られている
消費者の方にも言っていますが、
私のYouTubeが素晴らしいとか
私のYouTubeをもっとちゃんと
観ろなんてことを言うことは
ありません。
かいつまんで観るのではなく、
最初から最後まで観て
いただきたいし、観た後に
自分自身で考えていただきたいです。
いろんなYouTubeを観るだけで、
本当に勉強になるのか?
ということです。
これは住宅会社の方にも
言えることです。
私のYouTubeをいつも
一生懸命に観てくれている
みなさんには、どうか、
お気をつけいただければと
思います。