https://youtu.be/Io5L1_rqlX4
去年の夏はすごく暑かったですが、今年の夏も暑かったですよね。私は普段から自宅やモデルハウスのいろんなところに温度計を置いていて、「今日の温度と湿度はどのくらいかな?」と確認をするんですが、去年の夏に初めて40℃を普通に超えた日は、とても驚いたのを覚えています。
昔、小学校には百葉箱というものがありました。風が通る場所に置いて温度を計る、スリットが入った木製の箱です。百葉箱は管理する場所が決まっていて、小学校の校庭とかにポコポコと置いてある感じなので、全国を網羅しているわけではないため、正確な温度を測るのは難しかったりします。また、百葉箱の置いてある周りの環境によって温度が異なるので、周りに森がある田舎の小学校にあれば涼しくなりそうだし、街中にあったら、アスファルトの照り返しやビルの窓の光の反射によって暑くなりそうですよね。
私の自宅は太田市の田舎の方にあり、ビルがあるようなところじゃないので風が抜けるんですが、百葉箱じゃなく、日陰に置いてあった温度計で見ても、今年は41℃を超えていました。でも最近は、それが普通になってしまった感じがします。
私の自宅には、熱線吸収ポリカの屋根がついた、アルミのカーポートがあります。一般的なカーポートの天井高は2.4mぐらいで、マックスでも2.7mぐらいです。キャンパーさんで、デリカの上にラックを積むような方でも、2.7mもあれば天井に当たらないと思うので、ほとんどの方は2.4mにしているはずです。ただ、私の自宅のカーポートの天井高は、3.2〜3.3mぐらいあります。外構屋さんに「自己責任なので。」とお願いして、目一杯伸ばしてもらいました。なぜそうしたのかというと、私もキャンプが好きなので、車にラックを積んで荷物を載せるんですが、その際に不便だからです。ただ、これは玄人向けの方法なので、お客さんに頼まれたら断ると思います。
今年の夏にそのカーポートで車をいじっていたら、すごく暑くて、温度計をパッと見たら46.9℃もありました。屋根の下は日陰になっているし、アルミの柱は触ってもそんなに熱くないので、そこまでの熱を温度計が吸収しているわけではなさそうですが、私の推測だと、熱線吸収ポリカとコンクリートが蓄熱をして、両面グリルみたいな感じで暑くなってしまったのではないかと思います。熱線吸収ポリカというのは、熱を吸収して下を涼しくするバリアみたいな役割をするため、熱を吸収しすぎて、下に放熱してしまったのかもしれません。熱も湿度も、暖かいところから涼しいところに行くので、そういうことなのかなという感じがしました。
この話は、ここまで詳しくはないですが、以前に他の動画でお話ししました。その際にコメントをくれた人がいたんですが、正直「うーん?」と思ってしまいました。実際にあったことを話したのに、「そんなことはありません。」という感じの内容だったからです。測定をしたら事実としてこうだったとか、私の経験では施工したらこうだったと言っても、そんなことはないとか、そうは思わないと言う人もいるので、世の中は難しいですね。でもそれは個人の自由なので、別に否定はしません。ただ、それだと客観的な物の見方ができないんじゃないかという感じもします。
今の世の中はすごく情報が多いので、情報の取捨選択や、客観的な物の見方というのが重要視されます。そこをやらないと、情報に惑わされてしまうし、自分が好きなものだけを選んでしまうことになるので、やっぱり事実は事実として、「そんなことも起こるんだな。」と、自分の中で受け入れなければいけないと思います。なので、私のメルマガを熱心に読んでいただいている方には、そういうところも取り入れていただけたらありがたいなと思いました。
ある程度勉強をされている方と、勉強しているようで実際は本を読んだだけという方がいると思います。本が書かれた時の状況と今の状況というのは違っていることもあるし、いろんな条件もあるので、全てが正しいわけではありません。その例として、日射遮蔽というのがあります。日射遮蔽というと一般的には軒を出すのが定説ですが、太陽は移動していくため、正直それだけでは無理があります。
西面に大きな窓をつけてはいけないとよく言われますが、山小屋みたいな屋根だったら多少は西面の日射遮蔽が期待できますが、そもそも西面に大きな窓をつけてしまったら冬は寒いと思います。屋根を寄棟にしたら満遍なく日射遮蔽ができるような気もしますが、今度は棟換気がしにくくなり、通気しないという問題が出てきます。また、今は太陽光パネルをつける人が多いので、パネルを上手くつけられないという問題も出てきます。そのため、シンプルに考える必要があります。
日射遮蔽に関して言えば、軒ではなく、アウターシェードや外ブラインドを利用するべきだと思います。最近は10月半ばでも暑くて30℃ぐらいあったりするし、長い軒というのは構造的にも問題が生じてしまうからです。この辺りのことも情報をアップデートしていかないと、現実的に難しい気がします。気候の変化や建てる場所など、いろんなことを加味して、確実な方法を選んでいただきたいと思います。
アウターシェードは私も使っていますが、難しいとか面倒臭いと思ってしまいます。お客さんの中にも、アウターシェードをせっかくつけたのに、だんだん面倒臭くなって、ハニカムブラインドだけで済ませてしまっている人もいます。でもそれは個人の自由なので、注意はできません。アウターシェードやハニカムブラインドを活用し、穏やかに日射取得をしてエアコンをかければ、空調コントロールも上手くいくけど、そこを端折ってしまうと、上手くエアコンが動かなかったり、湿度コントロールが上手くいかなくなったりして暑くなってしまいます。
アルミルーバーは防犯的にもいいと思いますが、値段も高いし、壊れた時が大変です。外国製だったりすると、壊れた時の部品供給の問題もあるし、すぐに修理してくれないかもしれないのでなかなか難しいです。他の動画で「温暖化がずっと続くかどうかはわからない。」という話をしましたが、そうは言っても暑いのは事実なので、何と言っても日射遮蔽は重要です。
最近、リフォームを考えている方から「内窓をつけたいんだけど、遮熱系と断熱系のどちらがいいのか?」という質問をいただきました。寒さ対策が目的なら内窓は役に立つけど、暑さ対策として内窓をつけても役に立たないこともあります。ちなみに西の巨匠の事務所は、寒さ対策で内窓をつけたら、窓ガラスの間から熱気が来るようになってしまったので、ハニカムブラインドやアウターシェードをつけたそうです。このように、暑さ対策のために内窓をつけたら余計に暑くなるということもあるので、基本は日射遮蔽がいいという事実があります。
内窓には補助金が出たりするため、一生懸命勧めるリフォーム屋さんもいます。また内窓をつけると、夏は涼しくて冬は暖かくなるというイメージも何となくあります。でも、こと暑さに関しては、内窓が確実に効く場合もあるし、逆にマイナスになる場合もあるので、この辺りは気をつけていただきたいと思います。