松尾先生:
お金の話だけじゃなくて、今から関東エリアだったら関東大震災、それから他のエリアだったら東南海地震ですよね。それが来た時、北海道のブラックアウトみたいに。それから今、何年かに1回、強烈な台風が自分の地域を襲う可能性っていうのはかなり高くなっている。その時に太陽光が吹っ飛んでなければ、非常用コンセントだけですけど、日が照っている時間帯に関してはコンセントを使うことができるんですよね。
小暮:
なるほど、そうですね。
松尾先生:
これは僕がよくいろんなところで話をするんですけど、リアルな保険なんです。金融上の保険っていうのは生命保険とか損害保険とかですが、例えば大震災が来たときに1ヶ月後に申請したらお金が銀行口座に振り込まれるわけですが、でもその1ヶ月が生死を分けるほどにめちゃめちゃ大変な時期なワケです。すぐ食べ物があるとかすぐ電気があるとかすぐ水があるみたいな、このリアルな保険っていうのをどれだけ準備しておくかっていうのは、そういう非常時にそんな苦労せず生活できるかどうかを分ける境目になるわけですよね。その機能としても太陽光はすごく大きいですよね。
小暮:
確かに松尾先生は、私もそうですけど、食料備蓄していますもんね。私も一応、家族5人いて、じいさん、ばあさんいるので7人分の食料を備蓄していますね。
松尾先生:
アマゾンでも売っているし、よく日経新聞に広告も出ていますね。
小暮:
食糧を備蓄して、あとは薪を用意しておけばなんとかなるだろうと。一週間分くらいです。それに加えて太陽光があれば何とかなります。だからそういうことも想定しながら生きないと、本当に昔と違って災害が絶対増えますから。
松尾先生:
日本に住んでいる人には意外と知られてないんですけど、災害の危険が大きい都市ランキングがあるのですけど、大阪、名古屋、東京は全部世界の危ない都市ランキングのベスト10に入っているんですよ。地震のリスクもあるし、台風もあるし、それから富士山の周囲何百kmっていうのは噴火のリスクもある。富士山の噴火は300年に1回の周期なので、いつ来てもおかしくない状態です。関東大震災に関してもそうだし、それから東南海地震に関してもそうです。この3つが少なくとも終わるまでは、かなり広範囲のエリアにおいて非常にハイリスクな状態であると言えます。それとは別に地球温暖化による豪雨が毎年のようにある。
小暮:
今、地球温暖化で温度ってどれくらい上がっているんでしたっけ?前先生もおっしゃっていましたが。
松尾先生:
理科年表とかを見ると、10年単位で2℃ぐらい上がっているなっていう感じは見受けられます。
小暮:
今年の夏に浜松で41.1℃だったかな。ボーンと上がったんですよね。なんか全然暑くなくて、涼しいのかなって思ったら、もうボーンって上がったんだけど、ああいうものがこれからも多分来ますよね。下手すると一瞬で43℃になる可能性もある。
松尾先生:
やっぱり温暖化って言うと、みんなどうして右肩上がりで温度が上がっていくって想定するんですけど、実際は上下動しながら上がっていくんですよ。部分的に下がっているように感じる人もいますが、10年平均で見ると、綺麗な直線が見えてくるっていう、そういう感じなんですよね。
小暮:
まぁ要はこれが気候変動による温暖化っていうやつですね。すごい暑い時もあるけれど、すごい大雪が降った時もある。そういうのは理科年表みてもわかっているじゃないですか。今先生がおっしゃった災害リスク、地震もあれば、まぁ噴火はなかなか対処しづらいんですけど、他のやつは耐震性をきちんとやるとかは必須になりますし、北海道のブラックアウトみたいになった時に、たまたま冬だったら寒くてしょうがないじゃないですか。
松尾先生:
北海道のブラックアウトが起こった時がそんなに寒い時期じゃなかったので、僕は北海道に知り合いがいっぱいいるのでよかったなと思いましたね。真冬だったら、灯油の家ならよかったですけど、電気で暖房している家は、冗談抜きで凍死とかいう話が出ていると思います。
小暮:
そう考えると、どの断熱性能がいいかっていうのは別にして、真冬に無暖房状態でも厚めのジャンバーを着れば過ごせるっていうくらいの性能にしておかないと、ちょっと危ないですね。HEAT20のG2が最低くらいですね。
松尾先生:
まともに暮らせるというところから逆算した場合の最低かなと思いますね。理想っていうのはもうちょっと上にあるんですけど、最低って言ったらそうなるかなと思いますね。
小暮:
G2くらいにはしておいた方がいいし、私はG2を基準にしてやっていますが、コストがとんでもなくかかるわけじゃないって思いますよね。その上をいっちゃうと、今度は付加断熱ですごくコストがかかっちゃうけど。
松尾先生:
そこからちょっとコストの上がり方が強くなってくるかなとは思いますけどね。
小暮:
やっぱりHEAT20のG2というところを基準に家を作るということ、耐震性を高くしておくということ、あと太陽光発電を載せとくっていうのは一つの家づくりの基本かなという感じですよね。
松尾先生:
今、蓄電池を載せなくても、太陽光発電で、例えばブラックアウトした時は非常用コンセントしか使えないんですけど、余剰電力分も5つぐらいのコンセントが使えるような機械っていうのもあるんですよ。通常時は売電してしまう余剰電力を非常時にもう1回家に戻してきて、5箇所くらいのコンセントに割り振るみたいなユニットが15万くらいでできるんですよ。うちもつい最近それを発見したんですけど。
小暮:
なるほど、いいですね。
松尾先生:
15万だったらリアルな保険としては安いじゃないですか。太陽光をのせる時はそれを標準化していこうかなと思っています。あと普通のハイブリットカーのコンセントからも戻せます。プリウスとかなら、ガソリンが満タンである限り、ガソリンが切れるまでの間は発電できますよね。
小暮:
私はキャンプ用のバッテリーを2台持って、何かあったらキャンプ用のバッテリー2台で何とかなるかなと。
松尾先生:
僕もキャンピングカーにバッテリーを乗せていますね。
小暮:
あれも一つの保険になりますもんね。この前それを使ってキャンプ行って、電気毛布を繋いで冬キャンプをやったんですけど、電力消費量が出るんですけど、7wか8wしか消費しないので、残り99時間って出たんですよ。99時間も作動させられるんだ!ってね。このくらいのバッテリーで金額は安いものだと3万いくらとかで買えます。あれは各家庭に1個は最低持っていた方がいいかなと思いますね。
対談第三弾
Vol.1 Ua値やC値だけでは家の性能は語れない
Vol.2 太陽光発電は得か?損か?答えは明確
Vol.3 もしもの大災害は必ず起こると考える
Vol.4 住宅会社の営業トークは嘘だらけ
Vol.5 営業マンの嘘を見抜く方法
Vol.6 家を知らない人が家を売る怖さ
Vol.7 「断熱材で調湿」は「濡れた布団で寝る」のと同じ
Vol.8 窓と日射について抑えておくべき基本
Vol.9 営業マンより消費者の方が知識量は上
Vol.10 YouTubeの中にもたくさんの嘘がある
Vol.11 耐久性のポイントは耐震性と水害対策
Vol.12 おすすめできない製品・部材とは
Vol.13 カタログ数値に踊らされてはいけない
Vol.14 適正な断熱性能はこのように考える
Vol.15 30年先を考えたサッシの選び方
Vol.16 いつまでも美しい家のデザインとは