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性能
 | 2020.09.12

AD材、KD材、グリーン材

木材には沢山の種類があります。

桧(ヒノキ)・杉・松・栂(ツガ)など、皆さんも聞いた事があるかも知れませんね。

外国材であれば、オーク・マフォガニー・セランガンバツ・レッドオークなど、こちらも聞いた事があるかも知れません。

これらとは別に木材には、大きく分けて3種類の物があります。

AD材・KD材・グリーン材と呼ばれる木材です。

これは3種類の違いは、乾燥方法の違いによります。

AD材とは、エアドライ材の略です。

自然に乾燥をさせた木材です。
森から木を切って、そのまま積んでおき乾燥をさせるような方法です。

木材の種類や状態によっても違いますが、乾燥するまでには、数カ月~数年も掛かることもあります。

乾燥させるといっても、ただ単に外に置いておけば良いのではなく、適度に雨と風に当てながら乾燥させることがポイントと言われています。

この乾燥のやり方や気候によって木材の状態も変わるので、なかなか難しいとも言われています。

当然ですが、コストも時間も掛かります。

また、乾燥状況により強度が変わってしまう事もあります。

KD材とは、キルンドライウッドの略で、人工的に乾燥させた木材です。

森から木を切った後に、大きな窯に入れて数週間掛けて乾燥させます。
乾燥させる場合に、低温で乾燥させる場合もありますし、高温で乾燥させる場合もあります。

どちらが乾燥方法が良いのか?というと、これは材木屋さんでも明確な答えは出せないそうです。

高温乾燥だと水分量の調整がしやすく強度も高められますが、木の内部で割れが発生したり、焼けてしまう事もあるようです。

最終的には、木材の水分量を20% 位にします。

その結果、木材の強度も高まり、耐震性も確保しやすくなります。

固くなるので加工もしやすくなりますし、建ててから曲がるような事も起こり難くなります。

最後に、グリーン材です。

こちらは乾燥されていない材木です。

森から切ってきただけの木材です。

当然ですが、コストも時間が最も掛かりません。

しかし、木材の中の水分は50%位はあります。

なので、重いし、加工もしずらいし、強度も低い状態です。

時間が経つと共に乾燥することで、強度は高まりますが、物凄く曲がります。

昔はグリーン材しかなかったので、家を建てるとなると1年位は掛けていたと思います。

1年かけて、ゆっくりと材木の中の水分を抜き、強度を高めていたのです。

しかし、実際には1年で水分が抜ける事はありません。

なので、住んでからあちこちに隙間が開きますし、障子が閉まらなくなったりしました。

更には、木から出てきた水分の為にカビが生えてしまう事もありました・・・・

高気密高断熱住に、乾燥されていない木材を使う事はあり得ないです。

私が小さい頃に住んでいた家は、お爺さん(大工)が作った家で、隙間だらけの鳴きっぱなしだったのを覚えております。

時と共に強度が上がったのかも知れませんが、寒いし・暑いし・隙間風は入るしで、物凄く住み難い家だった事を覚えております。

結局、建ててから35年目に建て替えをしました。

今作られている家で、グリーン材を使っている家は、殆ど無いと思います。

仮にあるとすれば、山奥で家を建てる場合位かも知れません。

山小屋を建てるような感覚ですね。

もしグリーン材で家を建てている方がいるとしたら、失礼ですが、コストをケチっているとしか考えられません。

もしくは、何も考えていないのかも知れません。

時と共に強度があがる事の期待されているのかも知れません。

しかし、実際には強度が上がりづらいです。

その結果、耐震性も確保しにくくなります。

隙間だらけの家になる可能性も高いです。

それでも自然の味わいを楽しみたい方には良いかと思います。

殆どの住宅会社や大工さんは、AD材(天然乾燥)かKD材(人工乾燥)の木材を使うはずです。

やはり、強度の低い木材を使うのは怖い事ですし、水分だらけの木材を使って、後からカビが発生しても困ります。

当社はKD材を使っています。人工的に乾燥された木材です。

味わいがあるのか?といえば、無いと言えます。

でも、強度が確保できるので、耐震的には有利になります。

住んだからカビが生えてしまう事もないですし、扉が開かなくなることもないです。

でも、人によっては「死んでいる木」と言います。

人口乾燥材は木が生きているので、壁の中で呼吸をしながら調湿を助けてくれると言う説明があります。

これは本当でしょうか?

私の感覚ですと、壁の中に埋まっている木材が室内の調湿することも考えずらいです。

これはセルロースファイバー断熱材と似ているように感じます。

仕上げに使っている無垢の床や天井の羽目板が調湿を助けてくれるのなら理解も出来ます。

そもそも、調湿とは室内の空気が接する部分(要するに仕上げ材)で行うのが効果的です。

もし、壁の中に埋まっている木材で調湿させたいのであれば、木材が見えっぱなしの家にする方が良い事になります。

でも、断熱材が入らないので、夏は暑いし冬は寒くなる事になります。

杉板を貼り断熱材の代わりにするような工法もありますが、残念ながら、木の断熱性能は低いので効果的ではありません。

これはログハウスを見ても解ります。

あれだけ太い丸太を使ったとしても、断熱性能は高くはありません。

また気密性能も上がりません。

なので、熱容量が物凄い薪ストーブを使う必要があるのです。

別荘や山小屋だったら楽しいかも知れませんが、日常を過ごす家だったとすると大変な事になります。

乾燥した木材は調湿する程の水分は含みません。

仮に、調湿するほど多量に含むようになると、曲がってしまいますし、強度も低くなってしまうかも知れません。

家の耐久性を高めるコツは、以下に乾燥状態を保つか?に掛かっています。

特に、骨組み(構造材)は乾燥状態を維持することで、長持ちします。

なんだかんだ言っても昔の家が持っているのは、隙間だらけで乾燥状態を維持できたからです。

ただし、寒いし暑いし、住み心地は最悪です。

でも、骨組みによっては素晴らしい環境でした。

人口乾燥材を使ってはイケないという意味ではありません。

AD材でもKD材でも、好きな材木を使えば良いと思います。

ただし、断熱・気密・換気・日射取得・日射遮蔽が考えないと問題は起こります。

また、構造計算も行っていないような家だったら、更に問題が起こります。

良い木を使えば、それだけでOKなんて事はありません。

そんな事を言われる方がいるとしたら、それこそおかしな話です。