別の動画で
正しい床断熱の施工方法を
解説をしたときに、
壁の中に空気が入ると
まずいとお話しました。
建物の外側に貼ってある
構造用合板に、湿気を
出しにくいものを使うと
危険なことが起こるという
解説でした。
これについて実際に
ご質問をいただいたので、
解説をしたいと思います。
構造用合板は地震に対して、
特に地震の横揺れに対して
強度を高めるものです。
昔で言えば筋交いですね。
ただ筋交は断熱材を
入れにくいという
問題があります。
断熱材を無理やり
入れることもありますが、
そうすると断熱材が
潰れてしまいます。
他の動画でも解説しましたが、
断熱材はいかに中に空気を
入れるかが大切です。
なので断熱材を
潰してしまうと空気が
入りません。
見た目は
確かに入っていても
空気の粒が潰されるので
断熱性能は落ちます。
難しいのは、
ソフトで計算すると
この中に何cmの断熱材が
入っているとしか認識を
しないので、実際はそこに
筋交いが入っていて
断熱材が潰れているかも
しれないとまではソフトは
読めません。
やはりソフトにも
限界があります。
計算上はこうなってるけど、
ここはおそらく欠損を
起こしているから少し
マイナス目で見ないと
いけないと考えるのが
施工の現場です。
ソフトや卓上の計算は
間違ってはいないけど、
それを信用しすぎない方が
良いというのもあります。
蛇足ですけどね
ダブルに筋交をやると
壁倍率が4倍になるので
計算上は構造用合板を1枚
貼るより強くなります。
ただ問題点は
断熱性能がなくなって
いくので、筋交い工法は
あまり良いものではないと
今は言われています。
なのでできれば
筋交いではなく
構造用パネルが
良いと思います。
さて構造用パネルには
湿気を通しやすいものと
通しにくいものがあります。
ハッキリ言うと、
湿気を通しやすい方が
良いと思います。
ただこれも外断熱で
貼っていくとそもそも
通気しないので、
それなら通気しない
パネルでも良いと
思います。
そのかわり湿気を
どういう風に処理するかが
問題になってきます。
今回の話は一応、
湿気を出す前提、
通気工法で考えます。
そうするとパネルは
通気性がないと
絶対にマズイです。
ましてや断熱材に
袋入りのグラスウールを
使っていたとすると、
気密性能はそんなに高くは
ないですから、より中に
湿気が入ってきます。
ある実験があって、
1㎡のプラスターボード、
普通の石膏ボードですね。
このボードを貫通する
水分の量が一冬で0.3ℓになる、
という実験がありました。
ここに2cm角の穴を
開けただけで、通過する
水分量が3ℓになった
そうです。10倍ですね。
何が言いたいかと言うと、
小さな穴があるだけで
10倍ぐらいの湿気が
壁の中に入ってくると
いうことです。
そう考えると、
袋入りのグラスウールを
入れて、コンセントには
コンセントボックスを
付けないでいる状態で
生活しただけで湿気が
すごい勢いで入っていく
ことが理屈として
わかります。
その湿気を構造用合板が
せき止めてしまったときに
どういうことが起こるか
おわかりになると思います。
ましてや床下から
冷たい空気が中を
駆け巡ったときには
どうなるかって
想像できますよね。
なぜこんなことを
言うかと言うと、
こんな現場を見たからです。
この構造用合板に
ベニヤを使っている
会社さんがいました。
ベニヤは木なので
水分を出すようなイメージが
あるかどうかわかりませんが、
専用のパネルに比べたら
1/10ぐらいしか水分は
通過しません。
水分を出すよりも、
吸う方が強いです。
そういうものを
貼ってしまうと、
完全アウトですよね。
そのベニヤを使って
ダブル筋交いにすれば
耐震計算上は耐震性の
高い建物になります。
なのでベニヤを
使うことは全く悪い訳では
ありませんが、違う意味で
考えたらものすごく
怖いものです。
でも意外にベニヤを
使っている会社はまだ
あると思います。
語弊があるかもしれまんが、
個人の大工さんだと
使ってる方もいると思います。
住宅会社さんでも
施工にあまり詳しくない
住宅会社さんだったり、
建築士の免許がなくて
なんとなくね職人さんに
お任せみたいになると、
耐震のために使った
みたいな感じになって
しまうので本当に
気を付けた方がいいと
思います。
ベニヤを貼るということは
逆に言うと気密が取れる
ところもあります。
筋交い工法だと
スカスカなので、
気密が取りづらいくて
湿気が抜けやすいという
感じがします。
パネル工法であれば、
きちんと選定をしないと
湿気が抜けにくくなります。
ただ断熱材は入れやすいので、
良いこともあります。
ものごとには必ず
一長一短あります。
この辺りはやっぱり
みなさんが気を付けて
いただいて、工務店さんに
質問してみて、その回答で
住宅会社さんを決めるのが
得策だと思います。