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 | 2024.11.05

①床下エアコンで冷房するのはアリか②調湿が原因でカビが生える事もある③太陽光を設置したら屋根裏でカビが生えた④自然素材で調湿は難しい(無理)⑤材料メーカーの実験は現実とは違う

今回は質問コーナーです。

まずは、以下の動画についてです。

▼セルロースファイバーを使えば結露しないのか?
https://www.kosodate-sekkei.co.jp/blog/cellulose_fiber_ketsuro/

動画を見ていただくとわかりますが、結論としては、よっぽどのことがないと結露しません。セルロースファイバーが結露したらとんでもない水の量になりますし、そこまで水が出る家はないと思います。ただ、セルロースファイバーは調湿材ではなく、あくまでも断熱材です。

私がいつも言っている西の巨匠は、木造・鉄骨・RC・混合住宅、マンションのリフォーム、HEAT20のG3、一種換気、付加断熱など、ありとあらゆることをやっています。当然、成功も失敗もするけど、それを包み隠さず教えてくれます。その方も、「セルロースファイバーは紙のようなものだから吸収しやすいけど、セルロースファイバーに限らず、壁の中に断熱材を入れて外側に抜けやすくする通気工法を使ったりする。セルロースファイバーはグラスウールと違って水分を含みやすく排出がしやすいということはあるけど、それを調湿と言っていいのかというと難しい感じがする。」とおっしゃっていました。

そういった中で、以下の質問をいただきました。

「検討中の工務店がセルロースファイバーを使用していましたので、防湿層を設けているか聞いたところ、下記のような返信が返ってきました。

“内部仕上げによって変えています。内部がビニールクロスの場合は防湿シート、内部が珪藻土のような透湿性のある素材の場合は透湿シートを施工します。セルロースファイバーは湿気排出機能が高いので、上記のような方法をとっています。大事なのは外部の耐力面材に透湿性の高い物を使用することです。以上。”

セルロースファイバーの性質は理解した上で、動画の内容のように防湿層を設けない場合、壁全体で透湿する考え方のようです。この場合は湿度の法則上、冬は室内の湿度が外に引っ張られ、夏は室外の湿度が室内に引っ張られる気がするのですが、間違っていますでしょうか?」

おっしゃる通りです。湿度は、低い方や乾燥した方に移動するという原則があるので、コントロールできません。なので、床下エアコンで冷房をするのは効率が悪いです。床下エアコンで冷房をしたら冷気が溜まってしまうので、どうしても使いたい場合は、強力なファンを床からバーッと吹かせて、冷気を送ることになります。ただ、床下エアコンで冷房をする人も、中にはいらっしゃるようです。地域によってはいいのかなと思いますが、私の住んでいる地域で床下エアコンで冷房をしても、家の中は全く冷えないと思います。

今年の夏に、ガス漏れを起こして屋根裏エアコンが壊れたお家がありました。お客さんが困っていたので、「床下エアコンで冷房をしてください。床下点検口や床下エアコンの吹き出し口を外せる場合は外してもらって、風力を強めにしてくれれば、時間はかかるけど冷えますよ。」と言いました。実際にお客さんにやってもらったところ、そこのお家は平屋だったこともあり、室温は27°Cになりました。電気屋さんの都合で直ったのは3日後ぐらいでしたが、「床下エアコンだけでも涼しいんですね。」と言っていました。たしかに涼しいですが、それをずっとやり続けるのはかなり効率が悪いです。場合によっては、床下が露点を下回って結露を起こす可能性もあります。

今このモデルハウスは、屋根裏エアコンで25℃に設定して、冷房をしています。2階は温度が25.7℃、湿度が51%という感じですが、1階は温度が27.1℃、湿度が48%です。ちなみに、外気温は32.9℃、湿度は67%です。では、1階の床下はどうかというと、温度が27.7℃、湿度が54%です。屋根裏エアコンで冷気は当たっていますが、床下エアコンの噴射口は閉じているので、床下はほぼ密閉状態です。でも、温度的には1階とほぼ変わりません。この状態で、床下エアコンで冷房をしたとします。何℃になったら床下は結露するのかというと、計算上は17.5℃です。ただ、床下エアコンで17.5℃に設定することは、現実的に考えて難しいです。そう考えると、床下エアコンで冷房をしても、結露を大きくする危険性はないということになります。

このモデルハウスは建ててから9年ぐらい経っているので、基礎の水分はないですが、建ててから1年ぐらいの家は、基礎から水分が出ています。その状態で、温度が27.7℃、湿度が65%だとすると、床下が結露をする温度は21℃になってしまいます。湿度が高い分、結露しやすくなるためです。だから状況によっては、床下エアコンを使っても結露しない場合もあるし、結露してしまう場合もあります。一番いいのは、床下エアコンをあまり使わないことです。

セルロースファイバーに湿気を吸い込ませるようなことをした場合、水分が出る方向に上手いこと行ってくれればいいですが、場合によっては戻ってしまいます。そうすると、湿気を吸い込んだはずなのに不快に感じてしまいます。それが屋根裏だったら、野地裏にカビが生えることもあります。そう考えると、セルロースファイバーで調湿はしない方がいいと思います。

西の巨匠に聞いた話ですが、太陽光を載せる前は何ともなかったのに、後からお客さんが太陽光を載せたら、それが原因で結露を起こしたということがあったそうです。太陽光を載せることによって、熱がカットされて冷えるという問題が出てくるわけですが、そこまで想像するのは難しいです。世の中には100%というのはありませんが、なるべく余計なことはせず、シンプルにやっていった方が間違いないかなと思います。

次は、以下の動画に対してのコメントです。

▼①断熱・気密性能を上げると暑くなることもある②セルロースファイバー=高性能ではない事実③調湿コントロールは難しい
https://www.kosodate-sekkei.co.jp/blog/seinou_jijitsu_choshitsu/

「自然素材で調湿等は住宅系YouTuberで見ますが、ほどほどに受け取るのが妥当なんですね。そりゃあビニールクロスよりは珪藻土等の方がいいんだろうけど。」

本当にそうだと思います。自然素材で調湿するというのは、そんなに簡単なことではありません。当社でも、無垢の床を貼って、珪藻土を塗って、天井にはシナベニヤの木を使っていますが、この状態で夏にエアコンをかけなくてもスッキリするかというと、そんなことはないです。空調という部分がないと、セルロースファイバーだけではスッキリしません。ビニールクロスやフローリングを貼ったりするよりは多少は効果があると思いますが、だからといって全く違うなんてことはないと思います。前の動画やメルマガでも言っていますが、当社で珪藻土や無垢の床を使っているのは、あくまでそういう効果もあるというだけで、それがメインというわけではありません。

よく、小さいガラスボックスの中に珪藻土を入れて、水を入れたお皿を入れて蓋をして、湿度計を置いて「こんなに違うんですよ?」と見せる人がいますが、違うのは当たり前のことです。そもそも家というのはそういう構成にはなっていませんし、それはメーカーさんや材料屋さんが自分たちを有利にするためのテクニックに過ぎないので、この辺りはなかなか難しいなと思います。